客車のある風景 ~フィルムの片隅から~ 〈4〉

妻”の魅力

と言っても、客車の端部の“妻面”のことですが、気動車・電車編成の後部には運転室があって、それなりの顔つきですが、客車の場合、本来、編成の中間に隠れるはずの妻面が、たまたま編成の最後になって、場違いな姿を見せている、と言った感じです。前回紹介の貫通路も含めて、客車独特の角度でもあり、何か旅愁、哀愁と言った雰囲気を漂わせているのが、客車の妻面でした。発車して行く荷物列車を見送る(柘植、昭和47年)。

「客車は後ろ姿も絵になる」、いつも列車が見えなくなるまで、カメラは離さなかった(中松、昭和46年)。

最後まで見送るのは、駅員も同じ。雪にもめげす、律儀な見送りを続けていた(滝谷、昭和46年)。 ▲▲妻面にテールライトが点ると、さらにアクセントとなった(大畑、昭和46年)。妻面の魅力のひとつは、車端に車掌室のある客車だ。このスタイルはオハフ61が最初で、その後の客車にも受け継がれた。後方の監視用として、妻面には小窓も設けられた。これも星晃さんのアイデアだったと述懐されている。のちの12系や50系では、両側に窓が付いたが、やはり片側だけが、いかにも客車らしい(笠置、昭和47年)。

 客車のある風景 ~フィルムの片隅から~ 〈4〉」への2件のフィードバック

  1. 去りゆく列車、遠ざかる音、人生の映像化と言える。
    わたし的には、最後の「桜の花びらに見送られるマニ60」に一票

    • 米手さま
      “人生の映像化”、いつも直球ストレート3球勝負の米手さんらしからぬ言葉をいただき、恐縮です。最後の花びらを載せたマニ60も細かいところまでよく見ていただいています。写真を撮った笠置駅は桜の名所で、しばらく停車する荷物列車の屋根にも桜が散ってきます。実は撮った時は全く思いもしなかったことですが、改めてネガを見て、発見しました。このように、写真は撮ったあとから、改めて発見することも多く、過去の写真のチェックは欠かせません。

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