まだ残っていた片上鉄道キハ311

片上鉄道が廃止されたのは26年前の1991年(平成3年)7月1日でした。吉ケ原駅には多くの動態保存車両があり、往時を偲ぶことができます。一方吉ケ原以外の場所の保存車両についてはあまり情報がありませんが、この度たまたま某団体のバス旅行の途中、運よくトイレ休憩のためにドライブインにバスが停まってくれたので、思いがけなくキハ311に再々会できました。

片上鉄道キハ311 H29-11-8 岡山県国道484号菊ケ峠のドライブイン前にて

このキハ311は1953年(昭和28年)宇都宮車両製でキハ41000系ですが、片上自社発注車です。新製後すでに64年が経っています。現役時代にも撮っていました。

1969年(昭和44年)7月27日 片上にて この時は確か薄いピンク色。

片上鉄道の廃止に伴い 現在地のドライブインに保存されてからも 1994年(平成6年)に一度訪ねています。

1994年(平成6年)2月14日撮影

この時には塗装も色あせて、かなり傷んでいましたので そう長くはないだろうと思っていました。ところがそれから23年も経っているにもかかわらず、まだ姿を留めているのには驚きました。

さすがに雨ざらしでは傷みが早い。開いたドアから車内を見ると、破れた天井から空が見えました。

屋根の一部は抜けている

エンジンはここに持ってくる際に外されていたのでしょう

今となっては貴重な「宇都宮車両」の銘板

宇都宮車両は戦前の中島飛行機宇都宮製作所をルーツとしていますが、昭和25年以降昭和28年に富士重工業となるまでの3年余だけ名乗った社名ですから、希少価値があるでしょう。ところで23年前に撮った写真と比べてみてください。平成6年当時は薄いピンク色の旧塗装だったのが、廃車体にもかかわらずわざわざ最晩年の塗色に塗り替えられているのです。そもそもこの廃車体の所有者が誰なのか未確認ですが、保存しようという意図のもとに再塗装されたのでしょう。しかしここまで傷むとさすがに余命いくばくもないように感じつつ、皆さんの待つバスに戻って現地をあとにしました。

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