北のC62 全記録 〈14〉

小沢、長万部で上下のC62重連を撮った翌日は、いよいよ北海道を去る日となりました。昭和44年9月12日、この日もやはりC62重連に足が向きます。倶知安ユースに連泊し、朝の時間を利用して岩内線に往復乗車したあと、今回、三度目の上目名の下車となりました。8月は、夏休みの学生達で大賑わいだった上目名ですが、さすがに9月も中旬となると、みんな帰ってしまい、ほとんど撮影者も見られず、一人でのんびり一時間ほど歩いて、例の151キロ地点へやって来ました。
151キロ地点の代表的な撮影ポイントは、以前にも紹介したラクに上がれる台地から自由に高度を変えながら、やや俯瞰気味にとらえるところだ。ほかにもブッシュさえ克服できれば撮影地は多いが、夏季は困難なところが多い。今回は、151キロ地点から、さらに目名寄りへ歩き、右にカーブする地点へ来た。ここは、線路端に引きがあり、カーブした列車の全容を撮ることができる。上り「ニセコ1号」 C6232+C6244

この撮影地は、上目名~目名のほぼ中間地点に当たる。ニセコアンヌプリの頂上だけが見え隠れする地点、C62の迫力を出すため、少し低い位置から狙ってみた。

すぐ上目名に戻って列車に乗り、下り「ニセコ3号」を撮るため蕨岱に下車した。蕨岱と言えば、一昨年の2017年には、平均乗降数一日一人以下のため、ついに廃止されてしまったが、当時は交換設備のある駅で駅員もいて、駅前にも少しの集落が見られた。蕨岱から二股寄りに歩くと、国道が平行し、やがて函館本線をオーバークロスする地点に出会う。国道の路側帯からは、カーブした本線がきれいに収まる。時季さえ合えば、太陽が山の端に沈む直前の“ギラリ”も期待できる。この場所は、雑誌「鉄道ファン」の黒岩保美さんの「クルマでC62を追い掛けよう」という記事で知られるようになった。長万部駅でタクシーをチャータし、ほぼ平行する国道を走る。C62の速度は40~50kmだから、ラクに追い抜きができるうえ、二股で運転停車するから、さらに先回りして、この場所をファイナルとすると書かれていた。それ以降に流行る「フォトラン」の元祖のような記事だった。

国道の路側帯に陣取り、カーブ地点を少し俯瞰気味にとらえた。まだ太陽は出ているが、光線は弱い。高感度のトライXを使い果たし、SSのフィルムしかなく、シャッター速度を1/125Sにせざるを得ず、第一発目から、ブレ気味。ところが、2発目は‥‥。2発目以降は、編成ではなくC62のみに焦点を当てて、連続シャッターを切っていく。な、なんと、無意識のうちにカメラを振って、流し撮りをしているではないか。

さらに3発目、補機のC6232、バッチリの流し撮り&ギラリが決まった。こうなれば、ロッドが下がっていたら最高だが、さすがに、そこまで合わせる技量はなかった。右はキャブ付近の拡大。

 

本務のC622もついでに流し撮り、こうして見ると、ツバメマークだけが入念に磨き込まれていることが分かる。やっと正気に戻ったのか、ここからは流し撮りなしになったが、なおもシャッターを切り続ける。去って行く編成をとらえる。ここから見ると、日除けが降りているが、車内の乗客の様子までも見て取れる。その後のヤマ線の衰退に比して、当時の隆盛ぶりもうかがえる。

このあと、函館まで急行に乗車し、深夜の青函連絡船に乗って青森へ、さらに奥羽本線でも撮って、26日間に及ぶ、私としては最長の旅を終えた。天気にも恵まれ、そして、多くのDRFCメンバーとともに思い出を共有できた。その中心にあったのが、C62重連だった。撮った写真は変わり映えのしないものばかりだが、自分としては、充実感、満足感に改めて浸ったのだった。

C62重連を求める旅は、その翌年の春にも続く(以下、続編へ)。

 

 

 北のC62 全記録 〈14〉」への2件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様

    私もほぼ同時期に、夜行列車とYHの交互利用で3週間余り北海道に滞在し、とびとびですが延べ数日総本家さんと行動をともにさせていただきました。やはり中心はC62で、ツバメマークに出会うと何となくイイ写真が撮れたような気分になったものです。私は、帰路は羽越本線桑川を歩き、新潟から夜行の急行「佐渡」で東京へ。東京から「霧島、高千穂」で帰阪しました。
    この旅行で北海道が益々好きになり、社会人になってからも幾度か青函連絡船のお世話になりますが、その契機となった旅行でした。

    • 逗子のTさま
      ご返信が遅れてしまい申し訳ありません。先の“ビア電”乗車の時も、隣席になった、わらくろや社長さんと、昭和44年の夏の北海道を思い出していました。わらくろや社長も渡道され、ほかにも、“桃軍派”と言われた、観光旅行組まで一緒になり、十数人が北海道へ渡りました。私も北海道の良さをしみじみ感じさせてくれた旅行となりました。

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