(2023年1月22日 16:07修正)
駅名についての小話でほっと一息つける場所、それが「駅名喫茶店」です。開店日は気まぐれです。
さて、今回は旧国名を冠した駅名の数が気になり、調べてみました。例えば、美濃〇〇といった駅名です。
さて、旧国名を冠した駅名の数ランキングの発表です。
第1位:伊予〇〇 全25駅名(予讃線の伊予市を含めず)
第1位:紀伊〇〇 全25駅名(阪和線の紀伊を含めず)
第3位:越後〇〇 全23駅名
第4位:武蔵〇〇 全22駅名
第5位:伊勢〇〇 全17駅名(伊勢崎、伊勢市を含めず)
番外編:陸前〇〇 全15駅名(BRT線を含めると、全22駅名)
かなり僅差のランキングとなりました。私のデータが確かであればの話ですが。
奈良の駅名研究家様
駅名喫茶店の開店日を楽しみにしています。実は私の手元に「趣味の駅名事典」というB5判410ページの本があります。昭和39年10月1日に福岡葉留路(はるじ、これはペンネーム)氏が執筆され、六月社という大阪の出版社から発行されたものです。あるいは貴店にも常備されているかもしれないと思いつつ、コメントを書いています。発行が58年も前の昭和39年ですから、現在の駅の数などとは比較できませんが、例えば今回貴殿が紹介された旧国名の部では伊予は25,紀伊は30,越後は28となっています。私鉄は勿論国鉄バス、社線バス、信号所、仮駅などもカウントされており、貴殿の数字と異なるのはやむをえません。もし、貴殿がご覧になりたいとなれば、会員ページでご住所あるいはメールアドレスをお知らせ頂ければ、郵送してお貸しします。また、古書の通販サイトで検索すると安いものは600円、高いものは4500円と数多くヒットしましたので、容易に入手できそうです。ちなみに初版発行時の価格は1200円となっています。多分、貴殿がこの本をお持ちでなく、初めて手にされたら夜更かし間違いなしでしょう。
西村雅幸 様
書籍のご紹介をいただき、誠にありがとうございます。当喫茶店には常備していない本で、大変興味を持ちました。購入を検討してみます。
伊予は25,紀伊は30,越後は28とのことで、内訳は当時と違うと思いますが、伊予だけ私のものと数が一致していたので、少し嬉しかったですね。
奈良の駅名研究家様
この著者は明治37年生れで、永年国鉄の営業畑におられた方で、巻頭の推薦のことばには時の加賀山国鉄総裁や中国支社長が一文を寄せておられます。ご本人によれば趣味と実益を兼ねた事典と言われている通り、よくぞこれだけのものをパソコンもワープロもない時代に作られたものだと感心します。是非1冊手元に置かれることをお勧めします。
西村雅幸様
やはり「好き」という気持ちがあったのでしょうね。先人の業績に尊敬の念を抱いた今日です。
この方こそ、真の駅名研究家です!
奈良の駅名研究家さま
続けてのシリーズ、拝見しています。旧国名を冠する駅名ですが、逆に存在しない旧国名は、ありますか? 以前、デジ青に川俣線の「岩代川俣」のことを載せたことがあります。隣には「岩代飯野」もあったのですが、どちらも廃駅になり存在せず、現在は福島交通の岩代清水のみと記しました。岩代は、もともと福島市周辺の旧国名で、地域も狭かったため、駅名も少なかったようですが、駅名は、日本の自治体の成り立ちとも関係していて面白いですね。
総本家青信号特派員様
ご来店ありがとうございます。
仰せの通り、岩代とつくのは、岩代清水のみです。
存在しない旧国名を調べてみました。なお、釧路や根室は冠ではないものの、駅名自体には使用されているので除外しました。
後志、胆振、日高、千島、上野(こうずけ)、佐渡、隠岐、淡路(駅名としては大阪府に淡路、JR淡路、東京都に淡路町が存在するが、今の兵庫県にある訳ではない)、対馬、壱岐、琉球
です。
奈良の駅名研究家様にご紹介した「趣味の駅名事典」によりますと、磐越西線の「岩代熱海」が出てきます。現在の「磐梯熱海」はかつて「岩代熱海」だったようです。岩代飯野、岩代川俣、岩代清水の計4駅が記載されています。
連投、失礼します。このところ、旧国名を冠した駅名が、ニュースで報じられたケースを見ますと、ダントツは「大和西大寺」だったと思います。ふつう関西の人間は“西大寺”で分かりますから、「大和西大寺」と聞いて、一瞬、“どこやったかいな”と思いました。
さて近鉄は路線が長いだけに、独自の基準を設けているようですね。同一駅名が付近にある場合は「近鉄奈良」「近鉄丹波橋」のように「近鉄」を付す。同一駅名が離れている場合は「大和西大寺」「伊勢中川」のように旧国名を付す。JRなどと共同駅の場合は「京都」「津」のように何も付さない。これがルールだったでしょうか。奈良の駅名研究家さんのテーマを先取りしていたら、ごめんなさい。
