余命幾許もない老人の希望を、ぶんしゅう氏がたちどころに叶えてくださったので、老人は機嫌すこぶる麗しく、いそいそと次なるスキャンに着手した。これで化けて出たり、怨念で祟り尽す必要もなくなった。いや、実のところこの老人に祟れる能力などありゃせんが、万が一にもぶんしゅう氏に無視でもされたら、それこそ安倍清明の法力にすがってでも、とは考えていた。因みに京都市立上京中学校のすぐ西に清明神社があり、子女の参詣が盛んだが、老人はこの中学を60年以上前に通ったから、清明とて同じ学区の縁?で、頼めばイヤとはいわんはずである。
ミシュラン車といえども、当然ながら多数のバリエーションがあり、けして単純ではないのだが、なるべく近そうな図や写真をお目にかけ、ミシュラン車の片鱗をご理解賜れば、老人にはこの上ない幸せである。
これがミシュランゴムタイヤ車輪の「最もポピュラー」な断面図である。タイヤ内部で逆向きのレール断面の如き代物は、タイヤがパンクした際急激にしぼんで二次事故に至らぬ為の鋼製プロテクターで、当然いくつかのバリエーションがある。鉄道に不可欠なフランジも勿論鋼製で、やはり数種があって、上図と次の写真とは種類が違うかもしれない。
ぶんしゅう氏最初の写真1枚だけからでは3軸ボギーかと思ったが、4軸だったので、この写真が同じかどうかは保証の限りでないが、外側のリーフスプリングがよく似ているものを探した。よっく目を見開いてご覧いただきたいが、ファイナルドライブがウォームギヤである。ウォームが逆回しできないというのは、模型のようにウォームの條溝が1本か2本の場合で、4本以上あれば効率はともかく逆回しが可能である。古い貨物自動車にはウォーム駆動が多かった。通常歯車にはニッケルクローム等の硬い金属を用いるが、戦前のウォームはマンガンブロンズ(砲金)等の柔らかい金属が常識で、粉末状での磨耗が不可避のため、やや耐久性のある消耗品として、簡単に交換ができる設計がなされている。現在では工作機械の進歩で、ウォームギヤは高性能歯車に分類されている。
先回挿入した写真に見合う図面が見つからず、一統中なるべく似たものを最後に入れておく。図は車体中間に扉があるタイプだが、貫通できず、前部が3等、中間が2等、後尾1等室は後向け展望室様になっている。便所も3等/1、2等と分かれ、これは白人が現地人との同室を嫌った植民地に多いタイプである。
なお今回も図と写真は『Autorail de France Tome1』から引用した。
ゴムタイヤに内蔵する、パンク時のプロテクターを「鋼製」と書いてアップし、点検すれば、図に「アルミ製安全リング」とあるではないか。いやお恥ずかしい。訂正いたします。
須磨の長老様へ
貴重なご解説をいただきまして、ありがとうございます。
ミシェランの内燃車には、たくさんのバージョンがあったのですね。まだ現役で走行しているところもあるそうですが、補修は大変なのでしょうね。
乗られておられると思いますので、是非に乗車記録なり感想をお聞かせください。