凍える大地への旅 2016年 Part 1 旅立ち 天津へ

私の最も訪問の多い国はお隣の中国です。まだ地方には定期運転の蒸気機関車が残り現役で走っていること、また乗り鉄が大好きですので、車内2泊3日乗車時間50時間にも及ぶ夜行寝台列車の乗車は、日本国内では経験できない素晴らしさです。

2014年12月31日、撮影の火の玉列車です。 【DATA】Nikon800E、ズーム90㎜、F5.3、 1/25秒 ISO6400

毎年何度も訪中を重ねていた中国鉄路ですがついに蒸気機関車の煙を見る日もカウントダウンが近づいてきました。現在確認できます定期運行は、SL観光鉄道として生き残りを図った四川省の芭石鉄道と、露天掘り炭鉱で現役として活躍する三道嶺だけになってしまいました。
後者の三道嶺は2年前に見た火の玉列車に驚嘆しました。あまりの衝撃に、また機材の性能不足もあって上手く撮れず何としてもリベンジしたいと、昨年も訪問したかったのですが家の事情で動けず撮りに行けませんでした。
今回は何としても撮りたいと決めましたが、問題は手持ちの機材では撮影不可能なことです。照明もない暗夜の中で走行する列車を撮影するに対して必要とするカメラ、レンズの機材調達です。そして前後のコースをどうするかの問題でした。

【 求められるカメラとレンズの性能 】
2年前に撮影したのはNikonD800E のカメラと、Nikon AF-S NIKKOR 28-200mm f/3.5~5.6 ED VRのレンズでしたがカメラのISO感度は6400までで、手ぶれ防止レンズ機能が付いているとはいえ、F3.5-5.6では明るさが足りませんでした。同じ機材では失敗するのは明白ですので、これに対しての対策が必要でした。
対策としてISO感度を高めたカメラと仕様レンズをもっと明るくする2つの方法を組み合わせる必要があります。普通はバルブ撮影でもしないと撮れない闇夜で走行する蒸気機関車を撮るわけですからできる限りの高性能のカメラと明るいレンズの組み合わせが必要となります。

カメラ本体について同じNikon製で2016年4月にAPSサイズながらISO感度51200を誇るNikonD500が発売されていました。手持ちのレンズとの組み合わせなら絞り、シャッタースピードのどちらかで3段階アップできます。シャッタースピードなら1/25から1/125まで早くにできます。蒸気機関車の速度はおおよそ30~50km/hですので正面から狙えば被写体をブレなく撮れることができます。

次はレンズです。撮影条件に合うレンズは、70-200mmのズームレンズでNikonには明るいF2.8のレンズがあります。そして今回の旅直前の2016年11月11日にリニューアルして発売された、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRがありました。以前から欲しかったレンズです。

両方を用意できればリベンジにはできる限りの機材準備となるのですが問題は費用です。両方を購入するには約50万円近くは必要で、年金生活者にとっては困難です。どちらかを選ばなければいけないのかと困っていましたらウクライナにご一緒させていただきました豊中の8620さんから「1世代前になるがAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIなら持っているので貸してあげるよ。」と、願ってもないお言葉をいただきました。最新レンズは手ぶれ補正が改良されていますが、基本的なレンズ性能である解放値のF2.8は変わりありません。是非にお願いしますと申し上げました。感謝、感謝です。
これでレンズは確保できましたので後はカメラ本体だけです。最も安いネット通販価格を確認してからカメラ大手販売店を回りヨドバシで粘って、粘ってネット通販価格以下で購入しました。晴れて出発への準備が出来ました。

【 往路の選択 】
当初の計画では海南島の三亞からZ202次夜行寝台列車に乗って北上して北京に向かい、北京からは乗り換えてZ69次夜行寝台列車に乗車して哈密に向かおうかと思っていました。海南島から本土へはまだ乗っていない鉄道連絡船に乗船するのが大きな目的でした。
① 三亞 17:10⇒06:40北京
(所要時間37時間30分:2泊3日)
② 北京西10:00⇒12:49哈密
(所要時間32時間29分:2泊3日)
合わせて4泊5日の旅で、長距離列車乗車を堪能できます。哈密での現地集合に間に合うように12月3日前後には海南島に向かう予定でしたが、万全の予定をたてた時はいつも何かしらの用事が入るのが私の宿命のようで、急用発生であえなくポシャってしまいました。

それでも北京からZ69次夜行寝台列車に乗車して哈密へと向かう行程は行けそうでしたが今回の旅のリーダーである小竹直人先生より北京~哈密の格安航空券が確保できそうなので一緒に行かないかとお誘いがありました。北京から哈密への鉄道乗車は数回経験していますので、たまには空路でも良いかとチケットの手配をお願いしました。

