とある古い写真を見て

長堀橋のビル2階で会期最終日に行ったある写真展に、古い駅の写真が作品として出ており、興味を持ちました。

上田三郎さんという浪華写真倶楽部に属していたアマチュアながら戦前から戦後に活躍された写真家の作品です。
年代は書いていませんが、「駅」(琵琶湖)とタイトルにあり、湖岸や太湖汽船の姿も写っており、非電化の駅に思えるので、「これは戦前の江若鉄道の駅では?」とギャラリーにおられた関係者に感想を伝えました。

この他にもスハ32のデッキに顔を押し付けた男女のきょうだいの写真も見入ってしまいました。

上田三郎さんの活躍年代と、その他の作品は、リンクで見られるようにしておきます。

https://yohotuda.exblog.jp/30306406/

駅名の特定とか、出来れば幸いです。私からギャラリーにお伝えすることは可能です。
複写は許可を得て撮影させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

 とある古い写真を見て」への12件のフィードバック

  1. K.H.生さんの出題は難問らしく、流石のデジ青探偵団の方々もお手上げでしょうか。しからば私しめがと云う訳では、ございません。そうではなく便乗です。これは、大分前から持っている絵葉書です。もともと料亭の宣伝用?、かと思われますが、直ぐ前にささやかなホームがあります。非電化のようですから、「これは戦前の江若鉄道の駅では?」とK.H.生さんと同じ感想を持った訳です。小判鮫投稿で恐縮ですが、お心当たりの方は、どうぞ御教示下さい。

  2. ずいぶん考えましたが、場所の特定には至りませんでした。ただ、線路のスグ向こうに舟が停泊しているところから、江若鉄道の白髭駅を候補にあげました。しかし上屋の形状や、二人の少年の服装を考えると、どうも違うようです。それではどこか? 琵琶湖のスグそばに線路があること、汽船の形状、少年の服装などから京阪の石場駅ではないかと思ったのです。ですが、石場駅なら電化されているはずで、架線が写ってないのは納得できません。そんな経緯があってコメントを控えておりました。
    そこへ宮崎様の投稿です。この絵ハガキは大きなヒントになりました。ネットで検索すると同じ絵葉書がオークションに出ていて、差出人に「大津市石場 魚善樓」とありました。戦前の浜大津付近は琵琶湖の埋め立てが始まる以前で、京阪の線路は湖岸すれすれを走ってましたので、考えられなくはありません。
    これから先は私の妄想です。少年のひとりは中学生でしょうか。もうひとりは和服で、松葉づえをついているように見えます。大正年間の地図によると、石場駅の南に赤十字病院が書かれています。白いシャツを着た少年は、入院している友人を見舞った帰りかもしれません。琵琶湖を通りかかった汽船を見て、指さしたのでしょうか。もっとも、撮影者がポーズをとらせた可能性も否定できません。
    どちらにしても石場駅が非電化なのは矛盾します。ただ、魚善樓濱座敷が石場駅の西にあったことだけは確認できました。

  3. 石場駅の歴史は古く、明治25年に官設鉄道が大谷-馬場(膳所)-大津(浜大津)間を開業した時にまでさかのぼります。同区間は大正2年に大津電気軌道が開業しておりますので、魚善楼の絵ハガキは電化工事が始まる前の撮影でしょう。

    • 石場駅付近の境界柵に古レールが再利用されていて、そこには「1911」「1912」の文字が見られるそうです。

    • 紫の1863さま、御教示有難う存じました。するとこの線路は、官設鉄道で、駅もその石場駅と云うことでしたか。琵琶湖が埋め立てられていたとは、知りませんでした。料亭の『濱座敷』と云う名称も琵琶湖の浜までは、ちょいと離れ過ぎではと云う気がしたのですが、本当だったのですね。百年以上前、この座敷で一杯飲りながら、トレイン・ビューが出来たら最高でしたね!

  4. 宮崎繁幹様
    明治5年に新橋・横浜間に鉄道が開業した際に、最も難航したのが海辺の品川宿への線路敷設で、結局海を埋め立てて路盤を作りましたが、大津も同じでした。大津城の城下町が湖岸まで迫っていて、品川同様に湖岸を埋め立てて官鉄が敷設されました。当初京都から稲荷を経由して膳所でスイッチバックして大津に向かっていた路線が、現在のルートになって、膳所・浜大津間が貨物線に格下げされ、紫の1863様のご指摘の通り、大津電気軌道になる直前の写真ではないでしょうか。大津を研究されている方の論文に、添付のような図がありましたので、無断で転載させて頂きました。線路のカーブの具合が、写真と符合するように思います。

