オーストリアのたび(その2)

インスブルックはご存知の通り2回の冬季オリンピックが開催された町で、アルプスの谷間にあって、人口は10万余りと小規模ですが、ウインタースポーツだけでなく年間を通して観光客が絶えない町です。町の交通機関はIVB(インスブルック交通局)が一手に引き受けていて、トラム、登山電車、ケーブルカー、バスと多彩な顔ぶれで市内から山まで交通網を広げています。到着した日は好天に恵まれ、まず町の北側にあり、一風変ったケーブルカーと2つのロープーウェイを乗り継いでいける、ハーフェレーカー山を目指しました。最初のケーブルカーは町の中心部に近いコングレス駅から出ていて、変った形の入り口の地下が乗り場です。途中には2つの駅があって地下のトンネルを出るとイン川を渡り、登りにかかったところで最初の駅に停まります。車両は枠に5つの客室がぶら下がるような形になっていてどんな傾斜でも客室は水平に保たれ、標高560mのコングレス駅からまずはこのケーブルカーで860mまで登ります。IMG_4259e

<コングレス駅のケーブルカー>

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<終点駅は傾斜しているのでLEITNERの文字の横のピンを中心に客室が水平になっているのが分かる>

次に1つ目のロープーウェイで標高1905mまで一気に上ります。ロープーウェイの真下には九十九折の細い道があってマウンテンバイクでダウンヒルを楽しんでいる若者がいます。ケーブルカーも、ロープーウェイも自転車が持ち込みできるのがヨーロッパらしいところです。IMG_4237eロープーウェイを降りたゼーグルーベ展望台に行くとあたりにはまだ雪が残っています。ここからさらにロープーウェイを乗り換えると標高2256mのハーフェレーカーに到着し、今度はロープーウェイの真下ではスノボを楽しむ姿が見られます。ロープーウェイを降りて細い道を10分ほど歩いて2334mのハーフェレーカー頂上に着きました。IMG_4225e

<頂上から見たインスブルックの町(中央部に駅が見える)>

行きはまっすぐに来たので、町からここまでわずか30分あまりで、別世界の2000m級山頂に行くことができました。ケーブルカーの乗り場は本当に町の中心に近いので、京都にたとえるなら、比叡山が2000m級の山で、京阪三条の地下でケーブルカーに乗って30分で2000mの山頂に行けるといったイメージでしょうか。

山を降りて翌日はインスブルックの南にある登山電車を乗りに行きました。2つの鉄道は現在、IVBに組み込まれて、市内を走るトラムと同じ近代的な車両が走っていますが、以前は別の私鉄が経営するいずれもメーターゲージの路線でした。先に訪れたのは旧ミッテルゲビルデ鉄道の“IVB”6系統、1号系統の終点ベルギゼルからオリンピックのボブスレーの会場にもなったイグルスまでの路線です。IMG_4469e

<始発のベルギゼル駅、後ろにあるのがジャンプ台>

オリンピックのジャンプ台が見えるベルギゼルの駅を出るとすぐに登りにかかりその後も林の中をどんどん登っていきます。IMG_4535e

<こんな感じの林間コースが続く>

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<あたりに人家はなく乗降客はなさそうな駅>

途中いくつも駅がありますが、合図がないとそのまま通過、乗る人もほとんどないので結局2度ほど停まっただけで終点イグルスに到着しました。IMG_4496e

<終点イグルス駅>

実はイグルスにはインスブルックの中心部から15分ヘッドでバスが走っていて所要時間も15分ほどです。これに対して鉄道は乗換えが必要で、順調に行っても40分かかり、1時間ヘッドでその上、駅は村の中心から5分ほど行った所にあります。こんな状況では利用客が多いはずはなく、往復とも客は数人で先が思いやられました。

もう一つの旧スチューウバイタール鉄道の“IVB”STB系統は、インスブルック中央駅からそのまま乗り換えることなく終点のフルプメスまで行くことができます。最高標高は1000mを越え、6系統よりさらに登山電車の雰囲気が味わえるようですが、残念ながら、フルプメスは市内乗り放題切符の範囲外で、1時間かかるため途中までしか行くことができませんでした。始発駅のスチューウバイタール駅は先ほどの6系統の始発駅ベルギゼルから歩いても数分のところにあり、市内電車の線路から大きく90度曲がって、車庫のようなところに入っていきます。車庫のような広場を出ると登りにかかり、次のチロルパノラマですでに町を眼下に眺めるようなところまで登ってきます。乗り放題切符が使えるのはここまで、降りるとすぐに道路を横切る踏み切りの警報機が鳴って、なんとも趣のある旧型車が登ってきました。IMG_4567e何人かの乗客は乗っていたようですが、貸切の臨時電車と言った感じなのか、一旦駅に停まってそのまま山を登っていきました。終点のフルプメスまで行く電車は1時間ヘッドですが途中駅までは30分ヘッドで運転され、こちらはそれなりに利用客はあるようです。

