ゆりかもめ


建設中の東京湾ゲートブリッジ(恐竜橋)をバックに走る「ゆりかもめ」

4月中旬より勤務場所が「浜松町」から「お台場」に変わった。
新橋から「ゆりかもめ」に乗車するが、お台場海浜公園まで7キロの運賃は310円である。ちなみに6カ月の通勤定期代は50220円で会社的に小さくないコスト増である。私的には通勤時間の増、会社的にはコスト増で良いこと何もなく、あるとすれば唯一「ゆりかもめ」に乗れることだけである。当初は率先して最前部座席に座っていたが、今では空いている座席に座っている。最前部座席の2人掛けの通路側は空いていることが多い。
「ゆりかもめ」のごとき「新交通システム」は趣味の対象にはなり得ないと思っていたが、毎日乗っていると、製造年による差異等が目につき結構面白い。間もなく迎える勤務先からの「戦力外通告」後は、乗車機会は滅多にないだろうし、今のうちに観察、撮影しておくのも悪くはないと思い、コンデジを持参して通勤帰りや外出時に適当に撮影している。
「ゆりかもめ」の紹介かたがた、撮影した画像等をご覧いただければと思う。

【沿 革】
台場地区と都心部を結ぶ交通機関として平成7年11月1日新橋~有明間11.9㎞を開業した。当初の新橋駅は現在よりも100m程手前にあり、平成13年3月22日現在位置まで延伸された。平成18年3月27日有明~豊洲間2.7㎞が延伸開業し、東京メトロ有楽町線、東武東上線、西武池袋線沿線からお台場地区へのアクセスが確立した。

【運 転】
現行のダイヤは平成18年3月24日に改正のもので、平日は早朝、深夜7~10分、朝夕ラッシュ時3~4分、昼間5分、土・休日は、早朝、深夜7~10分、昼間4分間隔となっているが、現在は原発事故の影響により節電ダイヤにより運行されており、朝夕ラッシュ時4分、昼間は平日、休日共に6分間隔である。
始発は新橋駅6時、豊洲駅5時41分と他の鉄道各線と比較すると遅い。終発は新橋、豊洲ともに0時30分(ともに有明止)となっている。(ちなみに私が利用する金町駅の上り始発は4時32分(北千住行)、下り最終は1時13分(松戸行)である)全線の標準所要時間は31分である。早朝、深夜のみ有人運転、それ以外の時間帯は無人運転である。但し、有明駅から車両基地への入出庫は有人運転である。

【運 賃】
運賃は対キロ制で2㎞まで180円、3~5㎞240円、6~8㎞310円、9㎞~15㎞370円である。新橋からの運賃は竹芝まで180円、芝浦埠頭まで240円、台場まで310円、船の科学館以遠は370円、豊洲からは有明テニスの森まで180円、青海まで240円、お台場海浜公園まで310円、芝浦埠頭以遠370円となっている。ちなみにレインボーブリッジを挟む芝浦埠頭~お台場海浜公園間は3.9㎞あり、1駅で240円である。1日乗車券が800円で新橋~豊洲間を通しで乗る客は極めて少ないと思われる。新橋~豊洲間はJRで有楽町まで行き、メトロ有楽町線に乗り換えると130円+160円の290円。更に安い直通ルートは、新橋~業平橋間の都バス「業10」で200円である。

【車 両】
全編成6両固定編成で、平成7年開業時から10年までの間に作られてサイリスタチョッパ制御の7000系18編成と平成11年から18年に作られたVVVFインバータ制御車7200系8編成、計26編成在籍する。
編成と車号の関係は2桁目と3桁目は編成番号を表し、4桁目は号車を表している。例えばトップナンバーの編成であれば
豊洲方から 7011-7012-7013-7014-7015-7016 となっている。
製造年度と編成の関係は以下の通りである。

7000系(1~3次車まで)
1次車 13編成(7011――7016 ~ 7131――7136)/平成7年新橋~有明間開業時に新製した。座席はお台場への行楽客を意識して先頭車の先頭部を除きオール4人掛クロスシートである。シート間隔がクモハ51並に狭く、通勤客は窓際から詰めて着席するが、昼間の一般客は立客がいてもワンボックスに2~3人しか座っていないことが多い。

 


2次車 2編成(7141――7146 ~ 7151――7156)/平成9年新製。
1次車とほぼ同様である。

 
3次車 3編成(7161――7166 ~ 7181――7186)/平成10年新製。
スタイルは1、2次と変わらないが、車内が大きく変化し、扉間の座席がクロスシートと3人掛ロングシートが交互の配置となり、正面にレインボーのストライブが入った。また、ドアが1、2次車がプラグドアに対し、3次車以降は外吊ドアとなった。

