都電も定点対比してみる 8 ~路面電車あれこれ噺 (29)

早稲田 夏休みの学生街

都電時代の対比、つぎは「早稲田」。いまも走る都電荒川線の終点ですが、当時は近くに早稲田車庫があって、系統が発着する都電の要衝地点でした。いまは終端ターミナルですが、当時は江戸川橋方面にも路線がスルーしていました(昭和43年8月撮影)。「早稲田」定点対比① 「早稲田」電停前。両側には古びた仕舞屋が軒を連ねていた。この15系統(高田馬場~茅場町)が翌9月になくなると聞き、都電(6)で紹介の高田馬場に続いてやってきた。ビリヤード、麻雀と学生街らしい店舗も見られるが、夏休みとあって、静かな東京の下町の風情が漂っていた。▲▲現在の「早稲田」は、終端式の行き止まりとなって、日中でも多くの乗降がある。両側の街並みは再開発の波に飲み込まれ、広い新目白通りとなり、全く対比ができない。都電は江戸川橋方面はなくなったが、早稲田を始終発とする32系統は専用軌道が多いことから、奇跡的に生き残って、別の27系統と合体して、現在でも見られる荒川線(三ノ輪橋~早稲田)となる。

この「早稲田」の電停名は、あの大学名を指すのではなく、地域名称を採っています。この付近に開学した東京専門学校が、地域名を採って早稲田大学となるわけですが、いっぽう「慶應義塾前」は電停として存在していて、そのあたりの事情は京都と通じるところもあります。

「早稲田」に発着する都電、都電早稲田車庫があり、ここを始終発とする39系統があって、乗り継ぎ客でも賑わいを見せていた。39系統は、早稲田~厩橋を結んでいたが、この系統も翌9月に廃止される。

「早稲田」定点対比② 早稲田を出て面影橋方面に向かう15系統の高田馬場行き、このように民家の裏側を専用軌道で走っていた。▲▲撮影の向きが異なるが、ほぼ同一地点の対比、家並みが取り払われて、片側2車線の広い新目白通りになる。

面影橋を過ぎると、今も荒川線として残る鬼子母神方面と、高田馬場へ向かう戸塚二丁目方面に分岐する。下にポイントがチラリと見える。

 都電も定点対比してみる 8 ~路面電車あれこれ噺 (29)」への4件のフィードバック

  1. 1967年3月26日、早稲田、830です。800形は、
    1948年、木南車両で40両新製されましたが、終戦直後に製作された、小型車のため、路線縮小により早々に廃車されました。

  2. 総本家青信号特派員 様

    よくぞ早稲田を御紹介下さり、有難う存じました。私が早大に入学した時には、既に15系統は廃止され、高田馬場から大学へ都電で行くことは叶いませんでした。早稲田電停から早大正門までは、ほんの3分ほどですが、それでも早大正門行きのバスは0分ですから、都電にわざわざ乗車して早大へ行く人は少なかったと思います。だいたい学生は、今でもそうかと思うが、高田馬場から徒歩で通学していたかと。閑話休題、せっかく取上げて頂いたので、私のコレクションからもっと昔の早稲田電停をお目にかけましょう。時は昭和28(1953)年2月1日、撮影者はHarry C. Oswaldと云う方。恐らく米軍人と思われます。

    左の1002号は今も残る荒川線系統の電車、右の826号は早稲田車庫所属で、これから高田馬場へ向かうところです。826号には系統版が見えませんが、よく観察するとおでこの行先表示の右に小窓が開いており、ここに系統番号「15」が表示されています。お判りのように小さくて見難い。後には使用されず、普通の系統版を使うようになりました。藤本さんのお写真にある通りです。

    • 宮崎繁幹さま
      本家、早稲田大学生の宮崎様からコメントをいただき、ありがとうございます。まだ 都電が走っていた時代の早稲田生の通学事情を、ぜひ知りたいと思っていました。意外に都電利用は少なかったのですね。高田馬場からは徒歩、または直行バス、またメトロ東西線も開通していましたから、都電利用は少数だったのでしょう。試しに地図で距離を測ると、高田馬場から早稲田まで、1キロ程度なのですね。京都なら京阪出町柳駅で下車した京都大学・同志社生が歩いて大学へ行くのと同じですから、都電の選択肢は少なかったこと理解できました。
      貴重な昭和28年の写真も拝見しました。都電はひと世代前ですが、周囲の街並みが、私の撮った昭和43年とはほとんど変わっていないように思います。

  3. もう1枚同じ方が、同日に撮影した写真を御覧にいれましょう。面影橋を発車した電車が、分岐点を過ぎて、学習院下へと向かっています。後方に、高田馬場へ向かう電車がチラリと見えます。右側には撮影者に同行していたらしいお仲間が写っています。終戦から8年が経っているが、軍服姿の米軍人に写真を撮られては、運転士さんも驚いたことでしょう。

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