これからが黒部渓谷展望ツアーの開始です。ようやく実感がわき、ワクワク感が高まってきました。まずは黒部渓谷鉄道に乗車して欅平を目指します。
▲ 黒部渓谷鉄道の宇奈月駅ヤードには多数の車両たちが留置されていましたが殆どが出庫して運用についていきました。
11:48 私の乗車した列車も欅平へ向けて発車しました。車窓から見える初夏の黒部渓谷が楽しみです。
第5日目 6月4日 その2
▲ 12:00 新山彦橋を渡りました。エメラルドグリーンに輝く宇奈月ダム湖沿いをゆっくりと走っていきます。
GPSロガーで見る走行速度は、15~20km/hほどの低速です。数字の下の”966.0”は自宅からここまでの走行距離です。毎日200~300㌔を移動していました。
水面先に見える赤い橋は先ほどの遊歩道からの先の湖面橋です。
▲ 12:01 ヨーロッパの城を模した関電の新柳河原発電所がある柳橋に到着。一般客の乗降はできませんが早くも列車交換が行われました。
▲ 12:04 柳橋を出て新緑の向こうの対岸に見えたのは「とちの湯」温泉です。ここまでは道路も整備されて車で行けます。泉質は宇奈月温泉と同じアルカリ性単純泉。次回の楽しみです。
▲ 車内アナウンスで名所の紹介が続きます。
見えてきたのは手すりのない吊り橋。野猿が対岸を行き来できるように設置されています。
矢印を付けたのは、1923年(大正12年)11月末に黒灘温泉から宇奈月に温泉を送るため設置されたパイプラインです。これによって宇奈月に温泉街が形成されました。
かつては赤松をくり抜いた直径約20cm ほどの引湯管を約7キロも設置して送っていたそうですが昭和38年に合成樹脂パイプに取り換えられています。
▲ 12:16 宇奈月温泉の源泉である黒薙に到着。渓谷最古の黒薙温泉に入浴に行かれるのか、ここで降りられる方もおられました。
発車すると水面からの高さ約60mの後曳橋を渡りさらに渓谷深くへと入っていきます。
▲ 12:26 2番目の出し平ダム。発電目的で、1985年(昭和60年)に完成しました。関電が手掛けた黒部川水系の発電用ダムの中では最も新しく、ダム湖の堆砂を排出する「排砂ゲート」を備えた日本最初のダムです。土砂排出は日本海屈指の漁場である富山湾への影響もあります。下流の宇奈月ダムと連携して自然の状態に近づけるように増水期に合わせてダム湖に溜まった土砂の排出が慎重に行われています。
▲ 12:30 出平で観光トロッコ列車と交換です。この駅も一般客の乗降はできません。構内ヤードには平床式大物車用貨車オシ2が留置されていました。 1925年製造、積載量20㌧、JRならシムに当たるのかな?
▲ 12:39 猫又に近づきました。眼下に見えるのは黒部川第2発電所です。1936年(昭和11年)10月30日運用開始、認可最大出力:72,000kw です。引き込み線が見えます。
▲ 12:40 猫又に到着しました。一般客の乗降できない駅ですが職員らしき方がホームにおられます。交換列車として関電事業用編成が入線してきました。
ごみ運搬用のコンテナを積んでいるのは「渓谷美人」
▲ 車両番号は見えませんがタンク車のようです。夏場に線路へ放水して温度上昇による歪みを防ぐために水を入れて散水しています。まだ初夏で、それほどレールの温度は上がっていないと思いますので用心なのでしょうか?
