『雨も撮る』に寄せて-加太、大井川編-

今年の梅雨は空梅雨でしょうか。梅雨入り宣言を聞いた途端、晴れの日が続いています。
総本家青信号編集特派員さんによる、この時期ぴったしの記事『雨も撮る』に刺激を受け、真似しで、加太会などの写真を引っ張り出しました。題名を拝借して寄稿します。

地形の関係からか、曇りや雨の日が多かったのが加太です。快晴の記憶や青空の写真はほとんど残っていません。以下の記事も1966年夏から秋にかけて3回連続で雨の中、『恒例加太会』催行の一部です。

▼1966年5月22日、朝から雨です。それでも早朝の列車を撮るべく、朝食前に村田屋から駅まで片道20分を歩き、撮影しました。時刻は7時44分、722レ、機C57145【亀】。雨に洗われて機関車と客車の埃や汚れが洗い落とされたせいか、そして『カラスの濡れ羽色』か黒色が綺麗に見え、雨の日の特典に預かります。肉眼では木々の緑も鮮やかに感じます。一方、後方の山々は低い雲に隠されてしまいます。 撮影機は二眼レフのリコーフレックスでした。普段でも撮影し難い二眼レフをしかも雨の日に。13001▼その二眼レフで、雨中に722レを見送りました。この列車、草津を6時10分に出発。柘植・亀山・多気経由和歌山着21時34分。延々15時間24分の長距離列車。1966年3月25日の時刻改正から登場しました。わざわざこの列車に乗り込み、車内で撮影した写真を、しかも2枚も第1回のDRFC写真展『鉄路輝く』に出展した御仁がいました。タイトルは『普通列車』と『無題』です。早朝から一日同じ車内で、見知らぬ乗客の姿を窺っていたようです。当HPの、クローバー会/リンク/クローバー会写真展から、第1回写真展画像をご覧ください。なお現在、第2回目までの出品作がweb展示されています。13005

▼村田屋に戻り朝食後も、話が弾み雨を口実に誰も外出しません。邪魔草そうに村田屋の2階、物干し台からやっと一枚、電柱や電線があろうがお構いなし。。煙は高く上がらず列車にまとわりつきます。風向き次第では絵にならないこともあります。13007

▼ようやく駅に戻っても手持ち無沙汰。柱に架かる警戒表示板『強風雨』を撮ったり、転轍機小屋を覗いたり。せめて転轍手の動作を一緒に撮れば、後で役に立つのに。 13008▼DCはカラーで。2216D 急行「はやたま」。加太駅で急行「かすが2号」と交換。駅員は合羽を着用。背後の山は完全に見えない。 以前、カラフルDC加太編で投稿した旧版の再登場。 C2815▼それから2ヵ月後の1966年07月24日、今度も雨。『弁当忘れても、傘忘れるな』の格言のある鈴鹿山地、流石です。
725レ C57121【亀】。雲は低く後背をすっかり隠してしまいました。お陰で列車が際立って撮れていました。 真夏にもかかわらず、蒸気の白さもあり、濡れたレールと枕木も適度の光沢を発します。 13115 ▼初秋の1966年10月2日、連続三度び雨。貨物761レ D51759【奈】、霞んでほとんど見えない後方の補機はC57148【亀】。加太ではC57の補機をもしばしば見ることができました。枕木がすっかり濡れています。村田屋旅館付近のR300のカーブです。C3206

▼いつもの場所、2041小荷物列車 D51の940【亀】とD511013【奈】の重連。幸いにも煙と蒸気は左側に靡き、写真になりました。 雨で困るのは、両手が使えないことです。三脚はカラー用撮影機に使用、モノクロ機は傘を片手にしての操作です。13510▼小止みになったのか、雲が切れてきました。後背の山々の青緑が見えてきました。煙も蒸気も高く上がるようになりました。貨物763レ D51253【亀】と後方の補機はD511019【竜】です。C3202▼その頃、4Dあすかも通過しました。雨に洗われた山々もDCも落ち着いた色で、良い配色です。雨上がりのこんな風景が大好きな筆者です。C3255▼時は移って超最近。2009年5月6日、舞台もごろっと変わってここは、静岡県島田市抜里。下りかわね路1号。大井川鉄道に通い始めた初期の3度目、昼過ぎまで強い雨でした。摘み取り前の川根茶の新芽もすっかり濡れて輝きを失っています。雲が低くてあたりは暗く、蒸機の煙が上がりませんが普段より白くて豊か、蒸気もよく見せてくれていました。
鈴鹿の加太と違い、こちら静岡県は、これ以後は傘を忘れても大丈夫のようです。大井川上流は有数の多雨地帯と聞きますが、以後4年間、全く雨知らずです。毎回持参の透湿性高級雨合羽はいつもリュックの中、いまだに未着用。この分なら、雨でも両手が使える背負いの傘立て具を買う必要もなさそうです。905061

『雨も撮る』に寄せて-加太、大井川編-」への1件のフィードバック

  1. tsurukameさま
    “雨と加太”、たっぷり楽しませていただきました。ありがとうございます。確かに加太は雨が多かったですね。雨の撮影のご苦労にも同感です。村田屋の二階の物干し台からの撮影、私もまったく同じ事情で撮ったことがあり、思わず笑ってしまいました。でも、雨上がり、鈴鹿の峰々の緑の濃淡は、この季節の大きな魅力でした。「あすか」やC57の末期を辛うじて撮っている世代から見ると、しっかり、それらを撮っておられるのには、敬服いたします。また、加太駅のスナップも、よくぞ撮られたものだと思います。

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