    • 西村様の示された地図で、よく事情が呑み込めました。5年程前に、びわ湖大津プリンスホテルに宿泊したことがあり、京阪線は湖岸から離れている印象があったのです。しかし、百年前は鉄道は湖畔を走っていて、プリンスホテルのある場所は湖そのものだったのですね。私は鉄道絵葉書を40年くらい収集していますが、車輌が写っていないものは、あまり購入していません。しかし、この魚善楼の絵葉書は、ささやかなプラットホームが気になって、買っておきました。こう云う展開になってみると、買っておいて良かったと思います。御教示感謝致します。

      • 宮崎繁幹様
        遅ればせながら地元の話題となりましたので入らせていただきました。
        この写真は国鉄時代の石場駅で同じ絵葉書を知り合いの方から提供いただいて総本家青信号特派員さんと一緒に書かせていただいた「レイル108号」「京都・大津の鉄道遺跡を訪ねる」の中で使わせていただきました。撮影の正確な時期は特定できませんが、大津電車(現在の京阪石坂線)開業前の石場駅です。明治22年の地図では石場駅付近は交換できるよう複線になっています。写真では判別できませんが、単線であればそれ以前の古い写真となります。尚、石場駅付近の湖岸が埋め立てられたのは昭和30年代になってからで、現在も石場ーびわ湖浜大津間の湖岸側には当時の石垣が残っています。お近くにおいでの際は一度ご覧いただければと思います。添付の写真は石場駅の構内踏切から撮ったものです。

        • 大津の86さま、教えて頂き有り難うございました。早速に本棚からレイル108号を引っ張り出して、拝見しました。

        • この週末、京都へ参りましたが、良い機会とばかり少し足を伸ばして、大津の86様のアドバイスに従い、本日の午前中に石場駅を訪ねてきました。大津に来ると直ぐに湖岸の方へ行ってしまいますが、滋賀県庁の前を通り、旧東海道を暫く歩いて石場駅に辿りつきました。証拠写真と云う訳ではありませんが、貼っておきます。ここでは踏切を渡るのに改札口を通るのか?、と一瞬驚きました。

  5. 西村様・大津の86様のコメントで、魚善樓濱座敷の場所がよくわかりました。
    ネットオークションで見つけた絵葉書に、以下のような分が載ってしました。少し長いのですが、そのまま紹介します。なお、旧字体の一部は改めています。

    恭賀新年
    旧年中は一方ならぬ後愛顧を蒙り
    難有厚く御礼申上候
    弊店儀先般来休業罷在候處今般改暦と共に
    新に開店致層一層勉強可仕不相変御引立之程
    奉希上候       敬白
    大津市 石場
    魚善樓

    宛名は書いてありましたが、切手も消印もないのが残念です。
    漢文のような読みにくい文章で、理解するのに時間がかかりました。要約すると、しばらく閉店していたが「改暦」と共に開店したので、ご利用をお願いしますといったところでしょうか。
    私が注目したのは「改暦」です。太陽暦に改めた明治初めとは考えられず、明治から大正に「改元」されたことを指しているのではないでしょうか。「恭賀新年」とあるように、大正元年(1912年)の暮れに出されたと考えると、大津電車が開業する大正2(1913)年の直前で、これまでの推理とも一致します。都合の良いように解釈した感は否めませんが、こんな記述があったことを紹介しておきます。

  6. 皆様大変有難うございました。
    この2月忙しくて、投稿したことも忘れていました。
    時間をとり大津市内を歩いて検証してみたいと思いました。
    江若鉄道のことも、私は乗車体験がなく、入部後の合宿で和邇に行った帰りに本堅田と三井寺下の付近を探訪した程度と、力作だった10年前の大津市歴史博物館の展示を見たくらいです。
    そのころは江若のボンネットバスが最後の活躍で、基地にいました。

    それから旧琵琶湖ホテルも最後の営業時代に、家族連れで訪れたことがあり、湖岸の土地利用の変化や、戦後の進駐軍時代のことなども興味があるのですが、それを調べるだけの気力も情熱も今はありません。

    写真というテーマは、フイルム撮影は大変ハードルが上がりましたが、今からの時代は、過去の撮影者の写真を、昔の写真雑誌的な批評よりも、年代とアーカイブ的な分析と、後年の今のような周知を集めて、再評価や再検証することが、時代を伝えていく上での、ベテランの役割ではないか。
    個人的にFacebookの客車のグループで、いろんな人の過去記録の投稿に、コメントや参考資料の存在、自分の所有している写真も実証的に公開しております。
    これが今佳境になっているかと思います。

    この浪華写真倶楽部の存在も、昔から興味がありますが、所属メンバーの子孫の方と縁が出来たので、心斎橋に行く際に、今回の皆様の、情報提供の報告を含めて、あいさつに行ってこようと思います。
    どうも皆様、有難うございました。

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