【 出発便は関空から天津まではLCC 】
後は北京までの航路です。JGC会員ですのでマイレージも欲しいのでJAL便を選択しましたが関空からの直行便はなく羽田・成田経由も使いにくくなっています。
迷った末に思いついのは最近話題のLCCです。中国人が訪日しやすいようにと中国各地からの関空便が増発されています。値段も格安と聞きます。
ネット検索で調べてみますと何と天津航空搭乗で、「関空⇒天津片道 7,974円」が見つかりました。時間も関空13:20発とゆったりで良く、信じられないような運賃です。これがLCCなのかと驚きながら即決決済しました。

第1日目 12月9日

① 長岡京⇒大阪/梅田⇒難波/なんば⇒関空
② 関空13:20(GS7978)⇒15:20天津▲ 11:07 搭乗する天津航空のカウンターはLCC専用の第3ターミナルかと思っていましたがJALと同じ第1ターミナルでした。搭乗ゲイトバス利用もなく搭乗ロビーから直接飛行機に入れます。
私が天津に駐在していた折には関空からの定期便がJALとANAで毎日就航するようになっていました。よく利用させていただきましたが需要がそんなに多い路線ではありません、200数10人も搭乗可能客ある飛行機に搭乗している客は数10人で時には8人と機内乗務員と同数のときもあって、就航短い期間で休止路線となってしまいました。JALとANAのどちらかでも残ってくれたら良かったのですが・・・、その後復旧なることはありません。

【  機内持ち込み手荷物の重量制限 】
今日はJAL便利用でないのでいつものように専用チェックインカウンターやさくらラウンジは利用できないのが辛いところですが、アルコール類有料でのゴールドカードラウンジは利用できます。
混み合うことは必死だと覚悟していったチュックインカウンターはガラガラで、待つことなく問題ありませんでした。しかし機内持ち込み手荷物には7Kgの重量制限があって14kgあるカメラバックはオーバーで機内持ち込みが出来ませんと拒否されました。カメラ等の貴重品が入っているのでもし預けて壊れた場合の補償はちゃんとやってもらえるのかを確認しますと困られた様子です。

補償額は、カメラ2台とレンズ3本が入っていますので、約100数10万円にはなります。カメラを壊されると取材が出来ないのでその分にかかった旅費や人件費も対象になりますと申し上げると観念された様子で、「今日は搭乗客が少ないので特別に許可します。」とOKが出ました。
日本の空港でのチェックインでしたのでOKになったと思えますが中国や言葉の通じない他の海外空港では難しかったかもしれませんね。LCC利用にはリスクがあると知りました。

▲ 11:20 空港内に掲示してあった搭乗案内サインです。この時間は、ずらりと中国線便が並んでいます。関空は中国国内にある空港のようでもあります。

▲ 機内の様子ですが、ご覧の通りガラガラです。この時期は中国人にとって春節前で国内便、中国鉄路のきっぷも1年間でもっとも取りやすい時期です。国際線の飛行機も同様と思われます。

⇚ 機内をチェックしてみましたが洗面器の汚れはJAL・ANAでは考えられないものです。やはり中国の飛行機ですね。
▲ 13:37 LCCですので機内サービスはないと思って、なんばで乗り継ぎの際に高島屋で弁当を買って食べていました。ところが粗食ですが昼食が提供されたのには驚きました。そしてこれが結構美味しかったのです。

▲ 15:13(中国時間)、定刻で天津空港に到着です。旧空港には数10回、新空港になってからも10数回は来ています。中国らしくこれでもかと広く大きな到着ロビーと乗り入れしています地下鉄へのロビーです。

▲ 天津地下鉄の路線図です。当初は中々工事が進まず市民からも当局が発表しているのは嘘ばかりと信用されていませんでしたが、最近は訪問するたびに延伸されているようです。いずれ北京や上海のように網の目のような路線網になるようですが、かつての天津住民としてたまにくると、発展に驚かせられます。

▲ 15:56 地下鉄は、2012年7月1日に空港まで開業しました。それまではリムジンバスしかなくて大変便利になりました。市内中心部の南京路までは乗り換え必要ですが天津駅までは直通しています。

▲ 16:28 予約してあるホテルの最寄り駅、津灣広場に到着です。初めて降りた駅でしたが広くはないもののきらびやかなシャンデリアがあるのには驚かせられました。工事が遅れたのに金だけはかけていますね。

今日のホテルは天津駅に近い168ビジネスホテルにしました。夕食は天津でいつも行っていた日本料理屋さんです。1年ぶりの訪問に熱烈歓迎で迎えていただき宴の場を作っていただきました。
明日は中国で最初に開業した京津高速鉄道に乗車して北京へと向かいます。小竹先生始め中国鉄の皆さんにお会いするのを楽しみの就寝でした。 Part2へ続く

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