総本家青信号特派員様
ご来店ありがとうございます。
近鉄に関しては、そのルールで合っていると思います。先日訪ねた近鉄富田や、近鉄日本橋もそうですね。鶴橋や松阪はJRと共同なので、何も付きません。
旧国名の次は、私鉄(大手私鉄・準大手私鉄)の会社名を冠した駅名ランキングの紹介をしようと思い、実は第3回目のネタも用意済みです。総本家青信号特派員様の嗅覚はやはり素晴らしいです。
私は地元の近鉄が1位と予想して調査したのですが、皆様の予想はいかがでしょうか。
JR東の只見線「会津~」も数が多いです。
(但し現在、一部運休区間がありますが)
磐西線(会津豊川)、会津鉄道、野岩鉄道(会津高原)を含めれば一大勢力です。
やま様
そうですね。会津〇〇は多いです。
ただ、「会津」は旧国名ではないので今回のテーマにおきましてはカウント外としました。
「駅名喫茶店」へ2回目の入店をさせていただきます。
岩代国は1869年(明治元年)の戊辰戦争後に旧陸奥国が5分割された国のひとつで、現在の福島県の中通りと会津地方が領域でした。この地域に岩代の付く駅名がなぜ少ないかを考えると旧会津郡の存在が大きくかかわっています。会津地方の中心地の若松は1899年に市制が施行され、同時に岩越鉄道(現在の磐越西線)の若松駅が開設されました。
当時福岡県にも1891年に開設された若松駅があり、こちらも1914年に市制を敷きました。2カ所に同名の若松の地名・駅名があるので郵政事業や乗車券発行等の鉄道事業に混乱を招き、1917年にまず駅の方が先に会津若松に改称しました。本来ならば岩代若松となるべきところですが、その後の廃藩置県により『岩代』がほとんど認知されず、律令制時代から続く旧郡名の会津を取り入れ会津若松となりました。市名も38年遅れて1955年に会津若松市に改称され、結果的には駅名に追随することになりました。
その後、会津線の延伸による新駅にも次々と「会津」が付与され、現在はJR線18駅、会津鉄道会津線6駅となり、いずれもが岩代が付いていればベスト10入りをしていたと思います。
次に旧国名の「上野(こうずけ)」を冠した駅がなぜないかということですが、群馬県内駅発の乗車券の主な行先の東京の「上野(うえの)」と混同する恐れがあるためといわれています。これを避けるため上信電鉄は、上州富岡のように「上州」を冠していますが、旧国鉄は「上州」、「信州」等の名称を嫌って群馬八幡のように現在の県名を冠する駅名を付けました。群馬の付く駅は全部で5駅、愛知は愛知御津のみ、岩手はいわて沼宮内を含めて4駅存在します。「〜州」の付く唯一の例外が、旧赤穂鉄道の観光地の最寄り駅として全国的に知られていた播州赤穂です。同駅以外は播磨新宮のように「播磨」を冠しています。現在、正式駅名として北海道の一部と鉄道のない島と本州の「但馬」の付く駅名もありません。
快速つくばね様
ご来店ありがとうございます。
大変勉強になっております。このようなお話をお伺いできるのも駅名喫茶店の良さだと思います。
やはり駅名には分かりやすさが必要不可欠だと思います。みんなに愛される、覚えやすくて短い駅名が理想的ですね。
その点では、長い駅名というのはいかがなものかと思ってしまうことがあります。
日本一長い駅名ランキング↓
https://drfc-ob.com/wp/archives/121586
ちなみに、但馬〇〇ではありませんが、近鉄田原本線に但馬駅があります。
奈良の駅名研究家様
コメントありがとうございます。
「淡路駅」と「但馬駅」は既に答えが出ていますが、次の旧国名と同じ駅は何県にあるかという問題がありました。会社線も含めますがすべてその国の外の地域の県です。
安芸駅、伊賀駅、泉駅(「和」は付いていませんが同じ県に2つあります)、磐城駅、岩代駅、石見駅、播磨駅、日向駅、大和駅(2県あります)。
逆に旧国の地域に所在しながらわざわざ旧国名を付けた駅があります。
浦和のつく駅名は日本一多いことで有名ですが、埼京線(正式名称は東北本線)が開業した時点で、武蔵野線との交点にある田島信号場を駅に昇格させることになりました。命名するにあたり浦和と東西南北を既に使用していたので、武蔵浦和はやむなく線名の武蔵野線からとったようです。中浦和もこの時、同時に誕生しました。
