保存されているEB10

米手作市様より、9月24日【23961】「60年前のエコカー・バッテリーカー」のタイトルで、関 三平様の「昭和の電車」シリーズ「宮崎交通チハ100形」を紹介されているが、その中で「そういえば昭和の初めに国鉄が非電化区間用に蓄電池機関車AB10型、後に電装されてEB10型になった事もありましたね。」と記されている。そのEB10の1号機が廃車後解体を免れ東京都内で保存されているので紹介したい。

(1)EB101
AB10形→EB10形は、蓄電池機関車として昭和2年2両新製され、車体と機械部分は汽車製造、電気部分は芝浦製作所が製作して非電化の須賀貨物線(王子~須賀、王子~下十条)で使用された。6年に電化されたため、芝浦製作所で電気機関車に改造され、46年3月廃止になるまで使用され47年2月廃車になったが、EB101のみ解体を免れ、東京都府中市の「郷土の森交通遊園」で保存されている。
車体は比較的良好な状態を保っているが、運転室の機器類は無残にも破壊されている。

【参考】現役時代のEB101/ (40-3-17) 田端


「汽車製造」の銘板

「芝浦製作所」の銘板

(2)その他の保存車両
EB101の他に、D51296、都電6191、京王バスが保存されているので紹介する。
①D51296
EB101と同じレールの上に保存されている。昭和14年川崎重工兵庫工場製で、秋田、坂町、直江津、長岡と日本海側で使用され、その後新鶴見に転属、最後は青森で47年3月27日付で廃車になった。EB101共々屋根の下で保存されているため、保存状態は比較的良好である。

②都電6191
昭和25年日本車輌製で、説明板によると当初南千住車庫に配置され、45年8月荒川車庫に転属、53年4月に廃車になり、54年7月から当地で保存されている。現在補修工事中であるが、こちらも比較的良好な状態である。



③京王バス
比較的新しい車両で、11年式KC‐JP250NTN、元の登録番号「練馬200か26」で、中野営業所に配置されていた。方向幕は当地で保存時に取り替えられている。
JP型バスは、平成4年10月西鉄北九州線砂津~黒崎駅前間廃止時の代替バスを新製する際に日産ディーゼル、西鉄、西日本車体工業の3社が共同開発した車両で、JM系中型車の車体を延伸して大型車並にしたものである。

「郷土の森交通遊園」の行き方は、京王電鉄府中駅または分倍河原駅から「郷土の森体育館行」の京王バスに乗り、終点で降りれば目の前である。(バスは昼間30分間隔)行った日は分倍河原駅をバスが発車した直後で、バス待ちをしていたおばさんから「歩いても25分位で次のバスを待つより早いよ」と言われて歩いたが30分以上かかった。
裏ワザは分倍河原駅からサントリービール工場の見学者送迎バス(無料)に乗り工場見学、プレミアムモルツの試飲後、歩いて行けば10分位で到着する。工場見学は予約者優先であるが、飛び込みでも空きがあれば可能である。事前に電話予約する方が確実で当日予約も可能である。工場休業日は見学が中止となり、バスも運行されないので注意が必要である。また、府中本町駅からは徒歩25分位で到着する。

(3)周辺の保存車両
小金井公園に保存されているC57と隣接する江戸東京たてもの園の都電7514も同じ日に見学したので報告する。

①C57186+スハフ322146
柵の中にあり屋根は無いが状態は良い。柵の中に入って間近で見学できるのは3月から10月の日祝日の10時~16時までで、それ以外は柵外からの見学となる。
C57186の経歴は昭和21年9月三菱重工業三原工場で新製され新潟区に配置、日本海側で戦後の復興輸送に活躍して40年代に九州に転属、人吉、宮崎から49年6月旭川に転属して50年2月28日付で廃車になった。現役時代に九州、北海道で撮影された方もおられるのではなかろうか。

スハフ32146は昭和10年3月梅鉢鐵工所で新製。最終配置は飯田町客車区で49年10月12日で廃車になった。貫通路は雨水侵入防止のため閉鎖されている。車内には立ち入れないが損傷はなく状態は良い。



  「梅鉢鉄工場」の銘板が健在

②都電7514
昭和37年新潟鉄工所製。7500形は都電最盛期の最後の新車として20両新製された。7514は当初他の7500形と共に青山車庫に配置され、6(渋谷駅~六本木~新橋~汐留)、9(渋谷駅~赤坂見附~銀座4丁目~浜町中ノ橋)、10(渋谷駅~九段下~須田町)で使用。43年9月系統及び青山車庫廃止により江東区の柳島車庫に転属。57年11月、23(柳島~江東区役所前~月島通8丁目)、24(柳島~浅草~上野駅~須田町)及び柳島車庫廃止により荒川車庫に転属した。荒川線ワンマン化の際、7509と共に改造対象から外され53年4月27日付けで廃車となった。7514のみ解体されずに荒川車庫内に保存されていたが、平成11年に当地に移された。7500形の原形車として貴重な存在で車内立入りも可能である。



③ボンネットバス
昭和44年式いすゞTSD43、車体は北村製作所製のバスで全輪駆動車である。航空自衛隊境港気象観測班で使用され、廃車後福山自動車時計博物館で整備された。映画撮影のため昭和26年~34年までの都バスの塗装になっており、イベント時に園内で運転されている。

小金井公園と江戸東京たてもの園の行き方は、武蔵小金井駅または東小金井駅から小金井市のコミュニティバス(COCOバス)に乗り、「たてもの園入口」下車、徒歩10分である。
「江戸東京たてもの園」は現地保存が不可能な歴史的建造物を当地に移設し、復元、保存、展示を目的としており、その方面に興味のある方にとっては1日では見学しきれないと思われる。
写真右は丸二商店(荒物屋)、左は花市生花店で、いずれも昭和初期の建造物である。入園料400円(満65歳以上は200円)が必要である。

 

保存されているEB10」への1件のフィードバック

  1. マサオミおだ様

    社番のAは中野営業所で、永福町営業所はDでしたね。大変失礼しました。早速修正させていただきました。バスは詳しくないので、間違いがあればご指摘をお願いします。

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