桜を求めて三岐鉄道へ (1)

今年の桜は開花時に天候に恵まれ、近年になく花持ちが長くなりました。
今年はどこへ行こうか…。最初は、ぶんしゅうさんに刺激されて四国や、クローバー会の重鎮と小湊鉄道へと考えていたのですが、遠距離は仕事で諦めざるを得ず、以前の掲示板でぷるぷるさんが三岐鉄道の訪問記を載せられていたのを思い出し、青春18きっぷを手に関西本線は富田へと向かいました。
以前にも、クローバー会のメンバーと三岐を訪れたことはありますが、一人で走行写真を撮るのは初めて、まずはロケハンも兼ねて、1000円のフリー切符を購入し、近鉄富田駅3番ホームに停車中の電車に乗り込みます。終点の東藤原までが片道500円ですから、十分にモトの取れる切符です。まず藤原岳をバックに直線区間を俯瞰できる定番の撮影地で撮るため、丹生川で下車。ところが向かっている途中で早くも踏切が鳴り出し、ED45重連の上り貨物が通過。機材を撤収したと思ったら、隣の駅で交換した下り貨物がまた通過と、あまりの効率の良さにニンマリしてしまいます。どうやらこの3月のダイヤ改正で貨物にも変更があったようです。やはり私鉄では珍しくなった定期の貨物列車が頻繁に通過するのが三岐の最大の魅力です。

三里~丹生川間を行くフライアッシュ輸送の下り貨物

廃車の電機も見える東藤原駅構内、セメント工場が背後に迫る

ここで三岐の貨物列車の概要を…。藤原岳から産出される石灰岩を、東藤原駅近くにある太平洋セメント藤原工場で生成し、セメント原材料をJR富田まで輸送するのが、三岐の貨物の主務です。重量貨物だけにED45はすべて重連総括制御となります。戻りの列車は返空もあるものの、一部はフライアッシュ輸送も行っており、特異なスタイルをしたホキ1000を見ることもできます。一時は、中部国際空港埋立用の土砂輸送も行い、他社から電機を購入するなど盛期を迎えます。ピークは過ぎたものの、本業のセメント輸送はなお盛んに行われ、貨物収入が旅客収入を上回ります。電機はED45が8両、前歴は異なりますが、ほとんど同タイプで、重連×3組の6両使用、2両予備となっています。ただ片パンとなりますので、撮るにはパンタが前に出る富田行きの方が絵になります。
早くも上下2本の貨物を撮ったあと、丹生川から乗って終点の西藤原駅まで往復してみます。乗っていると気がつきませんが、北勢線とはほぼ1.5キロの間隔で並行しています。今は同じ会社ですが、こんな地域に元は経営体の違う私鉄が並行しているのは稀有なことです。そういえば、以前、クローバー会の面々と乗り歩きしたときは、三岐の伊勢治田駅で降り、そこから小走りに歩いて北勢線の終点、阿下喜まで行ったことを思い出します。このように歩いて行けるほどに両者は近いのです。セメント工場のある東藤原駅まで来ると、異様な山容の藤原岳が眼前に聳え、構内ではホッパ車、タンク車の入換が盛んに行われています。一転して山間区間を走った電車は終点の西藤原駅へ。駅構内には、ウィステリア鉄道と呼ばれる模型鉄道があり、実物のEL、DL、SLも保存展示されています。

西藤原から乗った戻りの電車で降りたのが大安という縁起のいい駅。駅舎は図書館に併設されており、地域のコミュニティの中心施設としての役割も果たしています。5分ばかり北へ歩くと宇賀川鉄橋があり、堤防は両側とも桜が真っ盛り。バーベキューのいい匂いを嗅ぎながら、つぎつぎに来る電車・貨物を写します。撮り鉄もほんの2、3人、最高の条件のなかで、好きな写真を撮れる至福の時間でした。

重連回送が桜満開の宇賀川鉄橋を行く

電車のカラーも青空によく映える

一時間に一本は貨物が来る電機天国

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