2013年夏、台湾

近年、デカンショまつり号さんと数回に渡って台湾にご一緒させていただいたが、春先、準特急さんの台湾訪問記事に触発され、乗り鉄中心でなく台湾の風光明媚な景色を入れた写真を撮ってみたいと思っていた。デカンショまつり号さんと7月に台湾行きの準備を進めていたところ、準特急さんからも台湾にご一緒いただけると快諾を得、3人での台湾行きが実現することとなった。

EMU300型 汐止駅発車

EMU300型 汐止駅発車

7月12日

台風7号の影響で沖縄が暴風域にはいっており、台湾行にどれほどの影響があるか不安はあったが、台北は曇りで、時折さす強い日差しに南国の夏を感じるものの、台風接近の実感はなかった。

台北駅の切符売り場は長い行列で、30分並んでインターネット予約の受付番号を伝えると、日本語が堪能な係員が出てきて、花蓮へは15時20分発の自強236次が最後の列車となり、後は台風のため運休するという。これで、いきなり三貂嶺で撮影してから、花蓮をめざすという初日のプランが崩壊した。しかし花蓮までは到達しておかないと翌日、台東へ行くのも苦しくなるので迷うことなく、15時20分発自強号を3席確保する。14時過ぎに台北駅の台鉄夢工房前でデカンショまつり号さんと落ち合う。準特急さんとは三貂嶺駅で合流する手筈になっていたが、高鉄台北駅の改札を出たところで、自強号発車数分前で何とか合流することができ一安心する。

自強236次はプッシュプル式のE1000型であった。自強号の車両は、リクライニングシートで座席の前後の間隔もグリーン車並みにゆとりがあり、通路もじゅうたん敷きとなかなか快適である。惜しむらくは、独立した化粧室はないようである。17時49分、定刻に花蓮に到着、予約しておいた駅前のホテルに荷物を預け、近くの海鮮料理屋で宴会となる。

7月13日

朝、人気のない花蓮駅に行くと、台風の影響で全ての列車が運休しており、午後にならないと動かないという。風雨は強いものの台風という実感はあまりなく、全列車を運休させるのは大げさなように思われたが、自然災害の多い台湾なりの事情はあるのであろう。このままでは、昨日に続いて二日目も棒に振ることも想定しなければならない。旧型客車の撮影どころか、台東、高雄への移動もおぼつかない。そこへデカンショまつり号さんが台東行きの路線バスは動いているというので、9時20分発のバスに乗り、ことなきを得る。4時間ほどかかるようだが、いつ動くか知れない列車を待つよりは随分ましである。バスは幹線道路の走行と集落に入っての停車を繰り返し、さしてスピードも出ていないのに飛び跳ねるような乗り心地で、窓も大きな広告シールでろくろく景色も見えないのに閉口する。

14時前ようやく台東駅に到着する。構内に入ると、もう列車は動いているようで駅は活気にあふれている。一往復しかない旧型客車の普快3671次を駅のホーム端で撮影してすぐ、14時22分発の自強308次で太麻里まで南下する。この自強号はディーゼル車のDR3100型で幌付きのなかなか好ましいスタイルである。モノクラスながら9両編成で、関西で見かけるDC特急がめっきり短編成化していることもあり、重厚な感じを受ける。

太麻里に着くと9両の旧型客車が留置されていた。SPK32700型のシリーズの他、これを冷房改造したSP2300型も留置されていた。塗装も剥げてきているので廃車体であろう。SP2300型は冷気平快として運用されているのを見たことはあるが乗ったことはない。

太麻里付近をゆく莒光号

太麻里付近をゆく莒光号

準特急さんにご案内いただき、駅から10分程山道を汗をたらたら流しながら歩き撮影場所に到着。海をバックに全編成きれいに入るのだが、残念ながら紺碧の海と空という訳にはいかなかった。復興782次、莒光703次、自強312次をたて続けに撮った後、旧型客車の普快3672次枋寮行きに乗る。この普快は3両編成で両端がデッキ付きの日本製SPK32600と32700、中央がインド製のTP32200であった。昔の写真を見るとインド製の両開き自動ドアのタイプは各地の普通列車で活躍していたことがわかる。日本製のタイプもかつて優等列車の対号特快として活躍していたが、今や定期運行としては、台東-枋寮間一往復が残るのみとなってしまった。全金属車体にRのついた小窓が並ぶ様は10系客車のようであり、はたまたスハ44のようでもある。この台東-枋寮間は1990年代に開通した新線区間なので時折海が見えるものの、トンネルも多くかなりスピードもある。路盤がよいためか乗り心地も悪くないので、走行感覚はかつての福知山線や山陰線の旧型客車の走りっぷりと少しイメージが違うかも知れない。花東線の電化工事も進捗しているようなので、乗れるうちにまた再訪したいと思う。

