ここらでボンネットバス 近畿編 〈18〉

奈良交通 (4)

定期路線を終えた奈良交通のボンネットバスは、前項のように観光目的の路線バス、定期観光コースにたびたび使われて、すっかり奈良の名物になります。昭和60年の4月には、日本一の桜の名所、吉野山の観桜時期に、ボンネットバス「さくら号」が運転されました。桜の見頃に合わせて、同年の4月13日から、近鉄吉野駅~如意輪寺~中千本公園の約6キロで運転された。近鉄吉野駅~吉野山上への公共交通は、吉野大峯ケーブル(実際はロープウェイ)だけだったが、奈良交通がこの年、初めて路線認可を受けて、5月連休までの期間運転となった。大挙押し寄せる花見客に、ボンネットバスだけでは対応できず、一般の路線車も応援に駆け付けた。

近鉄吉野駅で乗務員を撮影、真ん中のニイちゃんは、急遽集められたバイトの車掌、バスは近鉄吉野駅を9:00が初発、20分ヘッドの毎時3本で16:00まで、山上へ向かった。▲▲背後に吉野大峯ケーブルが見える。今までケーブルだけでは多くの積み残しが出たため、救済として路線バスの出番となった。料金はケーブルと同額の片道250円。

 

 

 

私は、もう一人とともに吉野に8:30に到着、駅前で撮ったあと、9:20発のボンネットに乗って中千本公園で下車、一ヵ所だけ、トンネルもある。▲▲吉野駅のバス乗り場に到着する。▲▲▲車内には、「履歴書」として、ボンネットバスの使用履歴が手書きで掲示されていた。ボンネットバスでは乗り切れず、応援に入ったマイクロバスと続行運転する。如意輪寺前付近を行く。まだ道路は空いているが、次第に路駐が増加してくる。

 

     山全体が桜で埋まった、吉野山ならではの風景のなかを行く。如意輪寺前に到着し、すぐ折り返す。11:00から如意輪寺~中千本公園の山上区間はバスも乗用車も乗入禁止になり、歩行者専用になった。そのため、吉野駅~如意輪寺には、クルマが両側に縦列駐車、一車線分しかない道路は、無ダイヤ状態、歩いて山を下ったほうがはるかに早かった。

 ここらでボンネットバス 近畿編 〈18〉」への2件のフィードバック

  1. 私が40年前に誘いを蹴った「吉野のボンネットバス」は、コレでしたか。愛好家向けの特別運行かと思い込んでいましたが、観光客を対象にした定期運行だったのですね。吉野といえば京都から遠く、「バスではなあ…」というのが正直な気持ちでした。
    バスのアップ、走行シーン、人物を写しこんだカットと、総本家様ならではの撮影術が、ここでもいかんなく発揮されていますね。車両だけでなく周りの風景や人物が入ると、撮影時の空気が伝わってきます。これはゼヒ見習いたいところです。
    それにしても朝早くからの出撃で、今の私には真似ができません。山道を歩いての撮影も、さぞ大変だったことと推察しますが、「好き」だからこそできたのでしょうか。
    今回も楽しませていただき、ありがとうございます。

    • 前回の紫さんのコメントに反応しなければと思っていたら、もう次の投稿のコメントをいただき、こちらの反応の遅れをお詫びします。吉野へのボンネット運行は、その後、ツアーなどであったかもしれませんが、路線バスとしては、この年だけだったようです。
      はい、その日は5:20に起床、国鉄神足駅を5:56に出発とメモに書いていました。過酷な労働を強いられていた時期、たまの日曜日なのに、よくぞ早起きしたものと思いました。バスが大好きだった時期でした。
      ご覧のようにカラーもモノクロも撮っていますが、カラーは発色で分が悪いと思っていましたが、案外イケルと言うこともわかりました。

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