昭和40年代の水島臨海鉄道

98-07.Kurashikishikou.ohafu3011.65.8.17Mizu
  40-8-17   水島

西村雅幸氏より8月24日【38958】で、水島臨海鉄道の近況報告があったが、昭和40年代を車両中心に振り返ってみた。併せてK.H.生氏がコメントされているクハ16についても解説したい。

沿革
三菱重工業水島航空機製作所の貨物及び工員輸送を目的として、戦時中の昭和18年6月30日に専用線として開通した。戦後の21年5月に鉄道の管理が三菱地所に移管され、更に22年4月には水島工業都市開発に移された。当時倉敷~水島間は両備バスが運行されていたが、輸送力不足のため旅客輸送が要望され、23年6月地方鉄道免許を取得して営業を開始した。しかし企業誘致が進まず経営不振に陥ったため、27年4月倉敷市に譲渡され、市営鉄道として再スタートをきった。

45年4月1日倉敷市、国鉄、岡山県等が出資して設立された第三セクター水島臨海鉄道に移管された。62年4月1日の国鉄分割民営化により国鉄が保有していた株式はJR貨物に譲渡された。
倉敷市の株式保有割合は35.3%で、代表取締役社長には倉敷市長が就任している。

車両
機関車

DD503/ (44-3-19)
35年日立製作所製の45t機で、当時在籍していたDC501(→別府鉄道DC302)、DC502(→茨城交通ケキ104)の追番で503が付番された。機関はDMH17S(240PS)を2基搭載。
DD503 44-3-19

DD504/ (44-3-19)
36年川崎車輌製の50t機で、機関はDMH17S(240PS)を2基搭載。
DD504 44-3-19

DD505/ (49-11-23)
37年川崎車輌製の50t機で、DD504とほぼ同形。機関はDMH17S(240PS)を2基搭載。
DD505 49-11-23

DD506/ (49-11-23)
41年日立製作所製の50t機で、機関はDMF31SB(500PS)を1基搭載。
DD506 49-11-23

DD501/ (47-7-30)
43年日立製作所製の50t機で、DD506とほぼ同形。機関はDMF31SB(500PS)を1基搭載。
DC501とDC502が別府鉄道に譲渡され、501が空番になっていたので付番された。番号だけで判断すると最も古い機関車に思えるが、46年に国鉄DE11と同形のDE701が入線するまでは最新鋭機であった。
622-20.Mizushimarinkai.DD501.72.7.30Mizu

〔過去の車両〕
DC501→別府鉄道DC301/ (44-10-21) 別府港
28年川崎車輌製の30t機で、機関はDMH36(300PS)を1基搭載。41年別鉄道に譲渡された。
別府鉄道 DC302-2 44-10-21

DC502→茨城交通ケキ104/ (46-5-30) 勝田
31年川崎車輌製の30t機で、機関は三菱日本重工業製のDL-2L(370PS)を1基搭載。41年茨城交通に譲渡された。
ケキ104-2 46-5-30
ケキ104 46-5-30

気動車
キハ305/ (47-7-30)
元中国鉄道キハ二181が前身で11年加藤車輌製である。19年6月1日鉄道省に買収されたが車号は変わらなかった。24年9月国鉄で廃車になり、26年11月に譲受け、この時にエンジンをDMF13に換装した。47年に前照灯の移設と2灯化が行われた。
622-26.Mizushimarinkai.kiha305.72.7.30Mizu
622-28.Mizushimarinkai.kiha305.72.7.30Mizu

キハ310/ (44-3-19)
元中国鉄道キハ二201が前身で12年加藤車輌製である。スタイル的には鉄道省キハ41000形と同一で、荷物室は常設ではなく、座席の一部を落とし込んでカーテンで仕切る簡易なものであった。
詳細は湯口先輩の「内燃動車発達史・上巻」のP246~P250をご覧いただきたい。
その後の経歴はキハ305と同じである。
キハ310 44-3-19

キハ311/ (44-3-19)
元国鉄キハ0411が前身で9年大宮工場製である。車号は新製時のキハ41088から41210→41310と変化して33年1月に中込区で廃車になり、33年8月に譲受けている。
キハ312(元国鉄キハ0432/9年日本車輌製)は写真が見つからないので省略する。
キハ311 44-3-19

キハ301/ (44-3-19)
元夕張鉄道キハ301が前身で33年新潟鐵工所製である。片運であるが連結面に簡易運転台がある。夕張鉄道時代はD+D、D+T+D編成で夕張~野幌間53.2kmを90分で結び、野幌~札幌間を同社の快速バスに連絡して、札幌~夕張間の最短ルートを形成していた。
炭鉱の衰退による乗客減で余剰となり、43年6月に譲り受けた。
301 44-3-19