インスブルックの市内を走るトラムはこのほかに3号系統があり、1,3号系統は平日各々10分ヘッドで走るためこの2系統が交差するベルガー通りでは頻繁に走ってくるトラムを撮影することができます。IMG_4555e車両はいずれも赤一色の同じ低床の連接車のため面白みにかける嫌いはありますが、アルプスを背景にきれいな町並みを走るトラムは画になるものです。

オーストリアのたび(その2)」への6件のフィードバック

  1. 大津の86様 インスブルックの街の中心から2000m以上の山に簡単に行けるとは思っていませんでした。私ももう10年以上前ですが、夏冬2~3度インスブルックで泊まったことがあります。目的はイタリア国境のブレンナー峠に挑む補機付きの国際列車を撮ることでインスブルックから30分ほどの所にある定番撮影地サンクトヨードックのオメガカーブです。また、インスブルックから20分ほどのイェンバッハでは国鉄車両の撮影の合間に二つの蒸機列車を撮影しました。傾いたアブト式蒸機で有名なアッヘンゼー鉄道とチロルのメルヘン蒸機列車ツィラータル鉄道です。多分、インスブルック訪問の鉄ちゃんには必須コースなので行かれたことと思います。スイスのブリークあたりもそうですが、インスブルックでも街の中心を流れるイン川の水の音が心地よく響き、駅や街中からも雪を抱いた山が目の前に迫っている風景はいいですね。駅前の路面電車は旧型ばかりで低床車はありませんでした。そして駅前は単線でカーブして入ってきたと思います。

    • 準特急様
      コメントありがとうございました。
      インスブルックを訪問した日は幸い好天に恵まれましたが、その10日ほど前に襲った洪水の名残で、イン川は溢れんばかりに川幅いっぱいに流れていました。
      路面電車はすべて近代的な低床車で、これもいいのですが、古い町並みには旧型車が似合いそうで、訪れるのが数年遅かったようです。駅前の風景は多分準特急様が行かれたころとは様変わりしているようで、複線になっていて、建物も、最近建ったようなものが多く見られました。
      今回も駆け足旅行でしたが、イエンバッハの2つの蒸気鉄道は訪問してきましたので、また報告させて頂きます。

  2. 重力に逆らうことのない搬車をぶら下げている姿はほぼ想像できます。そのぶら下げているストラクチャーと、鉄道なら台車があると思うのですが、これはどんな姿なのでしょうか。裸のケーブルカーの天井に搬車をリンクでぶら下げているだけの事なのでしょうか?

    • 乙訓のご老人様
      コメントありがとうございました。
      このケーブルカーは下回りが見えないので良く分かりませんが、普通のレールの間にケーブルがあるので台車があってその上に銀色のフレームがあるものと思われます。客室は両側2箇所のピンだけでフレームに取り付けられており、ピンを支点に揺動しますが、重力だけでは加減速の折に客室が振られて安定しないので、角度を検出して、それに合わせてパワーシリンダーのようなものが伸び縮みして客室を水平に保っているのではないかと思います。あくまでも推測なので一度調べてみることにします。

  3. つまらん質問ごめんなさい。日本のケーブルカーは押し並べて床が階段となっており、それの上り下り、中でも怖いのが下りるのが怖くなった老人は「ホホー」となった次第。これなら車いす、乳母車に対応出来る優れものと言えます。オーストリアといえばウィーン市電のZ車、動力伝達軸が連節部を利用した縦軸であり、巧妙なものであるとか。出入り口のステップ高は18㎝、これは実感してきたが、老人、乳母車、妊婦には乗りやすい市電世界一だと思う。こうした技術が自国開発かどうかは知らないが、採用し実用化したのはすばらしい!

    • 乙訓のご老人様
      ウイーンのZ車はステップ高さ18cmですか。それはすごいですね。他の町でも低床車が導入されていて、やさしい乗り物になっていますが、これと対照的に、長距離の列車は相変らず、何段ものステップを上り下りしなければならず。普通の者でも大きい荷物を持っての乗り降りは苦労します。最新のレールジェットでも状況はあまり変わらず、都市交通との落差を感じます。

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