もう一つは三河安城です。この駅は、国鉄末期に工事が開始され、JRに移行してから1988年3月13日、新富士・掛川・新尾道・東広島とともに東海道・山陽新幹線の新駅として開業しました。当初は多分新安城を想定したと思いますが、新安城は既に名鉄名古屋本線に存在していました。仮称(三河駅)として起工されたため、期成同盟会は三河にこだわり、要望を受けたJR東海は三河安城に正式に決定しました。
快速つくばね様
磐城駅は近鉄南大阪線に、石見駅は近鉄橿原線に所属する駅ですね。播磨は養老鉄道の駅です。
話は旧国名からはそれますが、「福島高松」という駅名はご存じでしょうか。
奈良の駅名研究家様
日南線の終点、志布志の二つ手前で、宮崎県最後の駅ですね。
さらに話はそれますが、県名と県庁所在地名が一致しない県で県名の駅がとんでもないところにある場合がありますね。表記が異なっても発音が一致するものまで入れますと
茨城:茨木(東海道本線・大阪府)どちらも「いばらき」と発音し濁点がありません。
石川(奥羽本線・青森県)
三重:三会(島原鉄道・長崎県)「みえ」と読みます。
香川(相模線・神奈川県)
福岡(旧北陸本線:あいの風とやま鉄道・富山県)
快速つくばね様
大変勉強になりました。こういう駅名には興味はありつつも漠然と見てきましたが駅名ができた経緯もいろいろあったことと思います。新潟県の長岡と東海道本線の近江長岡は新潟県の方が格上のような気がしておりました。よく話題に出たのが大阪の隣の福島ですが東北の福島とはお互いに譲りあっていないですね。足柄のようなものですか。
話は変わりましてハンドルネームの「快速つくばね」さんという名前もどこかで聞いたことがあるようで興味を持ちました。筑波山のことであろうと思い筑波山麓を行くDD501が牽引する上野行き臨時列車「つくば」を載せてみました。1973.520
準特急様
コメントのコメントありがとうございます。
深谷(廃駅)-馬場(現在の膳所)間の開通により東海道本線が全通した1889年7月1日に開業した現在の「近江」の付く2駅は、長岡、八幡として誕生しました。ご指摘のようにそれぞれの駅は、後発の信越本線長岡、鹿児島本線八幡の誕生により結果的に召し上げられることになり「近江」を冠することになりました。1954年に近江八幡市が誕生する時、既に福岡の官営八幡製鐵所のあった八幡市が1917年に市名を名乗っており同名回避のため会津若松市と同じく駅名を追随する形で命名されました。皮肉なことに若松市も八幡市も1963年に北九州市に統合され名称消滅となりましたので、1977年の京都府の八幡市昇格時は問題なく命名されることになりました。
福島等の同一駅名は別のテーマだと思い今回は省略しますが、国鉄時代には最大4駅あったのが柏原駅(東海道・関西・福知山・信越)でした。現在は信越本線(現在のしなの鉄道)の駅は、黒姫に改称されましたので3駅となっています。
快速「つくばね」は、1955年に常磐線に初めて登場し、上野-水戸間を運行した快速列車です。同時に誕生した「ときわ」とともに現在の常磐線の「ひたち」・「ときわ」の線内特急群の礎を築きました。一時期同名の準急、急行列車が東北本線、小山短絡線、水戸線、常磐線経由で上野-勝田間を走っていました。
?
米手様 準特急殿が言われるDD50とは、海坊主のことではなく、常総筑波鉄道(関東鉄道筑波線)のDD50のことだと思います。国鉄から筑波線に乗り入れる快速客車列車「つくば号」を牽引していました。
しらんかった!
あの準特急氏が、そんな間違いをするわけないと思ったが、年寄りらしいので、もしかしたら、と思いました。失礼しました。
宮津線に確か、但馬の駅名があったような・・・で調べると、豊岡の隣、「但馬三江」が京都丹後鉄道「コウノトリの郷」駅になっておりました。
昔の時刻表だったかのクイズで「『日向〇〇』で宮崎県に所在しない駅はどこか?」というのがあり、答え「青梅線・日向和田(ひなたわだ)」というオチで、読み上げでは成立しないクイズでした。
宇都家様
ご来店ありがとうございます。
誤りが発覚したのかと、一瞬ドキッとしましたが、改称前の駅名でしたね。私のデータベースもいずれは無くなった駅名も載せていこうかと思っております。
快速つくばね様
つくば号写真です。78.5.20tDD501牽引上野行きです。
写真の添付で苦労しています。
読者の皆様
「紀伊〇〇」の駅名のうち、紀伊宮原をカウントしておりませんでした。記事は以下の通り、修正いたしました。
第1位:伊予〇〇 全25駅名(予讃線の伊予市を含めず)
第1位:紀伊〇〇 全25駅名(阪和線の紀伊を含めず)