人と鉄道と-沿線の人々-

5回にわたる『人と鉄道と』は今回でお終い、沿線の人々が写っている風景です。

▼八十八夜の茶摘み、ここ静岡県榛原郡川根町・崎平地区の茶摘みは手摘みで始まり、その後機械摘みに移るそうです。気候温暖な川根茶の本場も、最近は天候の変動が大きく、殊に八十八夜前後に霜や、酷い時には氷も張る異変が多いそうです。一昨年は静岡県全体で大変な被害額に上りました。傍を走るかわね路号から、茶摘みの様子を見ることができます。
大井川鉄道、かわね路14号、崎平-青部間、2013.05.04305045

▼栃木県芳賀地区の八十八夜は田植えの季節です。機械植えではなく、一本一本手で植え付けて行きます。折から近所の益子では陶器祭りが開かれ、普段は一両編成のDCも2両編成の運行です。
真岡鉄道、2123レ、益子-北山間、2008.05.03
IMG_3011

 
▼梅雨時の阪和線、特急『あすか』が和歌山に向かう途中、山中渓で野良着姿の婦人に出会いました。特急の通過後線路を越え、右手の畑に向かいました。
阪和線下り特急あすか、山中渓-紀伊間、1965.06.13
C1301

▼真夏の飯山線、昼下がり。近所の子供たちが一面緑の中で遊んでいました。そこへ一筋、オレンジ色DC。よく見られた日本の原風景の一つの様です。
飯山線客130D、森宮野原-足滝間、1965.08.15
C1406▼こちらも真夏の米坂線。都会の子どもか、それとも沿線の子どもかは判りませんが、お出かけの様です。砂利石の上に無造作に置かれた風呂敷包み、片隅のあじさいの花がこの時期に咲く山奥の駅でした。
米坂線客119レ、機39685【坂】、玉川口駅、1965.08.17
C1529

▼栃木県の稲刈りが、関西地区より1ヶ月近くも早く始まりました。機械化のお陰で夫婦2人で十分です。傍らをDCが駆け抜けます。
真岡鉄道客128レ、市塙-多田羅間、2007.09.15IMG_6334▼昔の稲刈りには沢山の人手が要りました。家族親戚、近隣の人々総出での作業でした。
加太板屋地区でも同じでした。
関西線客332D、加太-中在家信号所間、1965.10.17
C1920▼同線、同所。脱穀の粉塵が舞う中にDCが見えます。背後は鈴鹿山系・錫杖ヶ岳。一帯が秋の様相です。
C1915今回は図らずも全てがカラー画像でしたが、モノクロ画像に始まった『人と鉄道と』。特別に意識して撮った訳でもないのですが、長年のフィルムにはところどころに人々が写り込まれていました。並べてみると少しは良い感じかなと自負しています。
それにしても昔は、鉄道の周りに沢山の『人』が居ました。最近は沿線に人影が少なく、子どもたちに至ってはほとんど見かけません。また無人化が進み、無人駅も増えました。見かけるのはカメラを持ったにわかファンを含めた鉄道ファンや観光客です。筆者もその一員ですが、撮れない『人』よりは、変わらない日本の山川、海辺をバックにこれからも、鉄道を撮り続けようと思います。日本の原風景を特集できたらなあとも思っています。

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