雨も撮る 〈2〉

つぎは、「雨と路面電車」について写真を少々。

路面電車の場合、雨がプラスに作用するのは、道路の反射が期待できることだ。そして時として、人物も絡んだシーンとなると、よりフォトジェニックな瞬間に出会うこととなる。

IMG_0002sy_edited-1雨の札幌駅前に発着する札幌市電。連接車・連結車が投入され、輸送力の増強に躍起になっていた最盛期の時代だった。とくに、ほとんどの系統が発着する札幌駅前には、次つぎに市電がやって来る。この日は、DRFCの面々と、札幌から夜行急行「石北」に乗り合わせ、常紋へ行くことになっていた。夕方の札幌駅に着いたが、集合までにまだ時間がある。まずは、駅前の軒先で雨を避けながら、夕方のラッシュ時の光景を写し始めたのだった。(昭和44年9月)IMG_0011sy_edited-1昭和50年に廃止になった阪神国道線には、窓の大きな“金魚鉢”こと、71・201形がいたことで名高い。ただ、車体の塗色が地味なこともあって、昼間に撮って写真にしてしまうと、窓の大きさはよく伝わらない。なら、雨の夜、窓からこぼれる照明で、それを強調しよう。そう思って、雨の日を選んで、上甲子園まで訪れた。(昭和50年4月)IMG_0012syここからは、京都市電。まずは、わが同志社前。以前から、雨の日を狙っていた。なんとしても、女子学生を入れて自分好みの写真を撮りたいが、案外に同志社前は乗降が少ない。調べてみると、土曜日の昼は、女子部の中高生がいっせいに下校するため、いっときの女子学生ラッシュとなることがわかった。(昭和50年11月)

IMG_0014syここは河原町丸太町、当時住んでいた家からすぐの停留所だ。ここには、全く入らないパチンコ屋があって、夜は煌々と照明が入る。雨が降ると、路面が反射して、人物絡みの写真も撮れると踏んだ。なんせ歩いても30秒で行けるから、雨の降るたびに通ったが、なかなか市電と人物の組合せがうまく行かない。何回か通って、やっと雰囲気のある写真を撮ることができた。(昭和51年3月)IMG_0013syここは錦林車庫前。車庫仕立ての電車は、道路上でしばらく停車するから、夜間、雨のバルブ撮影も行える。傘を差しながら、三脚にカメラをセットした。向こう側の車線には自動車の光跡が走り、電車の下回りが浮いて見えるが、手前の車線には、それがないところがミソのつもり。(昭和51年3月)IMG_0007sy_edited-1京都市電の中で雨がいちばん似合う場所は、祇園だと思っている。クローバー会の第2回写真展にも同様の写真を出したが、四条通がネオンや街灯で路面を反射するなか、市電がやって来る。八坂神社の西楼門で、雨をしのぎながら待ち、楼門を額に見立てて、市電を取り込んだ。(昭和47年1月)

 

6 thoughts on “雨も撮る 〈2〉

  1. 小生のPCがご機嫌を悪くした?ためか昨年秋以降コメントの記入が出来ず、先般は総本家青信号特派員様をはじめ掲示板の管理御担当者様をも巻き込んでお騒がせしてしまい、申し訳ありませんでした。
    『インターネット エクスプローラが駄目ならグーグル クロームで』と試して見る事にしました。
    上手く行ったらお慰み。

    総本家様、『雨も撮る(2)』は、どのショットも感動、感激です。
    小生も結構写真を撮りましたが、どうしても車両に目が行ってしまい、その周りの情景を取り込むのをスッカリ忘れてしまっているショットが圧倒的に多く、今になって後悔する事しきりです。
    特に『雨の日』は『撮れない、撮らない』の先入観で固まっていましたので、総本家さんの雨の中の情景描写には改めて『はっ』とさせられました。

    札幌駅前の夕刻の情景はそのまま今に蘇って来るようで、場所は違えど京都市電の四条や烏丸、河原町を彷彿とさせられます。
    国道線の金魚鉢をこのように描写するのは独創的で、感銘を受けました。それも28ミリ?で芸術的な絵を狙ってのショットですか。
    『我が』京都市電はどれも圧巻ですが、額に入った祇園には発想のユニークさを感じました。

  2. 特派員様
    見とれてしまうカットの数々、ありがとうございます。札幌駅前もなつかしいですね。私は北海道は厳冬期しか訪ねたことがなく、凍てつく最はての地から札幌に戻ってくるとホッとしたことを思い出します。当時の冬装備は今から思えばよくあんな恰好でマイナス20℃の吹雪の中を歩いたものだと思えるものでした。雪の中を歩き続けると防水性に乏しい靴と薄い靴下では足が冷え切ったものでした。雪が舞い散る札幌駅前で 写真の電停の右側に写っている「ニシムラ」なるお店が確かスポーツ用品店だったように思いますが、そこで結構高価な防水スプレーを買ってキャラバンシューズに吹きかけて また駅の地下待合室に戻り 夜行列車で次の撮影地に向かったことが思い出されます。札幌駅前も、同志社前も祇園石段上のいずれもが40余年の歳月を一瞬にして遡れるなつかしいひとコマです。

  3. 河様
    コメントいただき、ありがとうございます。まずは、PCのご機嫌が直ったようで何よりでした。
    確かに晴れを期待して行って雨に降られると、途端にヤル気が失せてしまいますね。そこは、逆転の発想で、雨になったら、撮りに行こうというテーマをあらかじめ決めておくことだと思います。京都市電の場合は、このようにして撮りました。なお阪神国道線は、当時のレンズは35ミリでした。
    会員外の皆さんからコメントをいただくのは、たいへん励みになります。また、コメントお待ちしております。

  4. 西村様
    いつも暖かいコメントを寄せていただき、ありがとうございます。札幌市電の写真、確かに“ニシムラ”の文字が見えますね。こんなエピソードが読み取れるのも市電の写真ならではです。
    札幌の写真は、書きましたように、時間つぶしに撮ったついでの撮影です。このような写真が今になって生きてくるのも写真の面白さだと思います。

  5. 上甲子園に住んだことがあります。路面電車廃線後でしたが、今でも銀行名は変わりましたが、この位置に残っているのは、ここが国道線の分岐駅で、省線の駅前より繁華だったことの名残だと、家族に説明していました。懐かしい風景ですね。

  6. K.H.生様
    コメント、ありがとうございます。銀行の看板は、とくに路面電車の場合、写り込んでいることが多く、その時代を雄弁に語っていますね。写真の奥に写っている銀行も、とくに阪神間には多く、時代だけでなく、地域性をも語っていますね。

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