重油で走ったC59
写真展では、山科の大カーブを行く定番の構図だけでなく、変化をつけるため、ロング、俯瞰など、さまざまな写真を並べました。斜め後部、やや俯瞰で撮ったC59も選びました。背後に山科の“里”が入っていて、いまの山科と比較できるのも選んだ理由の一つですが、このC59だけに見られる特徴のある角度なのです。キャプションに触れておきましたが、気づいてもらえるだろうかという思いがありました。ところが、その写真に近づくなり、「これは重油専燃機じゃないですか!」と、ずばり看破された方がおられたのです。その方こそ、“SL好きの国会議員”のMさんでした。C59のテンダー上に見える重油タンクをしっかり見ておられたのです。
▲東山トンネルを出て、山科の“里”を走る週末準急「ゆのくに」を牽くC59127 煙突からは煙が出ていない。“ゴォー”と言うドラフト音だけが響いていた。山科では、「つばめ」「はと」「さくら」「鳥羽快速」、それに「ゆのくに」がいちばん早かったと佐竹さんは述懐されている。
今回から、個別の写真について、“あれこれ”述べてみましょう。写真展の場合、展示する写真候補のなかから、ポスター、はがき、雑誌告知などの事前の案内用として、リリース写真として選ぶことになります。写真展の内容を端的に表す、シンボリックな写真となる訳ですが、どの写真にするか‥‥、普通なら例の「雪のC622つばめ」でしょう。ところが、前回に述べたように、このネガも所在が不明なのです。以前にネガがあっ
た時に、スキャンしたデータを取っていたものの、今回、門司鉄道記念館で作ってもらったビッグサイズの写真も再展示することになり、競合は避けて、新規の写真がふさわしいとなりました。
11月11日(木)から開催していました、佐竹保雄写真展「わが“やましな”の記憶」、福田静二写真展「煙の旅 はるか」が終了してから2週間が経ちました。多くの皆さんに来場いただき、御礼や経過をデジ青で報告をと思いながらも、その間に、京都のほかの大学で講演があったりして、準備で忙しく、何も投稿できないまま2週間が経ってしまいました。それも終わって、やっとキーボードに向かうことができました。 