【8229】パクリとニセ情報

ファイト、馬力、酒量いささかも衰えぬぶんしゅう氏が「新緑の赤沢森林鉄道」をアップされた。その中のF4型ボギー式機関車に添え、「上松停車場で出発寸前の『みどり号』を連結したF4型ボギー式機関車」とのキャプションが付された写真がある。

実はこの写真、「おじん2人+1人 ヨーロッパ軽便」トリオの「+1人」氏の作品で、どこかでパクラれ、堂々と展示されている訳である。かような公共展示であっても、撮影者の了解を取るのは当然だし、それが叶わぬなら、せめて出所(複写元)を明示するべきであろう。パクリが数々指摘されている上海「パク博」のことをあんまり言えないのが情けない。

パクリと言えば、すさまじいのがウイキペディアである。勿論真面目なものも多いのだが、執筆者の名前が出ないからか、パクリが大手を振って白昼堂々と横行し、全く恥ずるところがない。拙著「内燃動車発達史」等からも丸写しが山ほどあってうんざりするくらい。せめて出典を記す最低限度のマナーなんぞ、糞でも喰らえ、ないしは引用してやったのだから有難いと思え、といわんばかりである。

反面、まことしやかな記事で、うっかり信用して引用しようものならとんでもないことになるものも少なくない。最近必要があって「皇室用客車」から「軽便用御料車」を検索して驚いた。ちゃんと形式図まで入っているのに、それがまるで関係ない=違う図なのである。エイプリルフールじゃあるまいし、この執筆者は、まるっきりのガセネタ=ニセ情報で、読者を騙して喜ぶ愉快犯なのかもしれない。

両備鉄道は762mm軌間ながら1927年電化し、日立製凸型B-B電機11~16が就役。客貨車は日車製ばかりで、2・3等合造車の記号がトナ(特等・並等)、3等車がナであった。1930年の陸軍大演習で天皇が臨席されるとあって、両備鉄道は日車で「四輪ボギー貴賓車」1両「キ1」を新製。この時期木製車体で、それ以前の密閉車体並等車と実質同型だが、中央2個の窓を1個の広窓とした。これは用済後2個に割り、通常客車に格下げできる設計であった。


両備鉄道キ1組立図 『日車の車両史 図面集-戦前私鉄編下』より

現実には改造はなされず1933年現在キ1のまま、1940年1月1日買収され、福塩南線に。国鉄でも始末に困ってたった一度使っただけの客車だが、解体してしまったようである。

日車には数種の図面が残っているが、売上台帳には「木製御料車 1両 代価6,571円 製作費5,005円40銭」とある。即ちこの時期、しかも木製車体なのに、著しく高価であった。ガラスがすべて「磨硝子」だったが、それだけでこんな値段にはならないだろう。

ウイキペディアを即信用してはいけないとは、かねがね聞かされていたが、諸兄、上記のウソツキ図面(最大寸法7,170×7フィート×10フィート6インチ=なんでメートル法とフィート・インチ法が混ざっているんだろう)を検索し、日車組立図と比較してみてはいかが。

パクリとニセ情報” への5件のコメント

  1. 投稿記事を見まして、びっくりです。
    赤沢森林鉄道のパンフレットを見ますと、上松町観光協会と上松観光開発(有)が、木曽森林管理署から委託を受けて運営しているようです。公の機関が、堂々と著作権違反をしているとは、呆れます。
    正義感の強い私としては、許しがたい行為と思っておりますが、現場で一生懸命に働いておられる方々を見ています。現場の方々に罪はありません。しかし、このまま、ほっておく事は許されない行為です。
    この森林鉄道は、昭和62年(1987年)に復活しています。鉄道記念館が同時に建設され、写真が展示されたものか分りませんが、当時の展示に携わった方が、安易に考えて、パクリと気づかずにやってしまったと思われます。
    いずれにしても、パクリは事実として、抗議すべきで、謝罪を必要とすると思います。
    抗議というか、やわらかくの問題提示につきましては、私がいたします。その後、撤去または、キャプションを入れて展示を続けるかどうかは、ご撮影された方の意向によると思います。いかがでしょうか?

  2. 【8229】パクリとニセ情報について
    この図の掲載者は、ほかにもウィキペディアで根拠のない記事を投稿し、指摘されると、ひたすら「無視」を続ける非常識な人です。他人にはいろいろと言う割には、自分の立場が悪くなると「完全無視」という人なので、事実関係を追及しても無駄のような気がします。

  3. ご指摘の件につきましては、少々びっくりしているところです。件の形式図と記述は星山一男氏著の「お召列車百年」から引用したもの(この形式図については、著作権の対象となる著作物ではないと考えています)ですが、この方面の大家である湯口様が間違いだとおっしゃることであれば、きっと間違いなのだと思います。当該記述については、このページにリンクしたうえで、削除します。

    ただ、おっしゃるような悪意があったわけではないとは、申し上げておきたいと思います(単なる知識不足)。確かに、ウィキペディアにはどうしようもない書き手がいることは否定しませんが、私は、確実な出典をもとに執筆してきたつもりです(たまにフライングもやりますが)。今回、このような指摘を頂けましたことは、まことに恐縮の次第です。できますれば、ウィキペディアの本体の方にも、ご指摘をどしどし頂けますと幸いです(この分野の執筆者は極めて少ないので)。ここでは、せっかくのご指摘を見落とすことにもなりかねません。私も、他の執筆者の方から連絡をいただき、このことを承知した次第です。

    湯口様には、このような貴重な指摘をいただきましたことを、末筆ながら厚くお礼申しあげます。

  4. 自分もwikiの記事を編集している者の一人です。
    確かにwikiは荒らしや浅薄な知識で記述された未熟な記事がたくさんあります。
    「wikiは嘘ばかり」という人も多いです。
    しかし、そういった間違いを正し、記事を良くしようとしている人も沢山いるわけですからあまり酷い事は言うべきではありません。
    湯口様も何かを知りたくてwikiを利用されたわけでしょうし、同じようにwikiを頼りにしている人たちがいるわけです。
    こんなところで文句を言うのなら、直接wiki内で問題を提起し、該当する部分の間違いを正すのも必要ではないでしょうか?
    間違いを正すのは「知っている者」にしか出来ないわけですから。

  5. ket 様の投稿から半年以上経過しているので、もうこの投稿をご覧になられることはないと思いますが、あえて投稿させていただきます。
    自分が苦労して集めた情報を、みすみすwikipedia で公開することなどしたくない、という人は多いと思います。湯口様も、きっとそのようなお考えをお持ちなのではないかと推測されます。
    間違いを正すのはもちろん大事ですが、人のいやがることを勧めるべきではないと思います。

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