普快3672次枋寮行き

普快3672次枋寮行き

19時34分枋寮到着後、20時10分発の莒光708次に乗り換え、高雄には1時間半ほどで着く。ホテルに投宿後、六合夜市の海鮮料理屋で宴会とする。

7月14日

高雄から7時ちょうどの自強112次で斗六まで乗る。この自強112次は台北に12時、終点の基隆には12時44分に着く。車両は吊掛式電車のEMU1200型。この車は南アフリカ製のEMU200型を台湾で大改造してEMU1200型としたもの。昔の写真を見ると前面などはEMU200型時代の原型を留めていない。吊掛式といっても空調、固定窓、リクライニングシートとなので80系電車などとは随分イメージが違う。遮音もよくきいているためか車内ではモーター音もかすかに聞える程度である。

EMU1200型

EMU1200型

台北-高雄間371.5キロの西部幹線は輸送密度の高い路線で、ほぼ1時間毎に自強号が設定されており、急行に相当する莒光号が補完している。早い自強号だと4時間7分で走破しているが、高鉄(新幹線)開業以前は4時間を切る列車もあった。高鉄が1時間36分で走るこの区間を自強号で乗り通す客がどれくらいいるのか興味はあるが、高鉄開業後、西部幹線の自強号は停車駅を増やして、今も活況を呈しており週末は指定がなかなか取れないくらいである。九州に当てはめると、さくら・みずほと在来線のつばめがそのまま並存しているようで面白い。台北-高雄(高鉄は新左営)の運賃が、高鉄1490元(約5200円)、自強号843元(約2950円)であり、輸送密度や運営会社が違うなど、一概に比較は出来ないが、新幹線と在来線の優等列車が並存しているのは、利用者にとってさまざまな選択肢があるのはうらやましいことだと思う。

さて、斗六から莒光504次に乗り換え、二水へ向かう。7月14日から8月14日までの毎日曜日、集集線は南投火車好多節というイベントの一環で、2011年に復活したDT668(D51)牽引の客車列車が走る。この間に南投県で宿泊あるいは500元消費すると、このSL牽引の列車に乗れるようだ。私たちは、集集駅の近くでDT668+インド製客車4連の走行写真を撮った後、濁水駅で長時間停車する列車を撮影した。多くの観光客と鉄道ファンも同様にカメラを向けていたが、一人の男性が日本語で話しかけてきた。仕事で日本との関わりがあり、江差線の撮影に近日行くという。どこにでも筋金入りのファンはいるものだと思った。

濁水駅でのDT668

濁水駅でのDT668

その後、水里で撮影した後、二水から台北まで戻る指定席が3席確保できなかったため、準特急さんとデカンショまつり号さんは16時21分発の莒光516次で七堵まで乗車され、私は彰化17時17分発の自強134次を無座(立席)で七堵をめざすことにした。この自強134次は吊掛式のEMU300型であった。この電車はイタリア製で正面のごつい幌枠に重厚感がありとても気に入っている車両である。気のせいかも知れないがEMU1200型より吊掛モーター音が車内でもよく聞える。結局、始発の彰化から終点の七堵まで同じ席に座り通しだった。基隆でもホテルに荷物を置いてから近くの基隆夜市で海鮮宴会となった。

7月15日

先ず初日に果たせなかった三貂嶺での撮影に向かう。三貂嶺駅は静かな山間の小駅であるが、景色もよく、平渓線のディーゼルカーはタブレット交換を行っており、長い時間いても飽きない。この駅で、莒光号やディーゼル自強号、新鋭TEMU2000型プユマ号、荷物列車を撮影した後、デカンショまつり号さんと別れ、普通電車で亀山をめざす。途中で弁当売りがホームに現れたので、慌てて買い求め、他の客がしているようにロングシートで弁当を食べる。亀山から10分程北へ戻り、小高い山の上から俯瞰撮影をした後、大里まで移動し、海をバックに何本かの列車を撮影した。この日は、はじめの頃の台風禍からうって変わって、天気もよくなり当然のことであるが南国の夏らしいとても暑い一日となった。

三貂嶺駅を通過する荷物列車

三貂嶺駅を通過する荷物列車

ディーゼル自強DR3000型

ディーゼル自強DR3000型

TEMU2000型プユマ号

TEMU2000型プユマ号

亀山付近を貨物列車がゆく

亀山付近を貨物列車がゆく

 

