奈良線ぶらぶら 青電車で上狛へGO!

 総本家青信号特派員様が「活躍する103系」を投稿されたのを見て刺激され、以前から気になっていた奈良線も103系が走っているのでぶらぶらすることにしました。奈良線は学生時代に一度だけ写真を撮っただけで、写真もC58がタンク列車をバック運転しているものが2コマと単機回送が1コマの3コマしか撮っていません。それに京都へ行くときに電車から沿線の風景を眺めていると、いい感じのところが多くありそうと思っていました。まずは、車窓から見える立派な茅葺の民家があるところへ行ってみることにしました。地図で調べると上狛駅の近くでその民家は重要文化財の小林家住宅です。とにかく、行ってみることにしました。

 奈良駅で奈良線の京都行普通電車に乗り換えると、この電車は青電車でした。奈良線は緑色(正しくはウグイス色で黄緑6号色。別に東京近郊では緑色で緑15号です。ここでは緑色、緑電車と呼ぼうと思います。)でありますが、青電車にへえ~という感じでした。これも実際はスカイブルー色の青色24号であって、北陸線の475系電車が青一色の青色とは違います。青一色の475系は客車と間違えてしまいます。実際に以前に富山駅で青一色の475系を間違えて客車列車が来たと思いました。この時は側面をちらっと見たからです。しかし、これも青色の客車になじんだことのある人しかそのように感じないでしょう。そして、この京都行青電車にはヒネと隅っこに書いてありました。

 青電車で上狛駅へ。乗ってきた青電車は221系の普通電車と行き違いをして京都へ向かって行きました。

上狛駅青電車の行き違い

久しぶりに青電車の行き先が京都となった。

上狛駅青電車

青電車は先に京都へ向かっていった。

  上狛の駅は最近の新しい駅のようではなく、ローカル線の駅という雰囲気の駅でした。

上狛駅

最近はこんな駅が少なくなって、しゃれた駅が増えてきた。

事前に地図で重要文化財の民家の位置を調べておいたので、とにかく線路に沿って歩いて民家の近くまで行きました。民家は立派な切妻の茅葺です。周りの民家が一般的な瓦葺であるので茅葺切妻の民家は際立って見えます。この民家と電車を入れて撮ろうとしても、なかなかいいところが見つかりません。線路の周りに草が生い茂っているし、線路が京都方面に上り勾配の築堤になっていますが、田植えのされた水田があってもうまく絵にならないのです。線路の東側が丘陵になっていて、登っていく道があるのでそっちの方へ行ったりして撮影ポジションを探しました。思ったより難しいが何とか探して撮ることができました。

奈良線上狛緑電車-1

この道は後で調べると狛一族の守護神狛弁財天に行く道であった。弁財天に行った帰り道から見たら・・・ という感じであろうか

電車と民家の部分を拡大すると下の写真のようになります。後になって、この方が良かったのではと思ったりします。この辺が写真の面白さであり、難しいところです。

奈良線上狛緑電車-2

奈良線の車窓から見るなかでも楽しみにしている風景の一つ。茅葺屋根が美しい。

 晩秋や冬であればまた違った風景で撮りやすかったかもしれません。電車の色と周辺の草の色が同色なので電車が風景の中に溶け込んでしまっています。それはそれでよしとするしかありません。少しばかり茅葺の民家も写っているし、竹林、田植えの終わった水田、背景に上狛の集落といった南山城の風景の中を走る電車の写真としてはまあまあかなと納得するして、また違った季節に来てみようと思った次第です。

上狛環濠集落

かつての繁栄がしのばれる。

 ところで上狛は環濠集落で、堀で囲まれて要塞化したのは“応仁の乱”の頃で、狛氏の館を中心に集落が形成されたようです。環濠集落といえば奈良盆地には教科書にも載っている稗田環濠集落や堺、尼崎、平野も堀で囲まれています。堺などの規模になると環濠都市と行ってもよいようで、室町時代から戦国時代にかけて自治都市として発展していました。上狛も応仁の乱後に起こった“山城国一揆”で周辺地域とともに農民などが自治をおこなっていたようです。写真撮影後に駅まで集落内の迷路のような道を歩いていると環濠集落であることがよくわかります。左の写真のような立派な蔵があり、この堀は集落の北側で堀に沿って歩いていくと囲んでいることがよくわかります。上狛の集落には山城茶問屋街があり、今回は行きませんでしたが、「やってみなはれ」で有名なサントリーの緑茶「伊右衛門」の名前は福寿園創業者の名前であることはみなさんご存知だとおもいますが、その福寿園の本社は上狛にあります。そして、駅前にはひょっとしたら乙訓の長老様がご存知かもしれませんが、壁紙などを製造している昭和7年創業の小嶋織物株式会社がありました。この会社のホームページを見てみると斬新なデザインの壁紙やそれに関連した製品があって、南山城の会社であっても存在感があるようです。

