リハビリを兼ねた関東からの日帰り旅  11

<転職前の平日茨城行 2008.11.14>

私は平成20(2008)年の冬に2度目の転職をしました。10月下旬に勤め先が決まり、11月は有休消化と引き継ぎで日程的にも余裕があり、平日の休みを有効に使って小旅行に繰り出しました。鉄道+街歩き+ミュージアム巡りができる手頃な場所として、茨城県の那珂湊を選びました。常磐線の勝田からひたちなか海浜鉄道湊線に乗っておよそ15分、昭和の香りが残る那珂湊駅に降り立ちました。

勝田駅の湊線ホームは常磐線の一部を借用


ひたちなか市那珂湊は江戸時代、東廻り船の寄港地として賑わい、廻船業や商業が隆盛を極めました。その一軒、豪商木内家の土蔵がミュージアム「ふるさと回顧館」になっていました。この手の地域密着型ミュージアムは歴史・産業・観光・物産を総花的に展示してありますから2時間メドのせわしない旅人には便利です。那珂湊と言うと水産物が豊富で安いとテレビのグルメ番組などで紹介されていますが、それ以外にも湊公園や戦前の雰囲気を醸し出す市街地など、わたし的にはふんだんに見所は点在していました。

二本の柱に支えられた瓦屋根の美しい土蔵は高さ7m

お昼はアンコウ鍋の食堂で名物のソース焼きそばを注文しました。予想を上回るボリュームと味に大満足。小上りでは平日なのに半分位の客がビールを飲んでいました。
明治から大正にかけての商家が市街地に点在する、ひたちなか市那珂湊は駅舎もまた渋かったです。寄せ棟造りの平屋建て、50年ぐらい前まで地方を旅行すれば必ず目にした建物です。石を敷いた待合室、パイプの錆びた改札、垢抜けのしない売店、ダルそうな駅員・・。全部引っくるめて当時も時代物でした。

寄せ棟造りの平屋建てで屋根瓦は赤っぽかった駅舎

車輌の方も国鉄や地方私鉄を走っていた、当時でも車齢40年以上の気動車が若い仲間に交じって現役で頑張っていました。国鉄時代の旧塗色も別々の色が3両あって、昭和30年代にタイムスリップした感じ。残念ながら旧塗色のディーゼルカーは普段は車庫で休んでいましたが、イベントやCF、映画の撮影の際には沿線を軽やかに走行していました。

1995年と1998年に1両ずつ製造され、現在も湊線の主力車両キハ3710形。写真はキハ371002

 

羽幌炭礦鉄道の廃線に伴い1970年から1971年にかけて3両が移籍したキハ22。写真はキハ223。訪ねた翌年の2009年に廃車となった

初期の国鉄気動車カラーのキハ222。現在は阿字ヶ浦駅に留置

車庫で休むキハ2004(国鉄準急色)留萌鉄道からやってきたキハ2000形も2017年に廃車された。現在はキハ2005(国鉄急行色)が阿字ヶ浦駅に留置。クリームに朱色の国鉄色はキハ20で現存している

私は昼食後那珂湊を後にして、午後は水戸のミュージアム巡りをしました。茨城県立歴史館では江戸時代水戸藩の第9代藩主、「徳川斉彬」展を鑑賞。そして水戸市博物館では茨城県内の常磐線が中心の「激動の昭和鉄道史」を見て頭の中は茨城がてんこ盛りになりました。締めは上りのグリーン車で、納豆弁当を食べました。

小腹を満たすにはちょうど良いボリュームのお弁当。値段も550円と手頃

全国的に駅弁業者の撤退が続いていますが、水戸駅の鈴木屋さんも翌々年の2010年に販売を終了したそうです。ちょっとお腹が空いた時、コンコースやホームで駅弁を買うこともだんだん減っている様に思います。しかも販売価格は1,000円以上のお弁当が多く、手を伸ばしづらい状況です。(茨城の湊線 続く)

リハビリを兼ねた関東からの日帰り旅  11」への4件のフィードバック

  1. 勘秀峰様
    茨城県内の私鉄は経営状態の悪化により1971年に茨城交通茨城線、1987年に筑波鉄道筑波線、2005年に日立電鉄日立電鉄線、2007年に鹿島鉄道鹿島鉄道線が次々と廃止されてしまいました。茨城交通湊線も2005年に廃線の俎上に上がりましたが、2007年にひたちなか市と茨城交通との間で第3セクターとして存続させることが合意され、2008年にひたちなか海浜鉄道として新しく出直すこととなりました。その後、同社の経営努力と背後に控える
    春のネモフィラと秋のコキアで有名となった「国営ひたち海浜公園」への観光客の増加により、2020年に「阿字ヶ浦-国営ひたち海浜公園西口」付近間の延伸事業について国土交通省に事業許可申請を提出し、2021年に同区間の延伸事業について認可されました。

    https://www.nhk.or.jp/mito/lreport/article/004/42/

    1か月前の2025年4月5日の那珂湊駅構内です。車庫のあるカーブしている駅構内の配線を見ると何となく江若鉄道の三井寺下駅を思い出します。
    「ひたちなか海浜鉄道」は守備範囲ですので久しぶりにコメントさせていただきました。

    • 快速つくばね様
      私が書き足りなかった湊線の経緯、お書きいただきありがとうございます。私が訪ねた2008年はちょうど新しい体制に変わって間もない頃だったのですね。キハ22の側面には、会社名とシンボルマークが掲げられていたのも、そう言ういきさつだったのですね。
      ひたち海浜公園までの延伸計画は次回の投稿でまとめる予定ですので、リンクして頂いた記事も参考にしたいと思います。

  2. ひたちなか海浜鉄道いいですね。といっても新型ディーゼルカーに代わってからは一度も行ってませんが。2000年代後半まで那珂湊駅舎内にあった店のナポリタンスパゲティが美味しかったのを思い出しました。写真は、2012年8月の中根付近

    • ブギウギ様
      湊線の旧型気動車の写真、ありがとうございます。私も、関東在住時に、ほかの線区で撮影したはずだと思い探したら出てきました。
      2016年5月14日、上総中野駅にて。いすみ鉄道のキハ28 2346と小湊鉄道のキハ208との出会いです。いすみ鉄道は脱線の影響で長期間運休が続いており、心配です。

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