インスブルックの町をめぐった後翌日はÖBB(オーストリア国鉄)で20分ほど離れたイェンバッハに行きました。駅の北側にはコグ鉄道のアッヘンゼー鉄道、反対側には760mm狭軌のチラタール鉄道が走っています。アッヘンゼー鉄道は観光鉄道で、今年の場合5月1日から10月27日まで毎日3往復、ハイシーズンの5月25日から10月6日はさらに4往復が全列車SLで運行されます。これに対してチラタール鉄道は地域の足として年間を通してディーゼル機関車による運行で、6月1日~10月6日は観光用に毎日全線で1往復、さらに途中駅まで1往復のSL列車が運行されます。先にアッヘンゼー鉄道で往復切符を購入し、一番列車の到着を撮影してから、駅の南側に行き、チラタール鉄道の一番列車の発車を待ちました。
<柵の右側がÖBBの駅> <反対側にアッヘンゼー鉄道のSLが見える>
<左側のバスに乗って乗客が来た> <機関車をSLに付け替えて発車>
通常の列車はÖBBの一角にホームがありますが、SLはホームのないところに停まり、駅裏に乗りつけた大型バスでやってきた乗客は線路から直接列車に乗り込みます。2軸車、無蓋車など取り混ぜて14両の立派な編成の列車が発車していきました。SLの発車を見届けてから7分後に発車する通常の列車に乗ってSLを追いかけることにしました。通常の列車は30分ごとにあり、終点のマイヤーホーフェンまで2本の後続の列車がSL列車を追い越すので、途中下車してはSLの走行写真を撮ることができます。2つ目の駅で早速SLを追い越し、5つ目のフュンゲンハルトで降りてSL列車を待ち受けました。降りると反対側に小さなSLが2両の客車を引いて停まっていて、ホームではたくさんの人が写真を撮っています。
<この後乗客は後ろに見える大型バスに乗り込んだ>
時刻表にはないチャーターのような列車で、このSL列車は空で出発したので、これに乗っていた乗客は、この駅で降りて待たせてあるバスに乗り込んだようでした。先ほど追い越したSLも到着、逆に別なバスでここまで来てここからSLに乗り込む人もいて、イェンバッハ出発の時はがらがらだったのが半分くらい埋まった感じになりました。
<マイヤーフォーフェン近くを走る大編成>
終点のマイヤーフォーフェンまでディーゼル列車でちょうど1時間、途中16の駅がありますが、そのうち9つはリクエストストップと言う簡易駅で、車内にある押しボタンを押さないと停まりません。沿線は開けた牧草地の間を走るところが多く、チロル地方らしい風景をバックに走行するシーンが撮れ、鉄道を使っての追っかけができて、一日みっちり使えば、1往復半のSL列車ですが、場所を変えて6箇所での走行写真が撮れるのはなかなかの魅力です。
<チロルの風景の中を走る列車>
今回は1日でアッヘンゼー鉄道も訪問するため、15時前にイェンバッハに戻り、アッヘンゼー鉄道のホームに行きました。こちらは1、2両の客車を引くだけで、客の多いときは続行運転で対応しているようです。この日は客が多く、2両のうち一般客用の1両はすでに満員で、団体貸し切り状態のもう1両に何とかもぐりこむことができました。客車には貫通通路がなく、10人掛けのボックス1つ1つに外からの扉がついていて出入りするようになっています。そのため車掌が走行中に車両の外にある踏み板を通ってボックスに入り検札をするようになっていて、これも一つの人気になっています。
<車両の外の踏み板を伝って隣のボックスに移る車掌(この日はかなりの年配の女性で、少し危なげでした)>
アッヘンゼー鉄道のコグはリンゲンバッハ式ですが、駅構内は平地で、コグレールはなく、駅を出て急な傾斜に差し掛かるところからレールは始まっていて、がたがたと振動とともに音がしてギアとコグレールが噛み合ったことがわかります。
<右側の線路が本線で、途中からラックが始まる>
構造がよくわかりませんが、ギアの部分にはクラッチでもついていて噛み合うときにはギア側はフリーになるのでしょうか。二つ目のエベンで下ってきた列車と交換、ここからは勾配がゆるくなりまたコグはなくなりました。
アッヘンゼー鉄道では、NO1~4号機のSLが運行しており、NO1~3号機は1889年製と120年以上の車齢を誇っています。終点のアッヘンゼー駅は湖の横にあり、湖の遊覧船と接続していて列車の乗客の多くはそのまま船に乗り込みます。
<終点のアッヘンゼー駅。後ろに観光船が見える>
尚、アッヘンゼー鉄道のウェブサイトは12ヶ国語に対応しており、もちろん日本語でも見ることができます。このような地道な集客の努力の結果でしょうか、訪れた日は平日にもかかわらず、どの列車もほぼ満員で団体客用の臨時便も出る盛況でした。但し日本人は見かけませんでした。
ところで、今回の投稿では先日、ぶんしゅう様から教えて頂いたやり方の写真の合成を試してみました。またtsurukame様からも別の方法を教えて頂き、これからは、ソフトを使いこなして、見やすい画面作りを心がけたいと思います。ありがとうございました。