10月5日(日曜日)西武秩父線横瀬車両基地で「西武トレインフェステバル2008in横瀬」が開催された。このイベントは例年10月14日の「鉄道記念日」に近い土曜日か日曜日に行われており、昨年まではスケジュールが合わず、今年初めて見学した。内容は横瀬基地に保存されている車両の一般公開と鉄道部品の販売がメインである。当日はイベント参加者のために池袋~横瀬間に最新の30000系8連による臨時快速急行が運転された。
この電車に乗車する予定で8時頃西武池袋駅に到着した。ホームに上がると1本前の8時4分発の秩父鉄道直通の長瀞、三峰口行の快速急行がクロスシートの4000系8連で停まっており、空席があったので乗車した。車内は登山、ハイキング客でほぼ満席であった。飯能で方向が変わり、東飯能を過ぎると山岳地帯となり、駅毎に登山客が降りて行った。長い正丸トンネルを抜けると秩父盆地で程なく横瀬に到着した。車両基地の公開は10時からで30分近くあるのに長蛇の列ができていた。正直なところ、都心から遠く離れた秩父までわざわざ古い電気機関車を見に来る人は、そう多くはいないだろうと思っていたが大間違いであった。続いて到着した特急からも多くの人が下車、その後に到着した30000系臨時電車は立ち客がいるほどであった。
場内は大賑わいで、特に家族連れが多く、子供を電気機関車のデッキに乗せて撮影する親が多く、中々写真が撮れなかったが、正午前後に各車両毎に撮影タイムが設定された。ファンよりもピクニック気分で来ている人が多く、年中行事として沿線の人に定着しているのであろう。パンタグラフは最初は下りていたが10時半頃上げられた。隣で撮影していた人によると、年によっては下がったままのことや、車体横に説明板が吊り下げられていることもあり、今年はラッキーだったそうである。この辺りは当日の責任者の判断に任せているのかもしれない。大正時代東海道線の電化時に輸入された電気機関車が現役時代のままの美しい姿で大切保存されていることは誠に意義深く、近江鉄道のED31、ED14も各1両はこちらで保存してもらえないものかと思った。
(1)E52(元国鉄ED122)
現役時代の画像と経歴については【1415】で紹介してあるので、そちらを参照いただきたい。
(2)E61(元国鉄ED111)
大正12年ゼネラル・エレクトリック社製で、昭和35年5月国鉄で廃車、昭和37年6月西武に譲渡されている。廃車は昭和59年で、現役時代近江鉄道に貸し出されたことがある。(昭和40年1月9日彦根駅で撮影)同形のED112は国鉄に残り「佐久間レールパーク」に保存されている。(【1082】を参照)
(3)E71(元国鉄ED102)
大正12年ウェスチングハウス社製 昭和35年5月国鉄で廃車、昭和37年6月譲渡、昭和61年廃車、近年国鉄時代の塗装になり、元のナンバーのプレートが付けられた。
(4)E43(元国鉄ED361←青梅鉄道デキ3)
昭和2年イングリッシュ・エレクトリック社製で、元青梅鉄道が輸入し、昭和19年国鉄に買収で1013、昭和27年の改番でED361となった。昭和35年国鉄で廃車後西武に譲渡、昭和62年廃車となった。
(5)E33(E31形)
保存車両ではなく現役の機関車である。E31形は昭和61年から62年にかけて輸入機の代替として西武所沢工場で4両作られた。台車は元国鉄モハ80300番台、主電動機は同社の元351系のものを使用した。工事列車や新造車両、譲渡車両の牽引等に使用されているが廃車が噂されている。
その他、E854が展示されていたが、停車位置が悪く来年に期待したい。
(6)D16
昭和44年日車製でブリジストン小川工場の入換に使用されていたが同工場廃止後、西武に移籍、東横瀬(貨物駅)の入換に使用されていた。平成8年3月貨物廃止により廃車となったが、機器扱いで現在も横瀬基地の入換に使用されている。
(7)4号機
1886年(明治19年)イギリス、ナスミス・ウィルソン社製の蒸機である。官設鉄道75号を振出しに日本鉄道、房総鉄道、川越鉄道等を経て昭和32年まで西武鉄道で活躍した。廃車後はユネスコ村に展示されていたが、閉鎖後横瀬基地で保存されている。ブルーシートを被せた状態で保存されているらしく状態は芳しくないのが残念である。
(8)クハ5503
昭和44年西武秩父線開業時に特急車として作られた車両で、平成5年から後継の10000系に置換えられ廃車となった。クハ5503が保存、庫内にクハ5507の前頭部のカットモデルが保存されている。
その他、電車ではクモハ355が登場時の塗装に戻されて保存されているが、停車位置が悪く来年に期待したい。(【1313】で上毛電鉄に譲渡された同形車を紹介しているので参照いただきたい)
(9)スム201
少し前までは当たり前に見られた貨車であるが、今となっては貴重な存在となってしまった。保存しているのかどうかはわからないが野晒しのため状態はよくないようである。
(10)ワフ105
浅い屋根とユニット窓が特徴のいかにも私鉄のワフといういでたちであった。こちらも保存の対象となっているのかは不明であるが、スム201と同様状態はよくない。
(11)クハ38103
臨時快速急行に使用された、今年デビューしたばかりの新車である。