第7日目 5月24日
約束どおり5時半に白タクは迎えに来てくれました。 F先生は五峰站ヤード付近で下車されましたが、O氏と私は平庄南站近くに小高い山がありましたので、ここで朝日を浴びた上遊牽引列車を撮りたいと向かいました。
▲ 5:46、中国鉄路叶赤線を走行する長編成の石炭列車。バックが黄色になっているのは、黄砂と朝日の影響です。平庄南站手前の踏切で撮りましたが、この路線は単線ながら列車が頻繁に通過します。撮影位置はこちらです。標高525m地点。
6:04、標高約585m(鉄路との標高差60m)の小高い山に登りますと、眼下に平庄南站そして昨日撮っていた橋が見えますが、残念ながら霞んでいました。7:50前後に来るかもしれない平庄煤礦鉄路の列車を待つついでに中国鉄路の列車も撮ることにしました。(撮影場所はこちらへ)
▲ 6:16、最初に撮影した和諧号重連の長編成の石炭列車。
▲ 7:57、平庄南站に進入する大連発赤峰行きのK7351次。
▲ 8:51、叶柏寿発通遼行きの6327次が到着。平庄南站は、平庄煤礦鉄路と中国鉄路との接続站で貨物ヤードもあります。平庄站より規模は大きい站ですが、1日当たり発着する客車列車は上下共各3本のみでこれが下りの1番列車です。
▲ 8:52、平庄に来る時に乗車した赤峰発山海関行きのK7384次。これも上りの1番列車で6327次と平庄南站で停車交換します。今日は行李車を連結していない7両編成でした。蒸気時代のこの叶赤線は前進型が走っていたそうです。この場所で遠くから白煙をなびかせながらの走行を見たかった、撮ってみたかったと思いました。
9:00までO氏と二人で約3時間粘ってみましたが、平庄煤礦鉄路には1本の列車も走行しません。そろそろ諦め時だと意見が一致しましたので下山しました。五峰站に向かって道路を歩いているとワゴン車が走ってきたので手を上げると止まってくれました。どうやらここでは交通機関が少ないので、走っている車は手をあげれば止まって乗せてくれるようです。もちろんタダではなく町までなら20元(市内~平庄南間)と決まっています。
インターネット検索では装煤站から立井站間は1往復の運用があるようだとの記事しかないので行ってみたいとO氏との希望と一致しましたので、昨日私のみが行った装煤站へと運転手に頼みました。
9:40、装煤站ヤードに到着。SY0400、1052、1425号機の3台はいますが、1487号機はいません。中央司令室に聞きに行ってみましたが担当者は不在で知る事はできませんでした。
先に立井方向に進んでいたO氏を見ると、ヤード内で人海戦術で路盤工事をしている保線員の責任者に捕まっています。急いで行ってみるとここから先は通行不可と制止をされています。
お任せください。こんな時はゆっくりにっこり笑っての対応が効き目あります。いつもと同様に「私達の趣味はこの立派な蒸気機関車を撮影する事です。日本からそのために来ています。撮影は中央司令室で了解してもらっています。」と説明してタバコを薦めますと喜んで吸ってくれました。後は私たちは朋友ですと握手すれば完了です。
タバコを薦める事は中国での初対面の挨拶ですが、逆に1本が1箱、そして1ケースとなり最後は金銭にまで進んだ樺南鉄路の悪例もあります。出来ればやりたくありませんが、お金も要求してきましたのでこの場合の緊急対応です。日本の鉄ちゃんも訪れる時は後に続く人の事も考えて甘い対応はしないでください。この国の人民は一度甘い汁を吸うとそれが当たり前になってエスカレートしてしまう事もあるのです。
ヤードを過ぎると有人踏切がありましたので通過記録簿を見せてもらいましたが、今日はまだ通過していません。昨日見たダイヤグラムでは装煤8:45→9:35立井11:50→12:30、装煤14:25→14:50三井15:58→16:30装煤がありましたので午前中には1往復は来るだろうと思い待つ事にしました。
