群馬県の私鉄を訪ねて

9月9日、前日来の高崎での仕事が午前中に片付いたため、駆け足で群馬県下の私鉄を覘いてみた。

前橋駅から徒歩で上毛電鉄の中央前橋駅へ、この区間は上毛電鉄の発着に合わせてレトロ調のシャトルバスが結んでいるが、歩いても15分位である。ガ ラス張 りの駅舎は掃除が行き届き、非常に明るく清潔な感じがした。到着電車を1本撮影後、改札口で一日乗車券を購入したが、女性の駅員の対応が非常に感じが良 かった。元京王井の頭線のデハ714+クハ724に乗車すると乗客は10人程でちょっと寂しい。次の城東で早くもおばさん1人が下車、各駅の駐輪場には相 当数の自転車が止められていたのでラッシュ時にはそれなりの利用があるものと思われる。車内は内装がマリンブルーで魚のシールが貼られており楽しい雰囲気 である。途中駅で交換待ちの時、乗客のおばさんが初老の運転士に「綺麗な電車ですね」と声を掛けると「組合員がお金を出して水族館をイメージして作った。 内装は専門業者に頼んだが、魚のシールは社員が貼った」と答えていた。20分で車庫のある大胡に到着、降りたのは私一人であった。西桐生寄りの鉄橋で上り 電車を撮影し、次の電車で赤城まで乗車した。

わたらせ渓谷鉄道大間々駅には徒歩15分程で到着。12時16分発間藤行で足尾まで行き、日光市営バスで日光に出て東武で帰ろうと思ったが、足尾で 待ち時 間が2時間もあり中止、結局12時52分発の桐生行に乗車した。この列車は11月末までは間藤始発であるが、12月からの平日は大間々始発となり、間藤〜 上神梅間の列車間隔は約3時間も空くことになる。到着した桐生行の乗客は8名で、大間々で乗車したのは私1人であった。次の運動公園で2名、相老で東武の りょうもう号から乗り換えのビジネスマン風の客が4名増えて桐生に到着した。昼食後、上毛電鉄のフリー切符で前橋に戻ろうと思ったが、上信電鉄に行きたい のでJRに乗った。107系の4連で、こちらも単行で間に合う位の乗車率であったが、伊勢崎で座席の3分の1位が埋まり、前橋で7割位塞がった。

高崎で上信電鉄のホームに行くと、デハ252+クハ1301が停車中であった。未撮影の車両であるが、終点の下仁田まで行かないと撮影できないので 今回は 諦めた。座席は3分の1以上埋まっており、今日乗った電車の中では最も車内が華やいでいた。以前から目を付けていた南高崎〜根小屋間の鉄橋で撮影するため 根小屋で下車。おばさん駅員が乗客に「おかえりなさい」と声を掛けながら切符を受け取っていた。鉄橋に行く途中で上り電車(クモハ6001+クモハ 6002)が通過、現地に到着すると順光側は電柱と電線がうるさいため手前で撮ることにした。程なく下り電車(先程の上りの折返し)が通過、上下あと一本 ずつ撮影しようと思っていたが、疲れたので今回は下見と云うことにして駅に戻った。切符を買うと今時珍しい硬券であった。

今回は、駆け足で平日の昼間という最も乗客が少ない時間帯に乗車したが、3社に共通することは、状況が非常に厳しいということであった。この中でも 各社そ れぞれに一人でも乗客を増やす努力をしていることが判った。特に上毛電鉄は社員がお金を出し合ってでも鉄道を守ろうとする姿勢には感動するものがあった。 しかし、状況は厳しく、来年3月には大胡にある県立高校が少子化による統廃合で廃校となり、通学客の減少が予想されている。開業時に作られたモハ101を 生かしたイベント、沿線の中高年を対象としたハイキング会の開催等を通して是非頑張っていただきたいと思った。

1.デハ711              中央前橋
元京王井の頭線の3000系で、平成11年から12年にかけて入線し、8編成在籍する。昼間の30分間隔は40年前と同じであるが、40年前は朝夕の20 分間隔の時間帯が長かった。中央前橋駅は確かに前橋市の中心部にあるが、生活基盤が郊外に移ってしまったため周囲は閑散としている。JR前橋駅からここま で歩いたがシャッターが下りている店が目立った。JR前橋駅前の大型スーパーも撤退を検討しているとか。

2.デハ714の車内           中央前橋
従業員がお金を出して水族館をイメージした車内に改装した。


3.わ89−201            大間々
大間々駅を発車した間藤行であるが、乗客は10人程。休日は神戸(ごうど)にある冨弘美術館に行く人が結構乗るということである。
わ89−201は平成元年開業時に富士重工で作られた車両で3両在籍する。



4.クモハ6001+クモハ6002    根小屋〜南高崎
昭和56年新潟鐵工所で作られた車両で当初から冷房付きであった。


5.中央前橋駅〜前橋駅間のシャトルバス  JR前橋駅前
上毛電鉄の電車の発着に合わせてJR前橋駅間にシャトルバスが運行されている。運行会社は日本中央バスで運賃は100円である。写真のレトロ調のバスは、平成11年式日野KK−RJ1JJAAという型式で車体は東京特殊車体製である。

群馬県の私鉄を訪ねて」への1件のフィードバック

  1. 藤本様
    なつかしい前橋市内の様子、見せていただきました。
    私の家内が前橋の高校出身で、数年前に彼の地を訪れたとき、二人でその高校を訪ねがてら市内を歩いたことがあります。群馬県は自動車の普及率の極めて高い県で、駅前は立派なものの、そこに出入りするバスも閑散としており、帰りに立ち寄った中央前橋駅もほとんど人影が見られず、クルマの影響をヒシヒシと感じました。鉄道会社の涙ぐましいまでの、増収努力には頭が下がります。

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