大地を北へと向かう静かな走行音だけが聞こえる朝を、車中で迎えました。午前6時過ぎ、朝雲からのわずかな陽ざしが見える車窓は、1面のとうもろこし畑が広がっていました。
途中からの乗客もなく、私だけの個室だったようです。洗面を済まし、餐車が営業を開始する7時まで、淡々たる風景が続く車窓をうっとりと、過ごしました。
さあ、今日の菜単は、何かなあと期待して餐車(食堂車)に向かいました。まだ誰も来ていません。餐車乗務員が、テーブルに座って、菜単票に手書きで、朝の菜単(メニュー)を書いています。
3種類の菜単です。迷わずお粥と目玉焼きがのった焼きそばを注文しました。20元(約32円)です。菜単は、毎日変わります。バイキングの時もあります。各列車のコックによって、任されているそうです。
約25年前に、初めて中国鉄路に天津西駅から上海駅まで乗車した時に朝食は、本場のラーメンを食べたいと、通訳にリクエストしました。しかし、出てきた麺は、ゴミ捨て場から拾ってきたような周りが、欠けた丼鉢に太いにゅう麺が、入っていました。
スープの味は、鶏がら味で美味しかった良かったのですが、麺はコシもなくがっかりした記憶があります。この時に初めて、日本のラーメンとは、別物だと知りました。
その後、中国各地で麺を食しましたが、日本でオリジナル化したラーメン以上の麺には、未だ会った事はありません。
唯一、私の口に合ったのは、香港の海老ワンタン麺でした。海老のぷりぷりとした食感は、硬めの麺と併せてのハーモニーは、格別です。目玉焼きの下にあった焼そば麺は、その食感でした。
飲茶が大好きな私です。1度は、飲茶を楽しみながら列車の旅を味わってみたいと思っています。どこかにないでしょうかねぇ。
部屋に戻って、しばし朝寝でゆっくりした後、列車視察に出かけました。硬臥(2等寝台)では、昨夜、夕食を共にした自称モトクロスライダーが、弁当とカップラーメンで朝食中でした。
硬臥から硬座(2等車)の車両へは、ドア鍵がかけられていて行けません。若い列車乗務員に頼み込んで、解錠してもらいました。
硬座車両は、満席で無座客(立席客)もいます。学生風の若者が多い車両でした。TVも設置されていて、2+3の狭いお見合い席ながら楽しそうな雰囲気を感じました。
一応全車を見て、撮り終えて戻ると、若い列車乗務員の横に上司らしい列車乗務員がいて、何を撮っているのかと尋問にあいました。いつものようにかくかく云々と言いますと、車内での撮影は禁止している。止めなさいと注意を受けました。
列車の編成は、
YW25T676476(列車乗務員専用寝台車)+②YW25T676671+
③YW25T676651+④YW25T676457+⑤YW25T676468+⑥YW25T676476+
⑦RW25T554502+⑧RW19T554468+⑨CA25T893424+⑩YW25T676683+
⑪YW25T676486+⑫YW25T676657+⑬YW25T676653+⑭YZ25T350938+
⑮YZ25T351021+⑯YZ25T35093717+⑰YZ25T350945 +⑱XL25T206569+行李車(荷物車)
1等寝台2両、2等寝台10両、2等車5両、食堂車1両、荷物車1両の19両編成でした。
昼食時にまた食堂車に行くと列車長からも同じ注意を受けましたが、どこから来たかと親しげで、ほっとしました。
昼食は、7種類。やはりお薦めにしました。
昼食後は、専用個室で、延々と続くとうもろこし畑を車窓から飽きもせずに見ながら過ごしました。石家庄駅では、CRH3とすれ違いました。天津~北京南間だけではなく走行しています。
北京西駅に近づくにつれ、列車のスピードは、徐行状態になってしばしの停車。北京西駅には、25分遅れの14:15到着。
広州→北京西、約2300km、20時間50分の京九鉄路の列車の快適な旅は、終わりました。
しばし、仕事で建設途中から、よく来た懐かしの北京西駅ホームを散策した後、タクシーに乗車して、前門に向かいました。オリンピック開催時にオープンした新しい前門街を走るバッテリー式の路面電車を撮りたかったのですが、残念ながら、タクシーは乗り入れ出来ないそうで、仕方なく北京南駅に向かいました。
乗車する事、約20分程度で、今回の旅の3つ目のハイライト、北京南駅~天津駅の中国版新幹線駅に到着しました。 Part6 へ続く