ふた旅 めぐる旅 東北編 ⑤

五能線を旅する

五所川原を7:58発の3524Dに乗って、東能代まで約3時間の18きっぷの旅に出ました。空は快晴、岩木山も秀麗を見せ、まもなく日本海に沿って走ります。五能線は、そのものがメジャーな観光地になっていて、観光用のリゾート列車も賑わっていると聞きます。さすがに普通列車までには及ばず、車内は、地元の乗客、高校生でちょうど埋まる具合、と思っていたら、途中の千畳敷や鰺ヶ沢から、観光客がどんどん乗り込んできて、数駅だけ乗っては下車して行きます。どうやらバスツアーで、数駅だけ五能線に体験乗車し、先回りしたバスに乗車というコースのようです。
途中で首尾良く、キハ40系特有の二人掛けの座席を確保、個室感覚で、誰に気兼ねもなく、窓を全開して、ナマの風を入れて、要所では身を乗り出して、撮影を楽しみます。普通列車の一人旅の良さをしみじみ感じる時でした。 五能線は何度か乗車しているが、天候には恵まれず、今回、初めて青空のもとを走った。いまや窓を全開して、走り去る車窓を思い切り写せる車両も貴重になった(追良瀬~広戸)。

50年前も、満員の車内に寒風が入り込むのをものともせず、窓を開けて移り行く風景を連写していた。50年経っても、何も変わっていない自分がいた(風合瀬~轟木 昭和47年2月)。
これが二人掛けシート、固定クロスとロングシートの間にあって、窓割りと一致させるため設けられた。他にも20系、55系にもあった。

 

 

 

 

 

深浦

深浦は、五能線全区間147キロのほぼ中間に当たり、運転上の要衝でもある。運転士も交代して、列車番号の変わる列車もある。50年前には、沿線にユースがなく、やむを得ず、深浦駅の窓口で紹介してもらった旅館に泊まったことがある。手帳を見返すと「旅館代1200円」と書かれていた。学生の分際で、よく泊まったものだった。

深浦では、ほとんどの上下列車が交換する。なにせ、深浦を出ると、38km先の岩館まで交換設備がない。国鉄末期に自動閉塞化された際に大幅に交換駅の削減があった。
現在の深浦駅は、島式ホーム二p線の駅、50年前、訪れた時は、夜間の機関車の駐泊に備えて、小規模ながらも機関区設備が一式揃っていた。深浦に泊まった理由は、夜間の撮影だった。夜間の駐泊列車があり、その撮影が目的だった。

 

旅館から歩いて駅へ行き、深浦終着の列車を撮影した。構内には木造の一線の庫があり、もう一両のハチロクが寝息をたてていた。

五能線は、前記のようにリゾート列車が好調で、乗車率も微増していると言う。とくにJR東日本の「大人の休日パス」、通称“オトキュウ”の期間中は、首都圏の大人で賑わっているようだ。ほかのローカル線が国鉄時代に比べて列車本数が削減されているのに比べて、五能線では、リゾート列車を加えると、国鉄末期より増加している。

とは言いながら、中間部の岩館~深浦で、リゾート列車を除けば、一日5往復に過ぎず、しかも、私の乗車した列車も含めて、「快速列車」としての運転で、乗降数の極端に少ない駅は通過している。ここにも、観光重視、地元軽視をせざるを得ない現実があった。

鰺ヶ沢

もうひとつの主要駅、鰺ヶ沢は二面対向式の構造で、乗降も多く、駅前も深浦よりにぎやかな感じだ。ここでも、列車交換が行なわれる。

50年前の鰺ヶ沢を発車する弘前行きの通勤列車。5両の客車は満員だった。跨線橋が今も変わっていないことが分かる。

気動車列車もあったが、鰺ヶ沢が乗降数の境界に当たり、車両の解併結が行なわれていた。鰺ヶ沢から少し歩くと、もう五能線らしい風景が広がっていた。

りんご畑が広がる藤崎で、上下の蒸機列車が交換。
日本海から吹き付ける風は強く、じっと待っていると寒いので、隣の駅まで歩き通した(鰺ヶ沢~鳴沢)。

 

 

 ふた旅 めぐる旅 東北編 ⑤」への2件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    いつもながら すばらしい写真をありがとうございます。私は9年前の平成22年7月にレンタカーで白神山地を訪ねた際に五能線沿いを走りました。深浦も通過しましたが、丁度列車の通らない時間帯だったので、駅の写真を撮っただけでしたが、あのウナギの寝床のような機関庫も撮っていました。今年は八戸線に初乗りしましたが、もう五能線を訪ねることはないだろうと懐かしく拝見しました。

    • 深浦の写真を見せていただき、ありがとうございます。私は海側ばかり見ていたので、深浦の山側にまだ機関庫があったことに気づきませんでした。今も、深浦ではDC列車の夜間駐泊がありますから、とくに冬期の暴風雪から守るための庫が必要なのでしょう。私も五能線は生きている間には、もう行かないだろうの気持ちで全線乗りました。

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