大里付近を普通電車がゆく

大里付近を普通電車がゆく

今回、準特急さんとデカンショまつり号さんにはとてもお世話になったが、原稿を起こすことが旅行の追体験となり楽しかった日々が思い起こされた。今回は縁がなかったDR2700型ディーゼルカーや西部幹線海線の木造駅、ナローゲージにもアプローチしてみたい。台湾の鉄道には、そういった個別の対象だけでなく、客車、電車、ディーゼルの車両群やよく手入れされた古い駅舎、親切な鉄道員など、イベント列車や特別な運行でない日常の中に多彩な魅力があり、まだまだ飽きることがない。

6 thoughts on “2013年夏、台湾

  1. ブギウギさま
    楽しく拝見しました。準特急さま、デカンショまつり号さまもお疲れ様でした。台風で列車運休のハプニングもものともせず、台湾一周が敢行できたこと何よりでした。
    私も行った三貂嶺、大里、集集線なども懐かしく見ました。
    ブギウギさんは何度も行っておられる、南廻線も、その良さが伝わってきました。昨日もBSテレビで、台湾の鉄道特集を2時間に渡ってやっていましたね。その中でも、南廻線の旧型客車の旅がいちばん印象に残りました。私もぜひ行ってみたいものです。

    • 総本家青信号特派員様
       コメントありがとうございます。今回、3人で行きましたが、それぞれの方の鉄道趣味へのアプローチに大いに刺激を受けました。大勢の方が食事もおいしいですし。南廻線は一度、紺碧の空の下で撮影をしたいと思っているのですが、未だ機会に恵まれません。でもそうやって宿題が残るほうが次への意欲も沸くのですが。

  2. ブギウギさま

    デカンショまつり号です。

    台湾では、大変お世話になりました。
    これまで、5回台湾行をご一緒させていただきましたが、今回が一番大変な旅でしたが、その分、印象的であり、充実した旅となりました。
    前半の台風のため、一日目は壊滅。奇跡的な台北での準特急さんとの合流など、運に支えられた旅でもありました。
    二日目の台東へのバス旅は、コミュニティバスのような小さなバスで、花蓮~台東を4時間かけて走り抜けたのも、今となってはいい思い出です。
    二日目後半からは、前半をリカバーするようにとても充実した旅になりました。
    特に、3日目の「南投火車好多節」のDT668は最高でした。
    毎年、夏に運転されるようなので、来年の7月3連休の台湾行航空券をすでに予約しました。ぜひ、次回もご一緒させていただきたいと思います。
    それにしても、今まで5回の台湾旅行ですが、1回目は、88大水害で、南廻線が不通となり、全島一周できず。2回目は、4日間とも雨模様。それから、今回の台風。
    ダメ押しで、昨日ご一緒した能勢電撮影行など、小生の雨男ぶりを再認識した次第です。
    まあ、「雨降って地固まるる」ということでお許しください。

  3. 海外撮影旅行で現地の空港やホテルで待ち合わせをすることがたまにあります。海外で使用可能な携帯電話を持っていないことでお二人にはご迷惑をおかけしました。今回は各自航空会社も異なり、①台北発の指定列車に集合、間にあわない時 ②三貂嶺で落ち合う 最悪の場合は③花蓮の緑地飯店に行く とこのような決まりになっていました。 私の場合は①が間に合わず、②のケースを頭に台鉄の乗り場に向かう途中の雑踏の中でデカンショまつり号さんが疲れ気味の私を間一髪発見してくれて事無きを得ました。ブギウギさんの太麻里の海をバックにした列車写真と大里の海辺を行く韓国製の通勤電車の写真はよく撮れてますね。島と小舟がうまく入ってよろしいですね。また、行きましょう。発表有難うございました。

    • 準特急様
       コメントありがとうございます。太麻里や亀山など素晴らしい撮影地をご案内いただき感謝申し上げます。また、SL時代等の鉄道の話も興味深く聴かせていただき、私などは未だ青いと思いました。「指定列車」という言葉も学生時代に同好会の夏季旅行などで使っていましたので懐かしく思いました。またの機会に是非よろしくお願いいたします。

  4. デカンショまつり号様
     コメントありがとうございます。近年は台湾に入り込んでいますが、台湾の面白さを再認識し、海外での撮り鉄まで趣味が広がったのはデカンショまつり号さんのおかげと大変感謝しております。
    お互いサラリーマンですので、来年のことを言うと鬼が笑うところですが、ご提案の時期に行けるよう調整したいと思っています。またよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください