阪神電車112型

阪急202号に続くは阪神だろうと思いながら、総本家宅裏庭の離れ屋に1月26日隔離され、配管サイセイ工事を受けていた。無事2月14日竣工検査合格となり乙訓の陋屋に戻ることが出来た。予想通り「気分は鯉の吹き流し」の素晴らしいタイトルで紹介された事が、枕元にthurukame氏からお見舞いメールで2月2日に届いた。老人撮影の写真も2月19日に到着、やっと紹介できるようになった。

日本最初の都市間急行電車として1905年に開業した阪神電鉄は1911年4月、自社事業用ボギー電動無蓋貨車1両101型101号を竣工させた。これも日本最初であった。その独創的なスタイルが迷図作家の手によって紹介されたのであった。設計目的は電柱や建設資材運搬用で、貨物台寸法は長さが約10.3m、運転台は中央に1ケ所、しかも運転台下が空白といったものであった。工事区間で見通しが効き前後の小運転に便利なように、運転台の位置を高くしたものと考えられる。

同型の増備は1912年8月112型112、113号、1931年?月112型114、115号、1956年9月121型121号の3回、5両に及んだ。101号は1929年1月30日付で111型111号に車両番号は変更された。1933年3月全線パンタグラフ統一でパンタ化された。廃車は111号(1953年)、112、121号(1958年)、113~115(1967年:昇圧)の順である。1938年1月許可で、ポールと救助器取付で国道線や甲子園線など軌道併用線でも使用された。

老人が112型の存在を知ったのは1958年初夏である。先日(2010.12.07)急逝された奥野利夫氏から阪神電鉄の小型車全廃計画を聞かされ、車両調査と撮影をしておこうと思い立ち尼崎車庫を訪ねることにした。氏に車両課の方を紹介して頂き、創業以来の車両調査を始めた。当時、奥野氏の名は私鉄関係でも轟渡っており、最初の訪問で現有車両の型式図を閲覧させていただき、2度目の時には開業時の客車のみならず貨車関係も見せて頂いた。絹布のトレーシングペーパーに烏口による1/30の原図などが保存されていた事が今も頭に残っている。第1号車は111型111号に改番された後に廃車となったが、後身が112型として3両残っていることを教えられた。その日は生憎全車、工場建屋内にあり見るだけであった。しかし、1年待てば屋外で撮影可能になると教えられ、その日を待つことにした。

その日は1959年10月24日に実現した。須磨の爺やも同行してくれたように記憶している。1年待った理由は当時、尼崎車庫は高潮対策として工場、検修施設の嵩上げ工事をしており、その後は伝法線沿いに留置される予定だと聞かされた。急行系3301、3501型に続きジェットカー量産型の搬入があり、試運転開始の報を得て出向いたら、教えられた位置に113~115号の3両が留置されていた。

113号:車体は日本車両で新製され、台車や機器類は手持ち品が再用された。当初ブリル-27G1であった台車は電気機器類などと共に1955年にブリルMCB型に変更された。この時の大きな出来事は運転台出入口が出来たことで、それまでは妻面窓から出入りしていたそうだ。新設された出入口の高さも1550粍程度で、連結器も緩衝器もない。後にレィル運搬車牽引用簡易連結器を取り付けた(緩衝器共)と言うが、見たことなしである。

114号:車体は藤永田造船所の新製、台車や電気機器類も113号同様の経過を辿るが、改造は1年早い。理由は1954年の特急用大型車300型導入に伴ない、車両限界測定車に改造された事による。更に2年後、盆踊りの櫓まがいのものが組み立てられ、架線作業兼用車に変身した。タンクが取り付けられたが用途は聞き忘れた。車庫用地嵩上げ地区最北端線に救援車709号と共に留置されていた。

115号:車体製造は114号同様である。その他は113号同様であった。

高松琴平電鉄デカ1号:1957年9月、仏生山工場で出会った。運転台は自家製。台車はペックハム製で珍しい。鯉のぼりの為には竿が必要。このデカは今も生き残っている筈。いずれまた……。

レイルロード社の阪神電車形式集は高間恒雄氏の大変な努力で刊行された。老人のDRFC時代の思い出話も役立ったかもしれない。素晴らしい書籍を作ってくれた高間さん有難う、万歳!

113号

113号

113号・運転台扉に注目
113号・運転台扉に注目
114号
114号
114号伝法方から見る
114号伝法方から見る
115号
115号
高琴電鉄デカ1
高琴電鉄デカ1

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