▲三陸鉄道南リアス線の恋し浜駅に停車する、佐竹さん貸切列車「トレランス8号」、レトロ調車両36-R形が充当された。時間を掛けた、ゆっくり旅で、まさにトレランス精神あふれる列車となった。
佐竹保雄さんの貸切列車「トレランス8号」が、6月11日に三陸鉄道南リアス線盛~釜石で運転されました。「トレランス」号は佐竹さんが皆さんを招待し展望車を連結した京都発京都行きの特別列車で、1989年に運転を開始して、ほぼ一年ごとに運転され、1996年の7号で完結を見ました。
その後、佐竹さんは、震災復興を願って毎年「東北展」を開催され、三陸鉄道の南リアス線全線開通時にも、自ら撮影に出掛けられるなど、とくに三陸鉄道とは強い絆が生まれ、20年ぶりに場所を変えて「トレランス号」の復活運転となったものです。クローバー会でも参加者を募ったところ、私と、西村さんご夫妻の計3名が参加することになり、本隊の約30名と現地で合流して乗車を果たしました。車中では、“震災の語り部”から当時の様子を聞いたり、そのあとはバスに乗り換えて、佐竹さん思い出の地や震災遺構を見学したりと、震災後6年目を迎えた現地でその思いを新たにしました。
▲運転当日、私は一ノ関から大船渡線の列車で気仙沼へ行き、ここからは盛行きのBRTに乗車した。盛での集合時刻までは時間があるので、「奇跡の一本松」など、途中の震災遺構の見学に充てる。目を見張ったのは、陸前高田駅付近の土地嵩上げの様子だった。壊滅した市街地全体を10m以上嵩上げして全く新しい街づくりを進める工事が進行していて、その規模には驚かされた。もちろん鉄道・駅は跡形もなく嵩上げ土地の下に埋没し、新しくBRTの陸前高田駅が山手に新設された。なおBRTは、2016年グッドデザイン賞の移動用機器・設備部門で金賞を受賞している。復興に貢献する持続可能な交通手段として、高次の機能を備えたバスシステムが評価された。
▲集合場所の盛駅も津波で浸水したが、駅舎はリノベーションされて、みどりの窓口も昼間に営業している。ホームは2面3線あったが、いまは1・2番線が嵩上げされて、BRT専用乗り場になっている。3番ホームに三陸鉄道南リアス線が発着、側線には、岩手開発鉄道のホキが多数留置されていた。翌日、その岩手開発鉄道の貨物列車の撮影に向かったが、どうも動いている様子が無い。本社まで行って確かめると、工場の保守点検のため、あと一週間は貨物は全面運休とのことだった。
▲本隊約30名は、前日、仙台に集合して貸切バスに乗り、気仙沼で一泊、途中、震災遺構などを見学して、13時に盛駅前に到着した。バスのフロントには「トレランス8号」の表示が。
▲盛駅付近のもとの大船渡線は、BRT専用道路になった。三陸鉄道車庫の横を行くのは観光型バス「海」BRTで、車内は対向シートになっている。これに西村さんご夫婦が乗車されて到着、今回の参加メンバー全員が揃った。
▲貸切列車「トレランス8号」が盛駅に入線、さっそく、参加者から熱い視線を浴びる。「トレランス8号」は14時ちょうどに盛を出発、ふつう盛~釜石36.6kmを約50分で走るところ、85分掛けて途中の交換駅ではたっぷり停車した。
▲三陸駅では、震災の月命日にも当たるため、震災の犠牲者に黙祷を捧げたあと、“震災の語り部”から、駅周辺の当時の様子をお聞きする。
▲列車は展望のきく箇所では徐行サービス、車内からは一斉にカメラが向けられた。南リアス線の再開に立ち会った佐竹さんも感慨ひとしおの様子で、カメラを向けられていた。
福田さん、西村さんご夫妻、ようこそ「トレランス号 8 南リアス線」にご乗車くださいました。足掛け6年の地元との交流の中から生まれた復活トレランス号でした。参加は32名でしたが、ほとんど鉄道趣味の方はおられませんので、福田さんのレポートはきっと皆さんの旅の思い出を色濃くするものと思います。デジ青を皆さんに紹介します。
ご参加ありがとうございました。
佐竹保雄
佐竹保雄様、奥様
「トレランス号8南リアス線」の旅に参加させて頂きありがとうございました。我々は盛から合流して、釜石でお別れするという短時間ではありましたが 列車内やバスによる大槌訪問などで地元の皆さま方から生々しい体験談を聞くことができ、三陸駅での黙祷、写真コンテストの表彰式などもあって充実した時間を過ごすことができました。今回は岩手開発鉄道がセメント工場の点検休業のため動いておらず残念ながら撮影できませんでしたので、南線、北線がつながったらまた訪問したいと思いつつ釜石をあとにしました。事前準備から当日の運営まで大変だったと思います。どうぞお疲れを出されませんように、そして9号の実現に向けて どうぞお元気でお過ごし下さい。
西村様
奥様ともどものご参加、ありがとうございました。久しぶりに、ひとつの列車に乗って、お互いの近況なども話し、片道でしたが、楽しい時間でした。お書きの岩手開発鉄道の貨物は運休中でしたが、以前から、いちばん訪問が困難な鉄道と言われ、貨車や駅ホームを見られただけでも満足でした。実は、私は翌日、三陸鉄道を全線乗車の予定が、こちらの判断ミスで、列車に乗れずじまいに終わりました。三陸鉄道全線乗車と岩手開発貨物の撮影で、また現地へ行きたいと思っています。
佐竹保雄様
佐竹さんから直接コメントを頂戴し、ありがとうございます。こちらこそ、乗車の際は、お気遣いをいただき、感謝いたします。佐竹さんの6年に渡る、地元の皆さんとの交流の集大成でしたね。佐竹さんの満足そうな、お顔を拝見して、ほんとに参加して良かったと思いました。つねづね私は鉄道趣味は、個人で楽しむだけでなく、一端だけでも、その成果を社会に還元すべきと思っています。それが、出版やHPの情報発信であり、写真展などの展示活動です。佐竹さんは「トレランス」と言う列車で、地元や支援の皆さんと交流されで、記憶に残る社会貢献をされたと思います。