 

7200系(4~6次車まで)
4次車 3編成(7211――7216 ~ 7231――7236)/平成11年新製。
制御装置がVVVFインバータに変更されたため、形式が7200形となった。スタイルや座席配置は3次車と同様である。外観からは判らないが722編成から案内車輪が2軸から4軸に変更になった。

 
5次車 3編成(7241――7246 ~ 7261――7266)/平成13年に新製。スタイルや座席配置は4次車と変わらないが、正面のレインボーのデザインが変更された。

 
6次車 2編成(7271――7276 ~ 7281――7286)/平成17年に新製で、翌年3月27日有明~豊洲間の延伸開業に備えて増備された。座席配置が大きく変わり、豊洲方面に向かって左側クロスシート、右側ロングシートとなり、クロスシート部は4人掛と2人掛となった。居住性は向上したが座席定員は減少した。

 



保線車両

【バスとの競合】


お台場と都心を結ぶ都バスの路線が存在し「ゆりかもめ」とはライバル関係にある。運賃は200円均一と安く、所要時間は渋滞がなければ「ゆりかもめ」と変わらないが、本数の点で劣っている。「お台場」=「ゆりかもめ」のイメージを持つ人が多く、利用者は主に地元の人(特に敬老パス使用の老人)が中心である
東京ビックサイトで大きなイベントが開催される時は、東京駅と浜松町駅から臨時バスが大増発され「ゆりかもめ」共々満員で乗客を運び補完関係にある。

〔海01〕
メトロ東西線、都営大江戸線の門前仲町駅から豊洲、お台場海浜公園、船の科学館の各駅を経由してりんかい線の東京テレポート駅を結んでいる。お台場海浜公園駅と東京テレポート駅は徒歩でも7分程度であるが、バスは台場駅、船の科学館駅、テレコムセンター駅とお台場地区を一巡する。お台場海浜公園駅~豊洲駅間の所要時間は15~20分(ゆりかもめ18分)平日の昼間は10分間隔(同6分間隔)、運賃200円(同310円)と、運転間隔以外はゆりかもめより優位に立っている。しかも門前仲町駅から直通するため更に優位である。但し土休日の昼間は15分間隔のため、やや不利である。

 
17年式日野(J-BUS)PJ-KV234L1

 
21年式いすゞ(J-BUS)PJ-LV234L2
〔虹01〕
浜松町駅バスターミナルから、竹芝桟橋、日の出桟橋を通り、レインボーブリッジを渡り、お台場海浜公園駅、船の科学館駅、パレットタウンを経由して東京ビックサイトを結び、一部の便はりんかい線の国際展示場駅まで行く。
お台場地区から浜松町に行くは、「ゆりかもめ」の竹芝で降りて約10分歩くか、新橋でJRか都営浅草線に乗換える必要があり、浜松町に直通するメリットは大きい。昼間の運転間隔は平日20分、土休日15分である。イベント時に運行される臨時便は、途中ノンストップで、船の科学館等を経由せずに直接レインボーブリッジを渡るため、浜松町までの所要時間は約15分である。
余談になるが、港区の公共施設が多数存在する田町、三田地区へのバスの便がなく、芝浦埠頭で降りて約20分歩くか、新橋からJR、都営浅草線の利用となるため、港区でコミュニティーバスを計画しているようである。


10年式日野KC-HU2RCE 
/方向幕にレインボーブリッジが描かれている。

 
19年式日野(J-BUS)PKJ-KU234L2
〔都05〕
東京駅から有楽町駅、銀座4丁目を通り晴海埠頭を結んでいるが、一部の便が土、休日の昼間のみ勝どき駅から分岐して東京テレポート駅まで運転される。本数は少なく約1時間に1本である。終日10~15分間隔で運転されても良さそうに思うが、「ゆりかもめ」に遠慮しているのだろう。
〔都16〕
東京駅八重洲口より月島駅、豊洲駅、深川車庫、有明を通り東京ビックサイトを結んでいる。観光、商業施設のある台場駅の方には行かない。昼間約15分間隔運行されるが八重洲口の始発7時50分、終発17時23分とほぼ日中のみで、他の時間帯は深川車庫止まりである。ビックサイトで大きなイベント開催時には途中ノンストップの直行便が多数運行される。
〔波01出入〕
品川駅からレインボーブリッジを渡り、お台場海浜公園駅を通り東京テレポート駅を結ぶ系統であるが、本来の「波01」(東京テレポート駅~中央防波堤)の出入庫便で平日7往復、土曜祝日3往復半の運転で日曜日運休する。尚、本来の「波01」は土曜と祝日は平日並みに運行されるが、日曜日は僅か1往復のみである。

