豊後森機関区 8620
「森」とは、久大本線にあった豊後森機関区です。蒸機時代の久大本線は、客貨とも大分区のD60牽引が中心でしたが、以前、久大本線は、旅客が8620、貨物が9600牽引でした。昭和30年代から順次D60が投入され、豊後森区の8620数両だけが残ることになりました。運転区間は、豊後森~日田~鳥栖で、勾配のある豊後森以東、由布院、大分方面には入線していませんでした。昭和45年10月の久大本線の蒸機廃止後も、扇形庫などは放置され、一時は荒廃していましたが、平成27年に、水戸岡鋭治氏のグランドデザインで豊後森機関庫ミュージアムがオープンし、扇形庫も修復され、往時の姿を偲ぶことができるようになりました。また本欄でも紹介のように、以前、久大本線で貨物を牽いていた9600が保存展示されています(以下、特記以外 昭和45年8月)。
▲朝陽を受けて輝く58689 漆黒の機体に「森」の区名板が映える。日田
▲歯切れのいいブラスト音を響かせて豊後三芳付近を行く58625の牽く629レ
▲杉の美林のもと玖珠川を何度も渡って行く。58625の牽く694レ 天ヶ瀬~杉河内
▲天ヶ瀬で旅客列車の追い越しのため停車中の58689 先の豪雨で、天ヶ瀬の玖珠川沿いの温泉街は大きな被害を受けたが、天ヶ瀬駅は、川から少しだけ離れていたため、難を逃れた。▲朝の日田駅、始発の旅客列車の先頭に立つ58689 廃車後、大分県の三重町で保存展示されていたが、今は解体されている。▲夏の斜光線を浴びボイラーを輝かせて玖珠川を渡る。58689の牽く693レ 豊後中川~天ヶ瀬▲久大本線では唯一の混合列車の1638レ日田発豊後森行き、と言っても客車2両+ワフ1両だけだが、牽くのはD60+8620の異形式の重連だった。DE10が投入され始めた頃で、このようなDE10+58689となった。豊後森~北山田▲豊後三芳で交換する626レ 牽くは68623 K-7デフを装備▲筑後吉井付近の田園地帯を行く629レ 68623の牽引▲68660の牽く朝の通勤列車626レ 平坦区間で客車6両を牽いている。同機は久大本線のDL化後に若松区に転属している。筑後吉井付近
▲美しく整備された78625 豊後森区の8620は、すべてパイプ煙突で原型ではないものの、デフを付けた端正な姿は、8620の別の魅力でもあった。日田
▲豊後森機関区の扇形庫で憩う78625 そのまま放置されガラスも割れて廃墟状態だったが、いまでは豊後森機関区ミュージアムとして修復されている。▲▲夜明~光岡で693レを牽く78625(昭和44年3月)▲雪の田主丸駅構内、日田発鳥栖行き626レを牽く78625 朝の時間帯、日田以西には多くの通勤列車が運転されていて、うち一本は8620の牽引だった。(昭和44年3月)▲玖珠川沿いを行く692レ 78627は久大本線のDL化後に、弘前区へ転属、五能線でしばらく活躍した。この前の豪雨では、この玖珠川が各所で氾濫して大きな被害が出た。(昭和43年3月)
九州地方の豪雨から2ヵ月以上が経過しました。いまも久大本線は、由布院付近が不通のままのようです。ことし4月には、満開の桜、桃などに囲まれて、桃源郷のようなところで撮影したとたん、豪雨で沿線に大きな被害があり、いまも不便な状況が続いしています。早く開通して、沿線をもう一度歩きたいという思いに駆られています。