2017年から運行が始まったJR西の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」はコロナ禍でも運行が続けられてきたように思います。私も何度か撮影に出向きましたが、乗るものではなく、見るもの、撮るものという高嶺の花です。昔風に言えば、電気式気動車ですが、電車風に言うと4M6Tです。寝台列車ですから寝台車にはエンジンを搭載せず静粛性を確保する代わりに、両先頭車(キイテ87)、ラウンジカー(キラ86)、食堂車(キシ86)の4両の床下に発電用のディーゼルエンジン(コマツ製SAD140HE-3)を2基ずつ搭載し、計8基のエンジンで発電機を駆動し、すべての電力をまかなっています。長時間停車時でも、空調などのために常時発電するため、エンジンを止めることはありません。撮影しやすい尾道駅での長時間停車を撮りに行った際に、その騒音の大きさに驚いたものです。案の定、夜間長時間停車の糸崎駅周辺住民からの苦情が新聞に載りました。
丁度1年前の令和3年12月7日、尾道駅に停車中の様子を撮ったものです。
尾道駅の下り線には待避線がなく、上り線に1本だけ待避線があり、上り瑞風が8:14から12:01まで停車します。乗客はその間、尾道市内やしまなみ海道の観光に行くわけです。夜間ではなく昼間とは言え、駅北側には全く民家が無いわけではなく、あの重低音を4時間絶え間なく聞かされると、文句を言いたくもなるだろうと思います。まして夜間ならなおさらです。新聞記事によると、JR西は対策として「停車駅の変更」と答えているようですが、それでは「モグラタタキ」でしょう。少し前までは、この山陽上りコースの瑞風は、0:28に糸崎に着き、3:46に呉線広に向けて発車していましたが、最近のダイヤでは23:55に糸崎に着き、4:40まで停車ののち、広ではなくもっと近い吉名で折り返すように変更されています。このダイヤ変更は気動車運転士の負担軽減の狙いもあると思います。ダイヤや停車駅の変更を考えるのも良いですが、根本的に、例えば1時間以上の停車駅には、地上電源設備を設け、自家発電ではなく地上電源からのサービス電力供給を可能にしてエンジンを止められるよう車両側の改造と地上設備の整備を考えるべきでしょう。当然費用はかかりますが、富裕層対象の列車ですから、運賃にしっかり上乗せすれば良いのです。話は変わりますが、この瑞風の立ち寄り先である宮島では「島への上陸税」制度が始まります。環境を維持し、快適さを求めるにはそれ相応の負担を覚悟する時代になりつつあるのではないでしょうか。
なんで20系寝台特急のようにパンタグラフのある電源車を作らなかったのでしょうかね。そんなことを考える頭がなかったのでしょうか。停車駅を変えるのであれば山間部にしては?ディーゼルエンジンの排ガスで環境汚染されそうですね。高い油を使って。これこそ廃止すべきではないでしょうか?
どですかでん様
コメントありがとうございます。4M6Tの瑞風ですが、ハイブリッド車のため機器が複雑で、屋根上にもエアコン以外の機器がぎっしりだそうです。T車は寝台車ですが、シャワーなどもあるため大きな水タンクが必要で昔の車両のようにスペースに余裕が無いのでしょう。そしてパンタのことは最初から考えていなかったのでしょう。集団健康診断でレントゲン車が来て、ケーブルを延ばして地上電源で稼働させているのをよく見ますが、あんなふうに車両側の電気回路を改造し、地上にも電源BOXを設置しておいて、乗務員がケーブルを接続するのは、それほど難しいことではないと思います。民家の少ない駅を探してダイヤを変更しようなどと考える発想が情けないですね。
この話題、中国新聞がピックアップした所、Yahoo!ニュースがネットで取り上げて、全国区にすぐに広がり、私も個人のSNSのタイムラインで取り上げた所、早速反応が着きました。
やはり電化区間で長時間停車の際は、簡易集電装置で電源を取るべきと言うコメントでした。
それと富裕層対象の列車がエゴのように見られることは、イメージのダウンだろうなあという、JR西の商売センスの下手さに対する残念さも意見が集まりました。
クルーズ客船と異なり、営業路線上を、僅かな乗客しか乗せない超豪華列車について、私個人はかなり醒めた眼で観ています。
九州で働いた時に「ななつ星」が来る沿線で、地元自治体が手旗を振って見送る行事を見ましたが、奇妙な熱狂の裏側、地元の人は在来線に乗ることもなく、鉄道存続も危惧されています。
鉄道消長の時代の”徒花”にならねば良いけれどと、複雑な気持ちでこの話題を私は受け止めています。
K.H生様
コメントありがとうございます。Yahoo!ニュースで採り上げられているとは知りませんでした。私も写真は撮りにゆくものの、醒めた目で見てしまいます。瑞風乗客の専用改札口を設けるような特別扱いには違和感を感じます。そういう優越感を感じさせるのが狙いなのでしょうし、それを期待して切符を買われるのでしょう。幹線の駅でも待避線を極力減らし、支線では交換駅を減らしてきたおかげで、長時間停車させるのに相当苦労しているように思えます。昔なら景色の良い駅で長く停めて、追い抜かれたり交換できたのに、今では全く自由度がありません。無駄な回送で行ったり来たりしながら、エネルギーを消費しています。一方でエコを言いながらチグハグ感が否めません。
なお余談ながら、この記事を書いた記者は、今出川ではなく田辺世代の同窓の後輩です。