第9日目 12月31日
① 哈尔滨 前夜21:51(1522次)→4:22沈阳北
② 沈阳北站4:45(チャーターバス)→8:38阜新
4:33、まだ夜明け前の沈阳北站に着きました。
12月1日に哈尔滨~大连を結ぶ哈大高速鉄路が開業しましたが、在来線と同じ站は、沈阳站と、ここの2站だけです。
ただ2站間距離は3キロしかないので、両駅とも停車する列車は殆どなく、どちらかになっています。かつては満鉄時代に東京駅を模して建築された沈阳站がメインでしたが、今は、沈阳北站を発着する列車が圧倒的です。両站は地铁、BusまたはTaxiを利用しての移動となっています。
▲ 沈阳から阜新へ向かうには新义線の利用となりますが、沈阳北站ではなく沈阳站からの乗車となります。1日6往復があります。鉄路利用で行きたかったのですが、接続列車は沈阳站10:17発しかありません。
阜新に行きたいのは、大爆煙を撮るのが目的でしたので、できるだけ早くに着く必要があったためにチャーター車となりました。沈阳北站北口から今夜のホテル中林国際酒店までは、高速道路で約200キロあります。
凍てつく道は、スピードを上げられません。約4時間弱を要して8:38に到着しました。
]中林国際酒店は、前回もO氏と一緒に来た時に泊まったホテルです。周囲に繁華街、飲食店街がないのが難点ですが、とにかく部屋が広くスイート並でゆったりとくつろげます。宿泊料金も王さん通しですと、この時期は260元(約3,500円)と格安でしたので、广州からお越しで当初案内人と車を別手配されていたT中さんは、部屋を見られた途端に西山賓館から変更されました。お奨めのホテルです。
早速、フライアッシュ号がいつズリ捨て山に上ってくるかの情報収集です。今回は阜新には何度も来られているT中さんがおられますので、心強い限りです。ズリ捨て山中腹にある205信号所からの情報が入ります。今までの経験から、午後1時前後が予想されますので、午前中は部屋でゆっくりと吉報を待ちました。
吉報は12時過ぎに届きました。早速チャーター車でズリ捨て山を目指しました。五龙炭鉱に上がる道は、以前とは違って4車線道路に拡幅、舗装もされていました。
踏切で最初のショットです。
これから山に登りますが、いつも苦労していたのが、どの路線に入るかです。205信号所には、4路線の表示があります。下2つは現在は使用していませんが、上2つのどちらに入るかで撮影場所が決まってきます。私は、新線を内側線、215-3を外側線と呼んでいます。迷うところです。
しかし今回は、阜新に精通するT中さん情報で、外側線は線路状態が悪くて走行できない。内側線のみの走行になっていることを知りました。これで内側線のどこで撮るかになりました。内側線にレール上からかぶりつきで撮るのが良いのか、内側線と外側線の間に行って、下から大爆煙を仰ぎ見るかのどちらかです。今回は、今日と明日の2日間チャンスがありますので、相談した結果、1回目は内側線と外側線の間に行くことにしました。
今日の外温は、結構温かくマイナス6℃です。凍てつく寒さはなく、また風も微風で大爆煙が見られる事は確実です。皆さんがおられる前の白い樹氷は、この辺りの地面下から吹き上がる蒸気の結晶です。まだ燃える石炭も捨てていますので、地下で自然発火してあちこちから噴煙が上がっていました。
13:34、205信号所を発車するフライアッシュ号の煙が見えました。これから約20分をかけて上ってきます。内側線の下方向に移動してかまえました。
やって来た編成は通常の5両ではなく4両編成でした。1両づつ最後は2両同時での「ぶち撒け」をオーダーしておりました。
▲ 風は微風ですが、左後ろ方向に流れています。これで我々の方向にはフライアッシュが舞い降りてこない事が分かりました。安心して撮影できます。
【 フライアッシュ(Fly ash)とは? 】
石炭を燃焼する際に生じる灰の一種です。火力発電所で燃焼される際に大量の灰が出ます。フライアッシュはこの時にできる微粉末の産業廃棄物です。顕微鏡で見えるほどの微粒子で、呼吸器系統に直接有害になります。先進国では、電気集塵機で吸い取りタンクに入れて回収していますが、後進国や経済発展優先の中国では、対応が遅れています。
阜新には3つの火力発電所があり、2ケ所は対応が出来ているようですが、それも水をかける程度の一時的な対応に過ぎません。
しかし、公害元と言われるフライアッシュですが、優れた特徴を持っています。非常に高い吸水性です。吸水及び排水処理剤として活用されています。またセメントと相性が良く、混ぜることでより強固なセメントとなり、工業製品として位置づけられています。
まさに使い方次第では役に立つのですが、ここでは捨てられて悪の活用となっています。多分阜新に住む人民には知らされていない事なんでしょうね。これが中国でもあります。
▲ 14:11、後部車から第1回目の投棄が始まりました。続いてをご覧ください。
▲ 14:33、3回目と4回目は同時の予定でしたが、蒸気圧を使っての「ぶち撒け」です。均一にはいかなかったようですが、二段雲が出来ました。
▲ 14:36、巨大なきのこ雲を残して「フライアッシュ号」のショーは終わりました。T中さんのご経験では、間隔は約12時間ヘッドになるそうです。次は、深夜です。この撮影に備えて一旦ホテルに引き揚げて、休息を取ることにしました。
▲ 16:50、今日の夕食は、深夜の夜撮に備えるために早目にホテルのレストランで食べる事になりました。東北料理は味が濃くてあまり好きではありませんでしたが、今夜はすっぽんや魚の蒸し料理もあって、大満足でした。この旅一番の豪華料理を満喫しました。
今夜は、月夜です。月を仰ぎ見ながら大爆煙を撮影予定です。食後は、仮眠を取って出発に備えました。予想される出動時間は午前0時前後です。
Part10 へ続く