 歩きまわって疲れたので引き上げることにしました。奈良線のロングシートの普通列車は103系以外に見たことはありません。帰りも103系でしたが、これは緑電車でした。まずは京都行がきます。

上狛駅に入ってくる緑電車

この駅には103系電車が良く似合う。

そして、間もなく奈良行きが来て、今回の奈良線ぶらぶらは終了となりました。

おまけを一つ。これは奈良線でありませんが、C56の特別列車が大和路線を走った時に一緒に写真を撮ったものです。

大和路線を走る青電車

いま、冷房のない電車はどこかで走っているのであろうか。

1986年8月3日のことです。まだ、ヘッドライトはシールドビームではありません。そして、非冷房車で窓が開いています。28年前はこんなんでした。

奈良線ぶらぶら 青電車で上狛へGO!」への5件のフィードバック

  1. どですかでん様
    昨日のDRFC OB会分科会での103形の話早速投稿されたのですね。鉄道の話題とともに周辺の歴史のお話など、幅広い視点で捉えられていて、毎回感心して拝見しております。昨日話題になっていた福寿園の話の他、酒の起源など、歴史探訪含めて鉄の写真を撮りに行きましょう。是非お誘いください。

    • おおつの86様
      コメントありがとうございます。本当は電車の形式がなんやらかんやらというのがあまり知らないので他のことを調べて話を広げているだけです。ただ、このために図書館で調べたりするので結構勉強になります。お恥ずかしい話ですが福寿園の本社が上狛にあることも今回初めて知ったのです。酒の起源で思いついたのですが桜井線なんかも面白いかもしれません。古い駅舎あり、巻向遺跡あり、長谷軌道のルートをたどるとか、結構おもしろいかもしれません。よく考えて連絡します。それはそうと西村さんが三江線が7月19日から再開するとのニュースを投稿されていました。柿本人麻呂終焉地と伝えられているところが沿線にある三江線も面白いかもしれません。

  2. どですかでんさん今晩は!
    どですかでんさんならではのなかなか味わいのある、そしてDEFCーOB会員らしいウィットに富んだ撮影紀行を楽しく拝見させていただきました。私は宇治に1カ月ほど下宿したことがありますが、当時の奈良線は魅力に乏しく、C58単機回送とキハ17系くらいしか記録しておりません。併行する京阪宇治線の方が面白かったような記憶があります。山科方面にお住まいの蒸機と客車に関しては人間国宝級の大先輩は新居を構える時に「本線でないとアカン。奈良線は嫌や。」との信念で今の場所を選ばれたと何度もお聞きしました。私も同感です。関係者がおられたらご勘弁下さい。しかし、C58とディーゼルカーだけで興味が薄かった奈良線ですが、もう少し、古い時代はC51も走っていたとのことで、一度その記録写真を見てみたいと思います。どですかでんさんの事前調査と創造力にはいつも感心しておりますが、私は行き当たりばったりが基本姿勢です。ただ、鈍行などでローカル駅に停まる時付近の名所旧跡などの説明を見て思いを馳せることは好きです。昨夏、加古川線に初めて乗車した時に黒田庄だったか本黒田だったか来年の大河ドラマ軍師官兵衛に関係するところであるような看板を見ました。官兵衛は姫路の出身とのことなので黒田家の発祥の地かもしれません。お知りの方がおられたら教えてください。

    • 準特急様
      コメントありがとうございます。事前調査のことで感心していただいて恐縮しております。最初は車窓からの民家を見て、普通であればどの駅の間にあったかメモでもするのですが、私はええ加減なので後でなって地図で奈良線沿線のこの辺ではないかと目星を付けて探している時にいろいろ調べています。話は変わりますが、加古川線の黒田庄は学生の時に“黒田庄”という名前にひかれて一度行ってみたいと思っていました。結局一度も行かなかったのですが、改めて気になるので調べますと、「本黒田」と「黒田庄」の2駅があって加古川来ると最初が黒田庄駅で次の駅が本黒田駅でした。これを知ってますます行ってみたくなりました。そして黒田庄駅の近くには兵主神社があって黒田官兵衛が戦勝祈願に訪れたようです。拝殿は長床式でこの形式は会津の喜多方にある新宮熊野神社の長床が重文になっています。これは見ていますので、ぜひ黒田庄に行ってみたいと思っています。いいことを教えていただきありがとうございました。大津の86さん、これも候補にしようと思いますがいかがですか。

      • どですかでん様
        いいですね。加古川線沿線は行ったことがなく、大河放映中で丁度よい機会かもしれません。沿線の面白そうなところ教えていただきながら、粟生から北条鉄道や神戸電鉄も覗いてみたいですね。

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