クローバー会富山ツアーの1日目はトロッコ乗車組として黒部峡谷鉄道に乗って黒薙に行くことになった。目的は温泉に入るために行くのではない。とにかく、行ってみよう。何かがあるかもしれない。
宇奈月駅からトロッコに乗り込む。いざ、黒薙へ・・・
トロッコに乗っていると途中で不思議な一団に遭遇したが、無事に黒薙駅に着いた。我々の乗って来たトロッコ列車は後曳橋を渡って欅平に向かって行った。
黒薙駅の山側にトンネルがある。その中を見てみると目玉が二つ見えた。
何やら居ているみたいだ。すると音がしてトンネルから出てきたものはディーゼル機関車牽引の貨物列車が出てきた。
これはめったに見られるものでない。これだけで十分である。駅員さんもかなりラッキーなことであると言われた。ところで、黒薙周辺の地形図を見てみると、黒薙支線はトンネルの途中で温泉の方に分岐しており、出口で少しだけ線路があるように思われる。これはどのようになっているのか興味をそそる。
本当に線路があるのだろうか。グーグルの地図でもわからないし、もちろん上空からの映像でもわからなかった。とにかく行ってみるしかないのである。これは調べなければなるまい。まず黒薙駅の山側にある急勾配の階段を上ることから始まる。
幅の狭い急勾配の階段を上り終えると、しばらく緩やかな山道となる。途中に後曳橋を見下ろせるところがあり、写真を撮るのにいいところである。さらに、山道を進む。
その山道はやはり黒部の山道という感じであった。道の谷側にロープのガイドがあるだけで気分的に安心する。しかし、歩きやすい道であるが油断は禁物である。途中に注意書きの看板があって、「落石の恐れがあるので速やかに通り抜けること」と書かれてあった。黒薙温泉に近づくと急な階段が続く。ゆっくりと下って行かないと危険である。階段のピッチが不揃いであるので踏み外すと大けがをする恐れがあり、打ち所が悪ければ昇天するかもしれない。間もなく、黒薙温泉に着いた。
野趣豊かな温泉宿である。ところで地図上にあった線路らしき所はどうかと、キョロキョロしたがそんなものはなかった。宿の人に聞いたのであるが、どうもなかったようである。そして黒薙支線から分岐しているトンネルはこの温泉に物資を運びこむためにあるとのことである。輸送の仕方は一輪車に荷物を載せて運ぶらしい。トンネル出口からは階段を下って行くのである。その為か、一輪車用に階段の一部がスロープにしてある。そしてその階段を下った所に一輪車が置いてあった。
この階段の傾斜から見ると大変な作業である。そして、そのトンネルは
このようなものでトロッコが通れるとは思えない。残念ながら線路はなかったが、このような山深いところの温泉宿の方々の食料などを運ぶご苦労が感じる一輪車道であった。
しばらく、休憩をして黒薙駅に戻ることにした。遅くとも黒薙駅16時52分発に乗らなければならない。途中、撮影をしながら黒薙駅へ戻った。
昭和2年に完成した水路橋である。長さ48mの1スパンコンクリート製アーチ橋である。地形図で見ると猫又駅近くの黒部川から柳橋駅にある新柳河原発電所までの水路の一部である。黒部峡谷には水力発電用の水路が地下に張り巡らされているのが地形図から読み取れる。その水路が目の前に現れるのが水路橋である。後で調べてみると猫又には堰堤があったのであるが平成7年災害で土砂に埋まってしまっている。猫又駅から眺められる景観は土砂に埋まったことがよくわかるものである。
後曳橋を俯瞰するところで撮影して駅へ向かう。駅へ下りる階段のところが後曳橋と駅が見下ろせるので乗車するトロッコが来るまでここで撮影することにした。しばらくすると満員の全車普通車の長大編成のトロッコ列車がやって来た。
なかなか壮観である。機関車が駅に入ったが最後尾はまだトンネルの中のようである。トロッコ列車でこんなに長い編成はここしかないであろう。
貨物列車が通過して行く。ホームには仕事を終えた人々が帰りの列車を待っていた。しばらくすると作業員の方々が帰途につく専用列車がやって来た。
