2025年夏、マレー半島縦断をめざして(その1)

これまで何度か東南アジアを訪問しましたが、マレーシアの首都クアラルンプールへは行ったことがありませんでした。マレーシアの西海岸線にも、29年前に東海岸線を走る夜行列車でワカバルからシンガポールまで乗った時にグマスからジョホールバル迄乗車した以外は、全く未知の線です。クアラルンプール周辺はどうなっているのか、今は電車列車ばかりになっているようですが、一度見ておきたいと思いました。そこで今回は、シンガポールからクアラルンプール、バターワース、パダン・ブサールを経由、タイの首都バンコクまで鉄路で一気通貫をめざすことにしました。

▲スタートは、シンガポール鉄板の観光スポットから

7月24日
まずシンガポールへは、関西空港からピーチ773便で向かいます。ピーチの中距離便はエアバスのA321LRが就役していて、大手の航空会社並みのシートピッチが確保されていて快適です。しかし、シンガポール線もバンコク線と同じく夜中にシンガポールチャンギ空港に着いてしまうので街なかへ出ることなく朝まで空港のロビーで過ごすエアポートホテルです。

▲ピーチ773便の窓から

▲空いていた。到着時刻が24時45分だからか、LCCが中距離線となるシンガポール線に浸透しているかどうか?は不明。A321LRシートピッチは十分広い。

▲シンガポールからタイバンコクまでマレー半島俯瞰図(グーグルマップから転載)

朝6時を廻りましたので動き出しますが、7時になっても未だ真っ暗です。日本の真冬のようです。ほぼ観光はしませんが、20年ぶりのシンガポール。一応、マーライオンを拝んでおくことにしました。その後は、MRTでウッドランズ駅へ向かいます。以前は、鉄道でマレーシアへ向かうには、市中のダンジョンパガーの駅から乗りましたが、今は国境ぎりぎりのウッドランズまで行かねばなりません。

▲ジョホールバル〜ウッドランズの国境をわたる区間列車がジョホール水道をゆく。

ウッドランズからジョホール水道を渡りマレーシアのジョホールバルまで5分の列車に乗るのですが、次の列車まで2時間近く待たねばなりません。この区間は、以前も鉄路で通過したことがあるので、シンガポールからマレー半島を縦断する目標からはいきなり変節しますが、バスで向かうことにしました。国境越えは長い列が出来ており、かなり待たねばなりません。週末はシンガポールとマレーシアを行き交う人が多いようです。少し脱線しますが、シンガポール、マレーシア、タイ3国共、これまで入国前に配られていた入国カードは廃止され、事前にスマートフォンで電子申請しておかねばなりません。以前の手書きでは、入国後の住所(ホテル)は、決まっていなければ適当に書いていても追及されるようなことは皆無だったのですが、電子申請の場合は、きっちりと入力しないと次の画面に遷移しませんので面倒です。

▲ES44列車 ジョホールバル駅に停車中。ジョホールバル旧駅も保存されていた。

ES44列車は、ジョホールバルを14時40分に発車し、西海岸線と東海岸線とが分岐する終着駅グマスには19時6分着。175.4キロを約4時間半かけて走り、21MYR(約740円)となります。当日購入で席が無いといきなり旅行がそこで終わってしまいますので、予め座席指定券は買っておきました。東芝製のディーゼル機関車牽引の客車列車は、普通車3両に電源車がついています。ステンレス製の客車は、一方向けのリクライニングシートですが、リクライニングの角度は浅く、シートピッチも正確な数値は判りませんが、見たところ新快速の223系などとあまり変わらなさそうです。日本では見慣れない集団見合い方式で、車両の半分単位で進行方向向きと反対向きに分かれています。車体はそこそこ年季が入っており、シートや内装もくたびれています。

▲ES44列車の客車車内

この区間は、一日に上り下りそれぞれ4本しかありません。マレーシアも都市間移動は鉄道だけでなく、自動車や航空機に移っているのでしょうか。列車はひたすら熱帯林の単調な景色を進みます。時折、停車する駅は、どこも新しい立派な施設で、路盤もよいようで乗り心地は悪くありません。国力の伸張が伺えるようですが、車販は終着までありませんでした。

▲このような熱帯林の中をひたすら進む。

▲途中の駅 立派だが人の気配はない。

駅間距離が長く、ほぼ各駅に停車しているようでしたが、違和感があったのは、停車時間がやたら長いのです。かつての雑型客車の鈍行でも、福知山や鳥取、米子など大きな駅に停車した時には「ドカ停」といって30分くらい停まるような列車もありましたが、上り下りの交換がある訳でもなく、どの駅にも10分前後くらい停車します。これがなければもっと早く着くのに、と思います。日が落ちかかってきた19時6分、定刻にグマスに到着しました。

▲グマスに到着。

▲グマスで留置中の元14系客車 稼働している形跡はない。

グマス駅は広壮な建物の駅舎でしたが、乗客が去ると静かなもので、駅前でも食事をとる店もあまりないようです。インド系のめし屋でカレーライスと骨付きの鳥の唐揚げ、チャイを頂きました。これで9MYR(約310円)と安いのはいいのですが、普通に食事する店にはアルコール飲料が置いていません。首都のクアラルンプールでもそうでした。コンビニにもビールなどはありません。アルコールはお酒を飲むための専用の店に行かないと無いようでした。
▲カレーと骨付き鳥の唐揚げ

▲チャイを飲んで語り合う。アルコールは置いていない。

(その2)

2025年夏、マレー半島縦断をめざして(その1)」への4件のフィードバック

  1. 10年以上前に観光でシンガポールに行き、対岸のジョホールバールまで鉄道を利用しました。東南アジアの鉄道に乗ったのはこの時だけでした。タイやマレーシアにも行ってみたいのですが、いろんな情報がとりにくくハードルが高いですね。特にタイとなるとあの文字でめげてしまいます。情報は主にどこから取られるのでしょうか?

  2. ブギウギ様
     いよいよマレー半島縦断シリーズが始まりましたね!
     暑い中での楽しみが増えました。有り難や!
     正直私は以前も以前、家族旅行でシンガポールへ行った際に、家族のショッピングからはずれ、一人でジョホールバルへ行ったのが唯一のマレーシア旅です。その時思ったのが何とシンガポールとマレーシアを仕事で行き交う人の多さでした。
     マレーシアと交流のある人が私の近くでも何人かおられますが、ブギウギさんの直のマレーシア旅、本当にワクワクします。
     楽しみ、楽しみ・・
     

    • マルーンさま
      コメントありがとうございます。
      マレーシアは国情も安定し、国力の伸長著しいことが、通り過ぎただけですがよくわかりました。その点、タイは日本が電車列車の時代を迎える以前の状態で、駅務員の数も多く大型の手動のポイント切替設備があるなど興味深いです。後、最終日のことが未だ発表出来ていません。暫しお時間を頂戴頂きますようお願いします。

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