静鉄1000形最後の日に立ち会う

2024年6月30日、静岡鉄道1000形が引退しました。
この日だけはなんとしても静岡に帰ると前々からスケジュールをおさえ、無事に立ち会うことができました。

2004年11月。カメラを持ち始めてすぐに撮った静鉄。小学五年生の頃に親戚よりお借りしたデジカメで撮影。

最終日は始発列車から13時まで定期運用に入っていました。撮影、乗車のチャンスが多く巡ってきて有難いスケジュールでした。
この日は非常に蒸し暑い日で、撮影後に実家で30分休憩……を何度も繰り返しました。

今回は趣向を変えて、動画をかなり多く撮影しました。
日常的に耳にしていた音を残しておきたいと思い、かつての通学路や自宅など数か所でムービーを収録しました。
改めて音に気を配ってみると、レールのつなぎ目が変わっていたり、アラジン塗油器が撤去されていたり、幼少の頃とは設備回りがずいぶんと変わっていることに気が付きました。

合間を縫って、最後の乗車もしました。車内は大変な混雑で、ゆっくりお名残り乗車とはいきませんでしたが、いつもの乗り心地を噛みしめることができました。

レトロな案内が残っていた1000形の車内。座席は見た目に反してかなり硬い座り心地でした

新静岡駅。大盛況の新静岡駅。近代的な駅設備とややミスマッチな車両もこの日で見納めです

動画や乗車など、半日のなかでやりたいことを全て詰め込みました。一つずつこなしていくうちに終わりが近づいてきます。

音羽町駅。自分が生まれてからずっと見てきた景色の一つ

定期列車最終運行は新静岡方先頭車の1008号をスチールで記録しました。シャッターを切ってから振り返ると構内踏切をゴロゴロと通っているところでした。静鉄に乗るときはほぼ必ず見ていたこの光景は、鉄道趣味の原風景と言えるかもしれません。

最後となる団体臨時列車の撮影は近所の踏切と決め、いつも通りの手持ちスタイルで待ち構えます。こんな場所でも8~9人ほどの人手で、方々に気を使いながら立ち位置を決めることになるとは思いませんでした。

いつもの場所の昔の写真

SNSを見てみると、団体ツアーとなる最終運行は特製の方向幕を掲示し、急行運転やってくる模様でした。確証はなかったため、話半分でやってくるのを待っていました。
時間になると、普通列車では駅に停車してから鳴動するはずの踏切が、まだ車両の姿を見せる前から鳴り始めました。急行列車が来るときの挙動そのままで、2020年4月ぶりの急行列車が向かってきていることを確信しました。
先行列車がいることもあり往年の走りとはいきませんでしたが、ミュージックホーンを鳴らしながら駅を通過する姿を久しぶりに見ることができました。

いつもの場所で撮った最後の1000形走行写真

走り去る1000形を見送って感傷に浸りたいところでしたが、長沼車庫で展示会を行うため後続電車に乗り込み、長沼駅へ向かいました。

到着した長沼車庫は大変な人出でした。静鉄のイベントで最も人出が多かった印象なのは2020年1月のA3000形7色並びのときでしたが、今回はそれ以上にいたように感じました。
物販では1000形のグッズが様々売られていました。登場時の1000形パンフレット(復刻版)が欲しかったのですが、長蛇の列となっていたため諦めました。

方向幕を時間ごとに回して、様々な種別を撮れるようでしたが、人の数や後の予定があることからコンプリートは早々に諦めて車内の見学やディテールを眺めることに専念しておりました。

車庫で撮影会をしていた1008F。3枚看板でかなり賑やかな装飾に。


物心ついたころから走っていた車両のお見送り。いくつか立ち会った車両の引退のなかでも、今回はより特別に感じました。当たり前に走り、いつもカメラを向けていた車両が引退してしまい、とても寂しい気持ちです。
私事ではありますが、撮影活動は一区切りとなる年でもあります。あと一年遅ければ立ち会えなかったと思うと、縁があったことが大変幸運でした。
1000形の一部の車両は譲渡されて熊本と福井で走っております。時間はあるようでないかもしれませんが、何年か後にはこちらにも必ず足を運びたいと思います。