 
21年式日野(J-BUS)BJG-HUJLFP
〔急行05、急行06〕
「急行05」は錦糸町駅から新木場駅、パレットタウンを経由して日本科学未来館、「急行06」は森下駅から豊洲駅、パレットタウンを経由して日本科学未来館を結んでいる。土曜日、日曜、祝日の昼間約30分間隔で運行される。

 〔京浜急行バス〕
大井町駅から青物横丁駅を通り、首都高速道路湾岸線に入り東京湾海底トンネルを潜り抜けフジテレビ前、台場駅、東京テレポート駅を経由して船の科学館を結んでいる。大井町駅~フジテレビ前間17分と早いが日中の運転間隔が40分のため便利とはいえないが、京急、東急沿線で積極的にPRすれば乗客は増えるのではないだろうか。出入庫系統として大森駅発着便が5往復運行されている。有料道路を走行するが運賃は210円均一である。

 
19年式いすゞ(J-BUS)PJ-LV234L1
横浜駅から首都高速道路湾岸線、東京湾海底トンネルを通りお台場海浜公園駅、東京テレポート駅経由東京ビックサイト行が約1時間間隔で運転されている。観光バスタイプの車両が使用され運賃は800円である。お台場海浜公園駅まで42分、東京ビックサイトまで55分である。ちなみに同一区間を「ゆりかもめ」と「JR」を乗継ぐと運賃820円、所要時間約1時間とほぼ互角である。

 

〔東京ベイシャトル〕

東京テレポート駅からホテル、商業施設、観光施設等を巡回し運賃は無料である。運行にかかる経費はお台場地区の企業や観光施設の協賛金で賄っている。運行時間は11時から19時頃まで約15分間隔の運行である。車両はドイツのネオプラン社とニュージーランドのデザインライン社製が使用されている。運転開始時刻が遅い、運転間隔が15分とやや長いことを差引いても、外国製のバスで無料というのはインパクトが大きい。以前、上野浅草間で運行されていた2階建バスを使用していたことがあったが、乗降に時間がかかる、バリアフリー対応でないこと等で中止となった。

 
ニュージーランド デザインライン社製

 


ドイツ ネオプラン社製

【その他】
〔お台場ダッシュ〕
飯田線の「下山ダッシュ」は有名であるが、「ゆりかもめ」には「お台場ダッシュ」がある。お台場海浜公園駅で降りて青海駅までダッシュし、先程降りた電車に再度乗るというものである。同区間には「台場」「船の科学館」「テレコムセンター」と3つの駅があり、距離にして3.2㎞、所要時間は7分である。一方同区間の直線距離は約800mでしかも迷うことのない一本道のため少し走れば余裕で成功する。
「下山ダッシュ」は、下山村駅から5つ先の伊那上郷駅までの間、直線距離約2㎞を走る。高低差70mの上り勾配で、途中迷い易い箇所がある等難易度は高い。一方電車はその間6.9kmに鼎、切石、飯田、桜町と停車するが、飯田駅での停車時間の長い電車でないと難しいようである。どちらの「ダッシュ」も足に自信のある方は挑戦されては如何だろうか。
〔大船渡線〕
「ゆりかもめ」のことを「大船渡線」と呼ぶ人がいる。お台場地区の観光、商業施設を迂回するため急カーブの連続である。「大船渡線」との決定的に違いは政治路線でないこと。私自身、電話で会社までの道順を聞かれた時、思わず「新橋で大船渡線に乗換えて」と言ってしまった。
〔お台場地区の特徴〕
お台場地区は観光、商業施設の他、オフィスビル、高層マンション、イベント会場等が混在しているため、朝夕のラッシュ時には、オフィスビルへの通勤客、逆に都心への通勤・通学客、昼間は観光客、買物客で終日に亘り乗客が多い。東京ビックサイトでの大規模イベント時は超満員になる。単年度決算では黒字であるが累積赤字を解消するまでには至っていない。

【沿線風景】


汐留駅を発車する新橋行


レインボーブリッジを通過中の新橋行


お台場海浜公園駅付近


お台場海浜公園駅に進入する新橋行


船の科学館駅に進入する豊洲行


船の科学館駅に侵入する新橋行/バックは青函連絡船羊蹄丸、これに乗船して北海道に行かれた方も多いと思う。

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