天然色写真で語り継ぐ あの日あの時 【27】 初冬編

12月の南九州でC61を撮る

再び“天然色”シリーズに戻って、初冬編に参ります。昭和46年12月、この時期としては初めて九州へ向かいました。それまで長期間の旅行は、休みの多い春・夏限定でしたが、均一周遊券を使った初冬の旅行となりました。秋の旅行シーズンが終わり、年末年始のピークまでの空白期となる12月上・中旬は、列車も観光地も宿泊先もホントによく空いていることを実感しました。今なら、ライトアップなどの催事もありますが、当時はそんなチャラチャラしたイベントもありません。とくに有り難いのは、当時、常宿としていたユースホステルの予約でした。予約は、ハンドブックで宿泊先を選び、往復はがきで申し込みますが、到着までに一週間近く掛かります。満室だと、またプランを練り直し、再度、一週間後の結果待ちと、今から考えると、たいへん手間と時間の掛かる申し込みでしたが、予約なしで飛び込みもOKだったのが、この時期でした。夜行列車も空いていて、1BOXを一人で占拠して、ゆっくり熟睡したのでした。
お馴染み、朝の大淀川を渡るC57の牽く539レ。まだ川沿いのフェニックス並木も健在だった。原版は、すっかり褪色していたが、色温度を上げてやるだけで、簡単に朝のイメージにすることができた(1971年12月)。


当時、南九州の一番の話題は、C61の転属だった。宮崎区C57・C55が検査期限切れで廃車が始まり、その代替として、奥羽本線の電化で余剰となった青森区のC61がはるばる転属することになり、まず昭和46年5月にC612が鹿児島区に転属し、勾配区間の宮崎~西鹿児島でテストされた。しかし空転が頻繁に発生したため、結局、その後、青森区から宮崎区に転属してきた残りの5両とともに、延岡~南宮崎の平坦区間で旅客、貨物を牽引することになった。

高鍋~日向新富の小さな鉄橋を行く。転属したC61は、2、18、19、20、24、28の6両であり、青森区時代は、奥羽本線の秋田~青森で、旅客の牽引機として活躍した。その後、動態保存のためにC61 2が翌、昭和47年に梅小路区に転属。残る5両も昭和49年の宮崎電化までに大半が運用を離脱した。その後、このC6120が伊勢崎市の公園に保存されていたところ、奇跡的に動態保存機として復活することになった。

 

 

97レを牽いて高鍋駅北方の小丸川を渡るC6120、海に近くて、条件が合うと、川霧が発生しやすいところのようで、朝の逆光を生かした写真を、時おり見掛ける。

同じく小丸川の「にちりん」、80系時代で、まだ博多~西鹿児島の1往復のみだったが、「にちりん」は、その後、電車化、増発が続き、ピークの昭和63年改正では、小倉~大分では、実に27.5往復にまで成長した。こちらは夕方の大淀川、都城行き1547レが水面に影を落として渡って行く。

 天然色写真で語り継ぐ あの日あの時 【27】 初冬編」への2件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    南九州のC61は、中学生だった小生の憧れでした。しかし、宮崎はあまりにも遠く、鉄道誌の写真を見ることしかできませんでした。
    ようやく宮崎へ行けたのは、2年が過ぎた昭和48年の夏休みでした。宮崎のC57・C61を目当てに、小丸川橋梁へも行きました。ですが、電化工事が進んでいて、架線柱が建ち、架線も張られていました。わずか2年ですが、当時の2年は大きな差がありました。
    小丸川橋梁で待っていると、憧れのC61がやってきました。20号機です。まさか、この機関車が現役に復活する日が来るとは、当時は考えも及びませんでした。
    ところで小丸川ですが、小生は「こまるかわ」と読んでおりました。駄菓子菓子、「おまるがわ」が正しいそうです。ずいぶん長い橋梁ですが、全長は806mあり、九州一長い鉄道橋だそうです。
    長い間気にも留めなかったのですが、この頃になって妙に気になることが多く、調べてみると「へぇ~、そうやったんや、これは知らんかった」の連続です。

    • 紫の1863さま
      C61の思い出と写真、ありがとうございます。私にとってのC61は、東北本線、奥羽本線で見た時の印象が強く、日豊本線に転属後の活躍は、ちょっと違和感があったことも事実でしたが、東北で見たはずの同型機に再会できた感激は忘れられません。何気に写した20号機が、その後、JR東で華々しく復活するとは、私も考えもつきませんでした。鉄橋名、小丸川なんですね。ある筋からも連絡があり、訂正しておきましたて。“こまる”と思っていたら、“おまる”とは、これは今回初めて知った次第です。

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