8年に及ぶ交代劇が終わり、今の静鉄は車両的にもダイヤ的にも無風の時代となりました。まさに自分が幼いころ見てきた静鉄と同じ状況です。外から見ると面白味に欠けるけど、向き合ってみると些細な変化や意外と恵まれている沿線環境。この魅力を、1000形なき後も鉄道ファンが気付いてくれることを遠くから願っております。

自分が静岡鉄道で撮る1000形ラストショット。本当にありがとうございました。

 

静鉄1000形最後の日に立ち会う」への12件のフィードバック

  1. 寺田咲築さま
    1000形“愛”あふれる写真と文をありがとうございます。昨年のクローバー会ツアーでも、寺田さんに案内してもらい、最後の1008編成を思う存分撮ることができました。1000を狙う会員たちです。

  2. 寺田さま
    清水市内線を撮りに行った時、長沼車庫で休む1000形が見つかりました。昭和49年の撮影ですから、製造後1年の姿です。まだワンマン改造される前で、“素”のままのステンレス地がいいですね。周りにも、クセ強の車両がいます。

    • 総本家青信号特派員様
      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      遅ればせながら、昨年のクローバー会ツアーはありがとうございました。引退直前の1000形が丁度よく運用に入っていてよかったです。
      登場直後の1002編成の写真もありがとうございます。バックミラーとスカートがなく、銀一色のスタイルは整った姿で、東急の7000系列とのつながりをより感じられます。
      後ろに写るデワ1は現在も保存され、モハ20も2007年まで現存していました。自分も知る懐かしい車両ですが、特にモハ20は晩年とライト位置が異なっているのが興味深いです。

    • 藤本哲男 様
      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      最初期の1000形のお写真ありがとうございます。巴川の風景は今と大きく変わりませんが、運動場前(県総合運動場)駅はその後改修され、静鉄の駅としては近代的な姿となっています。
      窓が開いているのが非冷房時代ならではの姿と思いました。

  3. えちぜん鉄道8001-8002です。
    (元静岡鉄道1010-1510)
    恐竜列車として活躍しています。
    2024年7月13日勝山

  4. 熊本電気鉄道 1009-1509 です。
    頑張って活躍しています。
    2022/12/21 藤崎宮前-黒髪町 間

    • INUBUSE 様
      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      1000形の譲渡後のお写真ありがとうございます。
      製造時期が長い車両で、譲渡されたのは後期型に分類される分散冷房車となりました。
      えちぜん鉄道MC8000形は私も昨年秋に撮影に行きました。スタイルこそ大幅に変わり、ラッピングも驚きのデザインですが、走行音は静鉄時代と変わりなく安心感がありました。比島駅近くでカメラを向けていると警笛の代わりに恐竜の鳴き声を鳴らしながら通過していきました。
      熊本電鉄は静鉄時代ほぼそのままで嬉しい姿です。併用軌道区間の走行は、今までにない組み合わせで特に魅力的です。惜しむらくは御代志駅の名物だったバスとの平面接続が、駅の移転により姿を消してしまったことです。1000形が姿を見せていたのは数ヶ月ほどだったとのことで、私は間に合わず残念に思っています。

  5. 寺田様
    私も参加します。1000形(であろう)写真を撮っていました。静岡県立美術館で伊藤若冲の企画展を鑑賞した帰りの風景です。平成22(2010)年5月3日、快晴でした。

    • 勘秀峰 様
      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      県立美術館前駅でのお写真ありがとうございます。GWの頃の新緑が綺麗な時期で素敵です。
      駅名は県立美術館「前」ですが、徒歩で向かうと思っていたより遠い上に長い坂道があり、小学生の遠足でうんざりした思い出があります。
      歩くには少し大変ながら、並木が綺麗で撮影に楽しいエリアでもあります。

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