福岡市内線貫線を巡る “思い出探し”の旅 ➐

西鉄福岡市内線の貫線をめぐる旅、つぎは千代町から、市の中心部、天神へと至る区間です。北九州ツアーの二日目午後、福岡市内線の面影探しで、案内していただいた西鉄友の会のYさんから、福岡市の歴史や成り立ちについて興味深いレクチャーを受けました。よく言われるのは、商人の町・博多、武士の町・福岡と言う、性格の違う大きな町が隣り合っていた史実です。案内のYさんは、“ブラタモリ”に出演実績があるだけに、興味深い話にはつい引き込まれました。今回のルートは、その博多から福岡へと入って行くこととなりました(以下、昭和50/1975年6月撮影)。中洲のランドマーク、赤煉瓦の大同生命ビルの前を西鉄バスと競うようにして、明治通りを行く福岡市内線。中洲を過ぎると、福岡の町に入る。

「千代町」で循環線と交差、明治通りに入った貫線は、まもなく市制発足時の福岡市の東端だった御笠川を渡って行く。

御笠川を渡り終えると、街路は碁盤の目状になる。九州を平定した豊臣秀吉が、博多の町の区画整理を行い、「太閤町割」を行った結果と言う。かつて近くの聖福寺に池があったことを物語る「蓮池」の電停に近づく。この付近には寺が集中している。博多大丸を背景に「呉服町」で大博通りから右折する8号系統。かつて呉服町は、博多の商業の中心地で、交差点角に昭和28年に博多大丸ができたが、次第に天神へ商業の中心が移って、客足が遠のき、撮影した昭和50年10月に閉店・移転し、天神に大丸福岡天神店ができた。 「土居町」に着く。三井銀行などの戦前からの建物が残っていた。張上屋根の75号は、66形の一員で、9両だけの少数派、のちに北九州線に移った。

 

博多川を渡って中州となり、「東中洲」に着く。背後の建物は、大正11年開業の玉屋デパートで、よく古写真の背景にもなった。平成11年に廃業し、今は博多リバレインや大型ホテルが建つ。博多と福岡を分けていたのが、歓楽街の中州で、いまも二つの町を隔てた石垣が残っていると言う。

那珂川を渡り西中洲に入る。背後に大同生命ビルが見えて来る。辰野金吾から指導を受けた田中実が設計した大同生命ビル、いまは八女市の公園に移築されている。ハデな広告看板を見て、もう一度、川を渡り、天神地区に入る。川を渡り終えると「県庁前」があり、前に毎日新聞社、毎日会館があった。都市銀行の福岡支店が並び、朝のラッシュ時、乗降客も多い。「県庁前」の前に、福岡県庁があった。狭隘化したため、昭和56年に東公園に移転した。現在は、複合施設、アクロス福岡が建つ。

朝のラッシュ時には連接車も活躍。右手の神社は水鏡天満宮と言い、「天神」の地名由来となった。福岡市内線には1001形、1101形、1201形の連接車があったが、製造所の違いで、差は無かった。西鉄バスも頻発するが、まだNSKの旧型ボデーが幅を利かせていた。福岡市の中心、「天神」に到着、意外にクルマも人も途切れることがあった。天神で交差する循環線でも、ラッシュ時は連接車が大活躍していた。

 

 

 

 福岡市内線貫線を巡る “思い出探し”の旅 ➐」への5件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    天神と聞いて旅のついでに撮ったのがありました。1973.4.11の515号です。

    • 準特急様
      貴重な写真、ありがとうございます。20号系統が、循環線から貫線へ曲がるところですね。博多駅前ならともかく、駅から離れた天神で撮られた写真は案外少ないです。デジ青でも、福岡市内線はあまり人気がないようで、反応はもう一つですが、しつこく続けます。

      • 総本家様、ご安心ください。
        私も1973年に天神で福岡市内線を撮影していました。環状線の車中から南を向いて撮ったもので、交差している602号が東西貫線になります。3月24日、確か土曜日の午後で天神の人出は多かったです。高2の春休み、九州に撮影旅行をしたときのひコマです。

        • 勘秀峰
          おお、勘秀峰さんも撮っておられましたか。しかも昭和48年、高校生の時に撮っておられたのですか。北九州でも、トンネルがあった門司付近の市内線をちゃんと撮っておられて、早くからきっちり記録されていることに敬服します。写真からは、土曜午後の、いかにも昭和らしい雰囲気を感じ取りました。ありがとうございます。

        • もうひとつ、私も勘秀峰さんと同じ高校二年生の時、福岡市内で撮っていました。ただし、その頃、路面電車には全く興味はなく、博多駅で撮ったブルトレでした。20系15両の最盛期で、ED72が付くと、ホームからハミ出し、線路に飛び降りて写した、思い出の写真です。いまはネガに無数の白い皺が入り、使用不能になりました。

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