▲ 12:49 珍しく相対式ホーム2面2線の鐘釣に到着しました。有人の交換駅でこれも珍しい停車場形スイッチバックの駅となっています。ご覧のように急勾配にある駅で編成全部が収まりきらず、ポイント位置がが機関車先頭よりも後ろになっています。交換の際は右の反対側列車が発車した後で一旦ポイント後ろまでバックしてから前進してポイントを渡ります。
▲ 鐘釣を発車すると左手の谷に黒部万年雪が見えました。それほど寒くはありませんが解けずに残っていました。
▲ 13:00 かなり上がってきました。列車は鉄橋を渡りトンネルへと入っていきますがトンネル入口にはドアが設置されています。黒部渓谷鉄道は毎年11月30日に営業運転を終了しますが、鐘釣駅の上流にあるウド谷橋では、厳しい冬の間、雪崩から線路を守るため沿線でただ1箇所、レールや枕木を取り外します。
取り外したレールや枕木は、冬季運休中トンネル内で保管します。そして、トンネル入口にはは雪崩がトンネル内に入らないよう扉を閉めて雪害防止を図っておられます。
▲ 13:02 小屋平に到着。ダムのために設置されている駅ですので一般客は乗降できません。次が終点です。最後の列車交換が行われました。
▲ 13:11 定刻より5分遅れで欅平に到着。標高は599m、宇奈月から20.1㌔、標高差約375mを1時間29分かけて上がってきました。姉妹鉄道となった阿里山鉄道(本線:嘉義~沼平72.7㌔、所要時間約4時間30分、標高差約2,250m)と比べるとスケールは及びませんが、ナロー山岳鉄道の雰囲気は味合わせていただきました。
▲ 1面1線のホームは2編成が入れるほど長く約600mもあります。すぐに機関車の機回しが行われていました。ホーム幅が狭いので後車位置と乗車位置が離れて設置されています。
▲ ホーム先頭部で黒部渓谷展望ツアー参加者の集合が行われましたが、参加者はわずか5名、引率される案内人は5人とワンツーマンです。昨日3日の初ツアーでは49名の参加者とキャンセル1名があったそうです。キャンセル1名は私です。
ED10(東洋電機製)+R形2500系(リラックス客車)3両の編成です。
▲ 参加者は5名ですので機関車後部の車両に乗車です。途中スイッチバックがありますので転換クロスシートがぴったりですね。
▲ 下の緑色のラインに沿って列車が進んでいきます。上はエレベータを上がっての上部廃線図です。
▲ 13:30 発車後すぐにトンネルに入ります。約500mほど進んでスイッチバックした所には欅平駅の構内扱いの通称「欅平下部駅(竪坑下部駅)」があります。ここで下車しました。
◀ ホームがありませんので踏み台が用意されていました。
▲ 13:32 立坑エレベータ前に着きました。レールが入り込む向こうに貨車1両が運搬できるエレベータがあります。鉄道連絡船の縦移動のようです。高さ200mを上がれます。
左側には人だけが乗れる6人用のエレベータも設置されています。
▲ 13:37 ドアが開きました。乗って200m上へと上がります。
▲ 13:39 あという間に上部に到着しました。
ドアが開くと下部と同じような光景が広がっていました。進むと先に欅平上部駅と結び「上部軌道」の小型トロッコたちが見えました。
▲ トロッコ側から見た上部エレベータホール「欅平上部駅」構内です。▲ 上部専用軌道のロングシートのトロッコ車両です。他の車両と変わっているのは、大きな窓ガラスに手動ワイパーが設置されていることです。お聞きしますと途中には工事中に岩盤温度、摂氏166度を記録した高熱隧道を通過するために窓ガラスが曇ります。
このための対策だそうです。車内には有事に備えて非常用のガスマスクが常備されています。
▲ 機関車はバッテリー車で、充電中でした。もう1両はトンネル内で留置されていました。
▲ 復路に撮りましたが、運転席と置かれていた運行表です。欅平上部~黒四ダム前6.4㌔までの6往復(臨時を含む)が設定されています。
このルートにも乗車できるツアーが今年5月25日~10月14日に34回設定されています。欅平駅~黒部ダムの往路・復路のどちらかの片道ツアーですが、毎年希望が多く3~6倍の応募競争率です。どなたか同行される方がおられましたらご一報ください。ツアーの詳細は下記です。デスクトップにドラックしてクリックしますと大きくなります。
▲ 上部専用軌道の路線図です。黒部川第四発電所前までの発車時刻表がありました。定期・不定期とハッキリとダイヤが掲示されています。
▲ 13:56 最後にインクラインのような急勾配を登って地上に出ました。休憩後、展望台を目指して山道をまた上がっていきます。登山道はボランティアの方々が毎年整備しておられるそうで歩きやすくになっていました。
▲ 13:40 歩くこと約30分で展望台に到着です。うす曇りになってきましたが残雪が残る立山連峰の一部が見えました。
以上が黒部渓谷展望ツアーの詳細です。荷物は極力少なくするように言われましたので今日はコンデジ1台だけを持っての軽装で参りました。
▲ 15:20 欅平駅に戻りましたが時間がありますので案内役から猿飛峡を散策していくようにお薦めがありましたので同行参加者の方と一緒に見て歩きました。
宇奈月駅ではツアー受付カウンターに残っておられた担当者の方々に「おかげでツアーを楽しめました。お世話になりましてありがとうございました。」と、お礼を申し上げますと、「満足していただいて私たちも喜んでおります。また季節の変わった頃にご訪問ください。」と、申されました。
山が紅葉に燃える頃にまた訪問したいと思いました。今度は渓谷の中の温泉に泊まってゆっくりとしたいですね。
これからクローバー会の皆さんと合流です。駐車場に置いたぶんしゅう7号に乗って皆さんの待つ宇奈月温泉のホテル黒部へと向かうことにしました。 Part 8へ続く