キハ302/上 (47-7-30)  下 (49-11-23)
経歴はキハ301と同じである。
622-27.Mizushimarinkai.kiha302hoka.72.7.30Mizu
キハ302 49-11-23

 キハ303/ (49-11-23)
元夕張鉄道キハ252が前身で30年新潟鐵工所製である。46年11月鹿ノ谷~夕張本町間の鉄道廃止と鹿ノ谷~栗山間の旅客営業廃止により余剰となり、47年3月に譲り受けた。
元は両側とも湘南窓の両運車であったが、35年にトラックと衝突して片側の運転台を大破し、復旧時に切妻の簡易運転台付きに改造された。
622-22.Mizushimarinkai.kiha303.72.7.30Mizu

〔参考〕夕張鉄道キハ252/ (44-9-3) 鹿ノ谷 単行で運転中
キハ252 44-9-3鹿ノ谷

キハ304/ (49-11-23)
元夕張鉄道キハ253が前身で31年新潟鐵工所製である。入線の経緯はキハ303と同様である。元はキハ252同様両側とも湘南窓の両運車であったが、キハ252と編成を組むため37年に片側切妻の簡易運転台付きに改造された。
キハ304 49-11-23

キハ320/ (47-7-30)
元国鉄キハ07202が前身。27年東急車両でキハ42618として新製。32年4月の称号改正でキハ07119に改番、36年3月名古屋工場で液体変速機を取付け、総括制御改造でキハ07202に改番された。44年10月美濃太田区で廃車になり、47年3月に譲り受けた。
622-14.Mizushimarinkai.kiha320.72.7.30Mizu

キハ321/ (49-11-23)
元片上鉄道キハ701が前身であるが更に前身がある。11年日本車輌でキハ42013として新製、26年ディーゼル化でキハ42503に改番、称号改正でキハ074に改番、41年8月勝浦区で廃車後42年10月片上鉄道が譲り受けた。入線時に総括制御改造、43年1月前照灯の2灯化が実施された。列車本数削減により余剰になり、47年12月に譲り受けた。
キハ321 49-11-23

客車
オハ3123/ (40-8-17)
元国鉄オハ31182で2年新潟鐵工所製である。
36年9月に譲り受けた。トイレ、洗面所を撤去してその跡にロングシートを設置した。譲り受け日、トイレ、洗面所の撤去は他車も同様である。
3123

オハフ3122/ (40-8-17)
元国鉄オハ3146で2年日本車輌製である。37年ロングシート改造部分に車掌室を設置した。
98-05.Kurashikishikou.ohafu3122.65.8.17Mizu

オハフ3011/ (40-8-17)
元国鉄オハフ306で2年日本車輌製である。
98-06.Kurashikishikou.ohafu3011.65.8.17Mizu
上記の他オハ3121(元国鉄オハ3127で2年汽車会社製)が在籍していたが撮影できていない。

ホフ301/ (44-3-19)
前身は元芸備鉄道キハ二8で、12年7月1日2次買収時に鉄道省籍になりキハ二40707に改番された。
芸備鉄道は、芸備線の広島~備後庄原間の前身で、6年6月1日備後十日市(現三次)~備後庄原間(1次買収)、12年7月1日広島~備後十日市間と2回に分けて買収されている。
専用線時代の19年頃に入線したらしく、キハ301となった。33年に機関を外して客車化されたが、この時称号が「ホハフ」ではなく「ホフ」となった。何故「ハ」が外されたのか理由は不明である。
ホフ30 44-3-19
ホフ30-3 44-3-19

ナハ二フ153/ 上 (44-3-19)  下 (49-11-23)
前身は元夕張鉄道ナハ二フ153で、15年日本車輌製である。43年6月キハ301、キハ302と共に入線した。
ナハ二フ153 44-3-19
ナハ二フ153 49-11-23

〔参考〕夕張鉄道ナハ二フ153/ (42-9-4) 鹿ノ谷
42-9-4 ナハ二フ153 夕張

入籍しなかった車両
47年3月21日付け宇部区で廃車になったクハ16418、クハ16428を購入したが入籍せず、3年くらい倉敷市駅に留置された後解体された。
客車化してナハ二フ153と同様に、ラッシュ時にキハの中間に挟んでD+T+D編成を組成する予定であったが、あまりにボロ過ぎて改造を断念したというのが真相ではなかろうか。
 上・中 クハ16418  下 クハ16428/ (49-11-23)
クハ16418-2 49-11-23
クハ16418 49-11-23
クハ16428 49-11-23

〔参考〕 倉敷駅停車中のクハ86130他8連、山陽本線下り普通列車/ (47-7-30)
622-29.SayoseD80kei8ren.Tc86130oka.72.7.30Kura

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