青い瞬間(とき) -Blue Momentを追いかけて -9-

路線の長い近鉄のこと、一瞬だけのBlue Momentを、全区間で撮るの容易なことではありません。幸い、住まいに近い近鉄京都線、橿原線、それに接続する吉野線も含めて、ほぼ南北に路線が走っています。真横から、夕景から始まる、ドラマチックな光景を求めるには、恰好な路線と言えます。例によって、車両を空で抜ける鉄橋を探し出して、何ヵ所かを回りました。電車シルエットのBlue Momentの場合、下回りが隠れないことは必須だが、もうひとつ、ブラインドが降りていないことも条件だ。ひとつでもブラインドが下りていると興ざめだ。季節的なこともあるが、日中から走り続けている電車ではまず無理で、夕方ラッシュ時に出庫して走り始める電車の運用を狙うと、案外、ブラインドゼロの確率が高い。

近鉄橿原線のある駅で下車、すぐ近くに鉄橋が見えるのに、道が分からず、迷いに迷って着いた頃、大和盆地の向こうに夕陽が沈もうとしていた。窓の大きな電車には、幸いブラインドが下りておらず、すべての窓が素通しで、乗客までもが見える。ほとんど雲が出ないままに日没を迎えた。まもなく、空一面がBlue Moment状態に。この時間帯でも、通勤車だけでなく、特急車両がつぎつぎ通過するのも近鉄の魅力、電球色の室内灯と、二階席が印象的な30000系が流れて行く。いっぽう、こちらは、吉野線の吉野川鉄橋、大和上市を出ると直角に曲がって、ちょうど南北方向に吉野川を渡る。春秋には、真西に沈んでいく夕陽に合わせて、上流側の河原から、さまざまに写せる。山に囲まれているのに、夕陽の方角は低い山しかなく、このように、下は夕陽、上は青い空と、微妙なグラデーションを楽しめる。

 青い瞬間(とき) -Blue Momentを追いかけて -9-」への4件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様

    近鉄編を待っておりました。

    「夕方ラッシュ時に出庫して走り始める電車の運用を狙うと、案外、ブラインドゼロの確率が高い。」とは、なるほどと思いました。

    吉野線の吉野川鉄橋は有名な撮影スポットですが、この時間帯の写真は初めて見ました。日中とはまた違った趣があり、あたかも違う場所で撮影したかのようでした。

    Blue Momentではありませんが、私も夜の鉄道は好きです。

    • 奈良の駅名研究家さま
      いつも、投稿で忙しいのに、コメントへの気配りもいただき、ありがとうございます。はい、シルエットを撮る場合、窓にカーテンやブラインドが下りているかは、大きな問題です。出庫すぐの電車は、比較的、窓はきれいに透けた状態です。それと電鉄によっては、車掌の車内巡視時に、カーテン・ブラインドを開けて回る光景を見かけます。近鉄でも比較的行われるようですが、乗客がいると、遠慮して止めてしまうケースもあり、なかなか思った通りには行きません。一番いいのは、寒い時期に行くことですね。

  2. 総本家青信号特派員様

    いつも美しい写真を数多くご紹介いただきましてありがとうございます。これからの季節は、ちょうど京都行きの伊勢志摩ライナーと「しまかぜ」が橿原線を走行する時間帯が Blue Moment になろうかと思います。両者とも特長あるサイドビューですので、ぜひチャンスをものにされんことを期待しております。ただ、これら大阪線から直通の特急は、大阪線内では西日に向かって走ることから、特に好天時には両サイドともカーテンが閉まってしまうこともままあるようですが。

    • まほろばの鉄趣味住人さま
      いつもご覧いただき、ありがとうございます。なるほど、時刻表で確認しますと、西大寺基準で、「しまかぜ」は17:01、ISLは17:49で、この時期、格好のターゲットですね。貴重な情報、ありがとうございます。特徴あるサイドビューが、シルエットで青い空に浮かぶのは、考えるだけで、ワクワクします。七十ウン歳の私ですが、まだまだ子どものような探求心を持っていますよ。

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