10月31日、乙訓の長老が上京され、芝山鉄道を訪れた時の様子は、【40870】「関東便り(私鉄乗りつぶし)で鉄鈍爺様からの報告の通りである。
芝山鉄道は、関東地区在住の方以外は馴染みがないと思われるので紹介する。
〔沿革〕
成田空港開港時に、地元対策として東成田~芝山千代田間、2.2kmを開業した鉄道で、会社の設立は昭和56年5月1日、開業は平成14年10月27日である。
資本金は1億円で、主要株主は成田国際空港が68.39%、千葉県が14.59%を出資している。
当初は小型電車により線内折返し運行を予定していたが、京成電鉄との直通運行に変更された。
〔運行〕
平日64本、休日58本運行され、昼間の運転間隔は40分である。
昼間の運行は芝山千代田~成田間であるが、平日朝のラッシュ時に普通上野行3本、快速特急西馬込行、通勤特急上野行が各1本、夜間普通上野行3本が運行されている。また下りは、夕方のラッシュ時に西馬込発快速特急2本、羽田空港発通勤特急2本、上野発快速3本、上野発普通4本、朝方上野発普通3本が運行されている。
運行は京成電鉄に委託しており、京成の乗務員が芝山千代田まで乗務する。
〔運賃〕
自社線内の運賃は190円である。京成線内東成田~成田間の運賃は加算運賃適用で250円のため、芝山千代田~成田間は440円である。今回乗車した成田空港~成田~芝山千代田間は410円で、乗車距離が長いのに30円安く、成田空港周辺の運賃計算の複雑さを表している。尚、芝山千代田~上野間は1120円でそれほど割高感はない。
〔車両〕
自社所有の車両はなく、京成電鉄からリースしている。
開業から25年3月31日まで3600形8両編成1本を、4月1日からは3500形4両編成1本をリースしているが、京成電鉄の車両と共通運用のため、自社線を走行する機会は少ない。
25年3月31日までのリース車両
3611-3612-3613-3606-3607-3616-3617-3618
3600形は昭和57年から平成元年にかけて6両編成×9本=54両新製された車両で、平成9年から11年にかけて編成替えが行われ、8両編成×6本と6両編成×1本になった。
窓下の帯をグリーンに、正面に社紋、扉横に「芝山鉄道」のステッカーを貼り付けていた。
京成電鉄返却後は、窓下のクリーンの帯はそのままで、アクセス特急以外の8連運用に就いているが、両端がTcのため京浜急行には乗入れしない。
都営地下鉄西馬込検車区公開イベントで北総9001との並び/ (22-11-5)
京成電鉄返却後
3611他8連/ (25-8-26) 関屋~堀切菖蒲園
3607/ (25-10-31) 高砂
3616/ (25-11-16) 高砂
3618/ (25-10-31) 高砂
4月1日以降のリース車両
3537-3538-3539-3540
3500形は昭和47年から57年にかけて4両編成×24本=96両新製された車両で、平成8年から13年にかけて14編成56両が大規模な車体更新を受けた。当初計画では全車更新の予定であったが、費用対効果の観点から途中で中止された。未更新車の内4編成は既に廃車され残る6編成が4両編成で普通に使用されている。更新車は4、6、8両編成で、アクセス特急以外の各種列車に使用され、京浜急行にも乗入れている。
リース中の車両は、「芝山鉄道」のシールと成田空港PRのラッピングが貼られているが、帯の色は青のままで社紋も貼られていない。これらは近日中に変更されるものと思われる。
3537他4連/ (25-10-7) 高砂
3538/ (25-10-7) 高砂
3539/ (25-10-7) 高砂
3540/ (25-10-31) 高砂
〔芝山千代田駅〕
住所は、「千葉県山武郡芝山町香山新田148-1」で、「千代田」という地名は700m程離れた地域に存在したが、地名表示の変更で消滅している。計画時の駅名は「整備場前」を予定されていたが、あまりに味気ないため周辺の地名で最も響きの良い「千代田」を採用したものと思われる。
町役場のある中心部とは約15km離れておりバス利用になる。
〔延伸計画〕
鉄鈍爺様からの報告にもあるように、芝山町の中心部を通り、九十九里海岸の蓮沼までの延伸が要望されている。
延伸までの代替措置として沿線自治体で構成された「芝山鉄道延伸連絡協議会」により、空港第2ターミナル~芝山千代田駅~芝山文化センター前~JR松尾駅~蓮沼出張所~横芝屋形海岸間に路線バスが運行されている。(運行は千葉交通に委託)
バスでも十分な乗客数であり実際に鉄道が延伸されるかどうかは極めて不透明な状況である。
またこれとは別に芝山千代田駅~JR松尾駅間に芝山町のコミュニティバスが6往復運行されているが、日曜日と年末年始は運休である。
芝山町コミュニティバス/ (25-10-31)
〔その他〕
芝山千代田までは、東京駅からJRバス関東の高速バスが下り9本、上り8本運行されている。運賃は1630円で電車より多少高いが、ゆったりしたリクライニングシート、乗換えがないことでこちらを選択する人もいるようであるが、運行本数、定時性の観点から鉄道が優位に立っている。
JRバス関東の東京駅行高速バス/ (25-10-31)