O氏はカーブを曲がった畑の中の直線区間で、私は先の林の中を目指しました。
10:44、新緑の林の中で珍しく綺麗な水が流れている所がありましたので汚れた手を洗って線路際の犬走りに戻ると汽笛もなくSY0400号機が単機バック運転で突然にやってきました。シャッターは切りましたが、もう1つです。その後まああ気に入った場所がありましたので折り返しを待つ事にしました。近くで汽笛の音は何回も聞こえるのですが中々来ません。
12:31、待つ事1時間45分。ようやくSY0400号機が戻ってきましたがセキの牽引はなくまたも単機です。今回は単機回送ばかりでまともに石炭列車は撮影出来ていません。(撮影場所はこちらへ)
O氏と中々上手くいかないなあと嘆きながら近くに食堂を探しました。
庶民食堂で昼食後、Taxiを捕まえて再び平庄南站へと向かいました。
14:44、 平庄南站到着。ホーム2本3線の交換駅です。ローカル駅とあって窓口は1ヶ所だけですが、ホームは広く、ヤードでは東風4型3877号機が入替をしていました。やがて長編成の石炭列車が到着しました。
▲ 撮影していますと、作業を終わって側線に引き上げた運転手が手招きしています。中に入れてもらって運転席内を見学させてくださいました。中には電熱器も備えられていてお湯も沸かせます。
通称「緑亀」と言われる東風4型電気式ディーゼル機関車は、1974年から約3,500台余りが量産されました。1980kwの出力を誇り、貨物用4B型(最高速度100km/h)、客車用4A型(最高速度120km/h)の他、出力アップした4C型、4CK型、4D型もあります。最近は強力な新型DL和諧号も量産されていますが、今なお中国鉄路の非区電化区間の主力DLです。車体色は濃い緑色ですが、帯は水色と黄色があり前者は「スイカ」後者は「カボチャ」と愛称されています。
石炭列車を待っていましたが夕刻になっても来ません。ここの運行には振られっぱなしです。明日は朝に平庄を離れて阜新へと向かいます。これまでかと諦めだした時に今までと違った方向から汽笛が聞こえてきました。
五峰駅から分岐して五家鎮へと向かう鉄路からです。この路線は信号所の担当者もめったに走行しない。走っても1ヶ月に1回もあるかないかですと言われていました。
17:10、全力で音の聞こえる方向に向かうと林を抜けて人民が畑を耕す中を長編成の石炭列車が姿を現しました。(撮影場所はこちらへ)
▲ 17;25、列車は五峰駅ヤードに入り、スイッチバックで機回しをした後に築堤を上がって向かってきました。牽引するのはどこに行ったのかと行方を捜していたSY1425号機でした。大地に残された蒸気機関車が走る平庄煤礦鉄路の1シーンです。(撮影場所はこちらへ)
ひたすら来ない列車を終日辛抱強く待っておられたF先生、私と右往左往して平庄南站手前で降りられ待っておられたO氏もガッツポーズです。変哲もない上遊型が牽引する石炭列車ですが、ようやく撮れたとの感激は3人にはありました。
F先生は満足げに今日はこれでいいと帰られました。O氏と私は帰路の発車を見たいと残りました。しばらくすると本線に空のセキを牽引した DF5型1797号機が平庄南站に入選して来て、SY1425号機と双方の石炭列車の機交換を行いました。
SY1425号機はDF5型から受け取った60両余りのセキを牽引して五峰駅ヤードに向かって行きました。
私はこれで満足でしたが、まだ期待できる何かがあるかもとO氏は残られました。3人で大地で残る蒸気機関車を求めて旅を続けていますが、具体的な行動はあくまで各自のマイペースを尊重する事が重要と認識していました。 Part10 へ続く