先日来、関西電力が鉄道各社に節電を要請している事が報道されている。お得意先であり、株主である先に要請をしているが、政府がお触れを出した東京電力の場合と異なり、少し遠慮がちであるように見受けられる。15%の時は戸惑い、5%なら何とかなるとも報じられた。今朝の新聞では10%となった。さて、【13585】で須磨の大人が28年前、カナダ・エドモントン市に長期出張した話を披露してくれた。老人もその頃(1980年1月)、ドイツ・フランクフルト等に業界視察と交流と言う名目で10日間出張したことを思い出した。彼が出張先で、自動車から電車撮影したことを知り敬服している。あの電車はドイツ製で、今や世界で話題となっているLRT のLRV、その”さきがけ”となったものである。彼が28年前に撮影した連接車は、1968年に試作車が出現した。車体はデュワーグ社の製造によるもので、形式はU2、1単位の車体長は23m(連結面間は約24.8m)、巾2.65m、自重29.5t、座席定員64人、出力150kw×2となっている。
老人はフランクフルト4日目に自由行動が許され、吉谷先輩から聞かされていた路下電車探訪をする事にした。前日、市内地図を中央駅の書店で仕入れ、ホテルマンに地下鉄の乗り場を地図にマークしてもらったら、中央駅地下から北の方向目がけてのルートがそうであった。西駅を出てしばらくすると地上に出て国鉄線と合流し専用軌道となった。住宅街の一部は併用軌道、そのうち地下に潜り終点。地上に出てみると市の中心部であった。この時乗ったのがU2であった。真っ赤をベースに腰部をアイボリ-とした、派手な外部塗色はとても印象的であった。そして街並み拝見を始めたのだが、ゲーテ大学近くの交差点でU2が1単位で停車しているのを見つけバカチョンで撮った。今回探して見たけれどもフィルムは出てきたが、写真は見付からない。そこで1990年5月、サンディエゴでのU2をお目にかける。赤1色である。南へはメキシコ国境へ向うが、市街地を外れると貨物線を利用したところもあった。後に東へ延びたルートには行っていないが、大陸横断鉄道の最南端ルートになっているとかで、今もDL牽引の貨物列車との併用区間が随所にあるとか……。U2が登場した頃はまだ超低床車、ステップレスなんて話題になっていなかった。
ここで本題。U2形は2車体連接車で非貫通両運型である。閑散時は1単位でも走れる。今回、関電に節電を要請された電鉄各社は、最も電気を消費するのは列車運行に関わる鉄道部門であろう。間引き運転、ダイヤ変更、減車と、いろんな方法が考えられているが結論はまだのようだ。阪急京阪線の昼間時、「空気を運ぶ車内に見慣れている」老人は、8両固定編成で本線上を走っている普通や準急は果たして減車出来るのかと、ピクトリアル誌の「阪急特集号」を取り出してみた。神宝線共に、以外に生きている運転台付の中間車があることが分った。南海も大丈夫。近鉄は増結用の2連が多い。深刻なのは京阪と阪神だ。京阪は輸送力大増強時代、2600系を除き7、8連固定に編成替えをした結果、中間運転台を客室に改造してしまった。阪神も同様で、大阪なんば線用の1000系が登場する迄は、武庫川線用を除き4、6両編成しかなかった。山陽も神戸電鉄も然り。となると減車可能は阪急、近鉄、南海ぐらいのもので、他は相変わらず「空気を運ぶ」電車が残るようだ。JRは?
ドイツでは地下線でも運転される車両は、貫通式であることが義務付けられていないようだ。そこでU2はラッシュ時3単位で地下線運用されている。路下のため急カーブもある。連結部は長いリーチを生かし急カーブにも対応している。とてもじゃないけれど貫通幌など装備できない。でもこれが効を奏して、簡単に増解結可能となり、効率良い運用が可能となる。節電電車の一つであろう。話題がこじつけとなり申し訳ない。