ドイツ鉄道のローカル線

 ぶんしゅう氏からドイツ鉄道のローカル線事情を、とお尋ねがあった。老人は1988年に路面電車同好会に入会して以来、ドイツ市電の姿を知りたいと思った。従って彼の要望に応えることが出来ないと思うのだが、2003年ドイツ一周旅行をした時、各地の駅で見たローカル線で走っているであろうと思われる気動車を紹介しよう。

お多分に漏れずドイツのローカル線もほとんどが非電化線である。本線筋が民有化された後、閑散線(旧東ドイツ圏に多い)は第3セクターとなり、それらの新しい車両は白に緑の塗分けが多いので見分け易い。ドイツでローカル線用と言えば日本のキハ01のモデルとなった4輪車が知られているが、2003年初めて旧東ドイツ圏でお目にかかったが、事業用車として側線で昼寝をしている姿のみであった。4輪車については、須磨の老人が詳しいので蘊蓄を語ってくれると思う。

老人が初めて見ることが出来た気動車は1996年、シュトラスブルグ(フランス領、本来語尾はブールと発音する)から国境であるライン河を越えて最初の駅、ケールで行き違った国境連絡列車であった。フランス、ドイツの国境区間は交流ながら電圧が異なり、ローカル列車はDCによる運転もあり、写真①628系と称する2両固定編成が運転されていた。2両の内1両の区画1/3が1等、1/3・2等、1/3自転車持込スペースであった。2003年には旧東ドイツ圏ハレ→ハルバーシュタット間でも乗ったが、なかなかの優れものであった。発車は押ボタン、運転手は窓から半身を乗り出し後方確認である。最大速度は120キロ、自動運転である。停車はオフとした後、横のボタンを押し減速、更に別のボタンを押す。日本の様に階段緩めをして停車寸前に全緩めチョイ入れの名人芸なしで、ガガガッゴッツンで停車した。液体式か電気式なのか分からぬままである。

後日ウルムからフライブルグへ向かう途中、ドナウ川源流沿いの曲がりくねった区間でも乗った。途中駅で小学生の団体が30人ばかり乗って来た。座席のない子供たちは我々が乗っている合造車になだれ込み、無人の1等座席をてんでんに占拠してしまった。そこへ大柄のおばちゃん車掌が出現、子供たちを2等車に追い込んだ。後で見に行くと3人掛けで収まっていた。教師は知らん顔、これがドイツ流らしい。これらの2両編成、1996年に乗った時は白に窓廻り淡青の2トーンであったが、民有化(ドイツ鉄道)後、写真②赤主体に裾まわり白の標準色となり、旧東ドイツ圏でも見られるようになった。非電化ローカル線の標準的な列車編成は、写真③DL牽引の客車列車で、これはペンテルツーク(振子:行ったり、来たり)運転、最後尾車は制御車なのである。

ドイツ中部ライプチィッヒから西へ約50㎞、ナウムブルグと言う人口3万の元城下町がある。この町の市電はイヴェントに合わせての不定期運転。RE(地域急行、日本なら快速)で到着したらホーム反対側に、写真④低床4輪車が停車していた。車体長は確実に10m超のもので日本ならボギー車となるものだ。このあたりの第3セクターが、ドイツ鉄道の駅に乗り入れているのであった。これは日本にない姿である。

ドレスデンから西へ100km強、ツビカウと言う人口11万の都市がある。駅に到着すれば反対ホームに、写真⑤3車体連接車が停車中。よく見れば前後は1軸台車。中央は4軸ボギー構造になっている。このDCが駅外れから、写真⑥3線軌条で市の中心部に乗り入れている。そして、この第3セクターは市電乗り入れのみならず、大都市へ直行するため、写真⑦本線急行用DCも保有していた。

ドレスデンから西へ245km、エルフルトと言う人口20万人の都市がある。駅の東隣にインターシティホテルがあり、駅から南へ電車通りを5分も歩けば繁華街(居酒屋あり)であり、とても便利なところだ。老人は朝9時20分に駅ホームに出てみたら、写真⑧満員の大型DC重連が到着した。まず人が出て、次いで自転車族が降車するのを目の当たりにした。第3セクターに転換された沿線からの通勤客であった。これと同型車両を環境都市で知られるフライブルグでも見た。テレビ放映では、休日はDCで郊外へサイクリングに行くのが楽しみだ、との市民の声が紹介されていた。

 

国境で出会ったVT628系DC

国境で出会ったVT628系DC

繝・?カル専用の2両固定編成
ローカル専用の2両固定編成
DL牽引の振蜷・?成
DL牽引の振子編成
車長は10M超の第3セクターのDC
車長は10M超の第3セクターのDC
右・市内乗り入れDC、左・ICE-3
右・市内乗り入れDC、左・ICE-3
市電は1m軌間、DCは標準軌
市電は1m軌間、DCは標準軌
車籍は第3セクター、亜幹線急行用、時速160㌔で走る
車籍は第3セクター、亜幹線急行用、時速160㌔で走る
大型DCの車長は客車並みか
大型DCの車長は客車並みか

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