作業員の方々が乗り込んで帰途につく。
さあ、われわれも次の列車で宇奈月へ戻ることにしよう。
どですかでんさんが、“黒薙、黒薙”と、うわ言のように言っておられた理由がよく分かりましたよ。列車からも見える、ナゾの素掘りトンネル、すぐに直角に曲がって渡る後曳橋からの眺め、そこからチラリと見える不思議な水路橋と、見どころいっぱいですね。
私はトロッコ列車に乗って感じたのは、渓谷美だけでなく、それぞれの駅の曰くありげな施設でした。古城風の発電所のある柳橋駅、大きな便所だけしかない笹平駅、対岸の黒部川第二発電所へ引込線のある猫又駅、スイッチバックの釣鐘駅など、沿線の駅は見どころいっぱいでした。
総本家青信号特派員様
コメントありがとうございます。1日目はトロッコ乗車するとしたら欅平までだとすぐに戻らないといけないし、鐘釣までといううこともありましたが撮影となると調べてみたら黒薙がいいのではないかと思っていました。トロッコに乗るのは当日の成り行き次第で考えていました。うまい具合にトロッコ乗車組と散策組にわかれたので私はトロッコ乗車組で黒薙へ案内したということです。黒薙に着くとなかなか見ることができないディーゼル機関車がみられたのもラッキーでした。黒薙温泉は宇奈月温泉の源泉です。後日調べてみると、総本家さんのコメントにある猫又の引込線ですが、これは今は土砂に埋まってしまった堰堤上にあるものです。平成7年7月の大水害で埋まってしまったのです。この時に黒薙温泉も源泉が埋まり、宇奈月温泉に温泉が供給されなくなり大打撃を受けたそうです。そして黒薙の水路橋は猫又から柳橋の所にある柳河原の発電所への導水路の一部のようです。とにかく、黒薙温泉は一度は泊まってみたい温泉です。
黒薙温泉の露天大浴場に行きますと上流側の断崖に支線の線路らしきものが見えますよ。
コメントありがとうございます。黒薙温泉の露天風呂で入浴されたそうで、うらやましく思います。露天風呂から見られたのは黒薙支線ではないかと思います。地図で見ると黒薙第二発電所が上流にあり、この発電所に資材を運搬する支線だそうです。本文の写真のディーゼル機関車牽引の列車は黒薙第二発電所からだと黒薙駅の駅員さんが言っていました。なかなか見る機会がないそうです。これからもデジ青をよろしくお願いします。
黒薙駅から分岐する黒薙支線には、資材の搬入や関電関係者の輸送を目的とした不定期列車のみ運転されているのですが、昔は列車の運転日のみ駅員に許可を得れば、黒薙温泉への近道として一般旅客でも線路上を途中まで歩いていくことが出来ました。
黒薙温泉側にあるトンネルは黒薙支線へと繋がっており、当時はよくそこから出入りしたものです。
当時は黒部峡谷自体が観光の穴場で今ほど人も多くなかったので出来たんだと思います。
私の幼少期の思い出ですが、今となってはとても貴重な体験です。
ナツ様、コメントありがとうございます。ところで草薙温泉へはトンネルを通っていたと聞いたことがあります。自分で撮った写真なのですが草薙温泉への道を示している看板の写真の次の写真を見ていると目が回って転落しそうに感じます。写真を撮った頃であればそんなことはないのですが・・・コメントの文面を読んでみるとナツ様は地元の方のようですが、地元の方であればお聞きしたいのですが、草卓人さん編の「鉄道の記憶」を読んでいると「桃源」という駅があったようですがどこかご存じ内でしょうか。「桃源温泉」もあるようなことが書かれています。ここは宇奈月のことなんでしょうか?ご存じであれば教えていただけたらと思っています。これからもデジ青をよろしくします。
私自身はそこまでその辺の知識に詳しい訳では無いのですが、宇奈月は過去に桃の木が自生していたことから桃源と呼ばれていたため、おそらく宇奈月温泉の認識で間違いないと思います。
また、登山家の祖父から聞いた話では、鉄道は通っていませんが、黒部川上流の薬師見平は登山家の間で桃源郷と呼ばれているそうです。