お馴染み、「TOLERANCE」の青いヘッドマークを掲げた貸切列車が、三陸鉄道の真新しい軌道を走り抜けました。東北への思いを寄せられている山科の人間国宝こと佐竹保雄さん、ことし3月、JRから移管されて新しく開業した釜石~宮古を含む三陸鉄道の全区間を、貸切列車「TOLERANCE 10」で走り、参加者約30名は、車窓から沿線の復興ぶりも確認しながら乗車を果たしました。
▲大槌駅で参加者が待ち構えるなかで、ホームに進入する「TOLERANCE 10」、車両は“レトロ車両”の36-R1号、茶色の塗装に青いヘッドマークがよく似合った。
▲釜石~宮古の開業から5ヵ月経つが、沿線にはまだ祝賀ムードがあふれていた。列車も記念乗車客が多く、満席だった。
2011年の東日本大震災による津波によって、大きな被害を受けたJR山田線宮古~釜石の復旧について、当初、JR東日本は、気仙沼線、大船渡線の復旧のようにBRT(バス高速輸送システム)を提案したが、沿線の市町は提案を拒んだ。結局、JRが線路を復旧させ、三陸鉄道に運営移管して鉄道として存続させることになった。従来の南リアス線盛~釜石、北リアス線宮古~久慈と一体して「リアス線」となり、盛~久慈163kmの日本最長の第三セクター路線が誕生することになった。
佐竹さんは、過去にも三陸鉄道で貸切列車を走らせたり、個人的に訪問されたりしているが、今回は、二日にわたって、三陸鉄道リアス線の全線を走破することになった。
8月24日(土)盛10:00→大槌11:18 36-715号 定期2207Dに併結
8月25日(日)大槌10:25→久慈13:30 36-R1号 臨8009D
▲晴れていたかと思うと急に雨の降る東北特有の天気に見舞われたが、雨に濡れて車体はより艶やかだった。▲駅名標に“本州最東端の鉄道駅”と書かれた岩手船越で、5108Dと交換、車両は、クウェート政府の支援を受けて新造された36-700形。
▲要衝駅の宮古では、三鉄の若手社員による“お出迎え”。▲▲発車後も見えなくなるまで、手を振っていただいた。
▲車内はテーブル付きのゆったりしたクロスシート、ツアーには、乙訓の老人さまは、ご夫妻で全行程に参加、西村さんも、ご夫妻で25日の貸切列車に乗車、右のような地元の海産物テンコ盛りの豪華な弁当にも舌つづみを打った。
▲臨時列車のため、要所の駅で停車したり、徐行運転で車窓の景色を楽しんだ。この駅は堀内駅だが、駅名標は二つあり、もう一つは「袖ヶ浜」になっていて、ここが朝ドラ「あまちゃん」の撮影地だったことが分かる。“あまちゃんブーム”は健在だった。
▲二日間かけて全線を走破し、終点の久慈に到着した。JR八戸線と共用していて、背後には、JR東日本の新しい気動車キハE130系500代車が並ぶ。
▲一日目の8月24日は、定期列車に併結して盛~大槌を乗車、ハンドルを握るのは、鉄道ファンで佐竹さんとも親しい佐々木運転士で、二人でヘッドマークを掲げて旧交を暖めた。▲▲ヘッドマークも装着したが、36形のステップにヘッドマークが接触したため、安全上取り外して運転され、車内に置いて移動した。
▲地元の新聞、大船渡市の東海新報には、一日目の様子が大きく報道された(一部カット)。
この三陸鉄道の全通で、東北の鉄道もほぼ元通りに復旧しました。これを記念して、かつて昭和40年代の鉄道全盛時代の東北の鉄道を再現したいと、山科の人間国宝さんとともに11月に東北の鉄道をテーマに写真展を行なうことにしました。あわせと「トレランス」号の速報展も行なう予定です。詳細は追ってご連絡します。