「列車種別」と言えば、いわゆる特急、急行などの輸送サービス(早さや快適性)を定型化し分類されたものと理解している。一方、「速度種別」は列車の運転時分を定型化し分類したもので、車両形式やけん引定数、MT比などの違いによる多種多様の列車の基準運転時分を、「速度種別」と併せて「速度記号」を用いることで定義づけている。
出典:「運転理論」(昭和59年10月、㈱交友社)
▲基準運転時分表の一例
ちなみに当会の30周年記念列車(回送区間も含む)は、宮原操~名古屋が通客C0(EF58定数55両)、名古屋~亀山が通客D7(DD51定数28両)、亀山~草津が通客D1(DD51定数32両)、草津~京都が通客D5(DD51定数30両)、京都~宮原操が通客C0(EF58定数55両)でした(定数は、私の推測)。それぞれの区間で設定されている基準運転時分を使用しているので、客車の実換算18.0両(回送時16.0両。マイテは空車扱いで、3.5両で計算されているようだ。)に対し随分と余裕がある。
【速度種別】
「速度種別」は2~4文字で構成され、特急か否か、通過、停車のいずれを主体とする列車か、動力形式(客、電、気、貨)、さらに貨物列車では最高速度別に甲、乙、丙の3種があり、これらの組み合わせで定義している。WikipediaやYoutubeでも解説されているので、詳細はこちらを確認していただきたい。
【速度記号(主としてDMH17搭載気動車)】
速度記号は、直線10‰勾配上での均衡速度を記号化したもので、「A」が100km/h台、「B」が90km/h台、「C」が80km/h台、・・・、「H」が30km/h台、「J」が20km/h台、「K」が10km/h台で、続く数字が記号の意味する以外の数値となっている(「I」が飛んでいるが、数字の「1」と紛らわしいためである)。また、「特定」や「特殊速度」と表記される場合もある。文字どおり「当該列車のためだけの基準運転時分を適用している」と解釈できるが、詳細は不明である。
先日コメントに書いた80系DC7M3m(Mは2エンジン車、mは1エンジン車)の場合の(特通気)C7は、直線10‰勾配上では最大87km/hで走行可能であることを意味している。80系DCの場合、両端の2mはやむを得ないとして、サービス電源の容量から中間にキシを除いた最大6Mを連結した場合の6M2mが最速となり、「B」も夢ではなかったが現実的ではなく計算されていない。80系DCの場合の最も速い編成は5M2mでC8であった。逆に最も遅い編成は3M2mのD2である。晩年の「南紀」では2M2m(速度記号不明)もあり、急行に抜かれていないかと少し不安になったが、既に急行列車は廃止されており安堵した。
一方の北海道用のキハ56・キハ27であるが、組成状況に詳しくないので配置両数を調べてみると下表のごとくで、キハ22を併結するような事例も考慮すれば1M1mで(通気)C1が最速だったものと思われる。
▼北海道総局管内の急行用気動車の配置状況
DMH17搭載気動車の速度記号を2エンジン車と1エンジン車の比率別に下表に示す。なお、58・28系としているが、一般気動車も含まれている。四国総局管内では、DMH17ではないキハ65は2エンジン車、40系気動車は本来G8であるが一般気動車と併結することから1エンジン車と解釈されていた。1エンジン車の10系気動車は、軽いのでF3としていたこともあるようだ。
▼DMH17搭載気動車の速度記号
【先日のコメントの補足】
80系DCの列車は、C5~C8の速度を出せる編成での基準運転時分で計画されており、一方の北海道の急行列車は速くてもC1ですので、道路同様線路も直線が多く、停車駅の数の関係もあり、80系DCの方が所要時間的には急行と比べて特急らしい特急だったと言えるのではないでしょうか。さらに言えば、北海道の急行気動車の普通車は冷房がなかったことも幸いしたとも考えられます。
本州以南では、急行列車はほぼC5以上で計画されていたと思いますので、80系DCでは特急としての時間短縮効果はなかったとは言いませんが、お粗末であったのは事実です。山陰線京都口に「あさしお」が走り始めたとき、亀岡、園部を通過するものの「丹後」と時間差が少なく残念に思ったものです。
四国では、予讃や土讃本線の多くの急行がB9で走れるように組成されていました。但し、所定ではB5で計画し、時刻変更が生じた際にB9の基準運転時分を使用して元の状態に極力早く回復させるようにしていました。新幹線の岡山開業と同時に「しおかぜ」と「南風」が走り始めましたが、80系DCではB5の急行列車に勝てる訳もなく、181系DCに登場願うこととなりますが、実際は最高速度が95km/hや85km/h、西端部ではもっと遅い区間もあり、上り急勾配区間が長距離にわたって続くような区間でなければ、所要時間の短縮効果は見込めませんでした。設定当初、「しおかぜ」は高松を出ると新居浜まで103.0km、「南風」は阿波池田まで76.5kmノンストップだったことも、むべなるかなです。
準特急先輩の、「C7」や「C1」の問いに、単に「直線10‰勾配上での均衡速度87km/h、81km/hの意味です。」と返信すればよかっただけのことかもしれない。言いたかったのは、「北海道の80系DCは速度で、本州以上に急行より優位にあった」ということだけである。いろいろ余計なことを書いて、「釈迦に説法」みたいなことになっていなければよいのですが・・・。
速度記号は、私の記事中にもよく出てくる記号なので、改めて投稿記事としてまとめてみた。内容が内容なだけに写真が1枚もなかったことは、ご容赦いただきたい。速度記号そのものを教えていただいたのは高松運転所の方で、「四国の気動車(181系を除く)は上表の黄色のパターンの5種類だけだから、覚えられるだろ!」と教えていただいた。それ以外のことは、後々ネット情報で後付けしてきただけのことなので、間違い等があればご教示いただきたい。
最後に、皆様のなにがしかの参考になれば幸いです。




