【98248】東海道旧線を訪ねてー大津編④

馬場駅から約500mのところに石場駅が設けられた。石場には港があり、対岸の矢橋への航路があった。また、東海道と交差する位置にあり、ここから大津の中心部を通る京町通、中町通り、浜通りの3本の道がつながっていたため、馬場から近いにもかかわらず、駅が設けられたものと思われる。
馬場駅から大津駅に行くこの線路は東海道線が全通した明治22年に旅客扱いを中止したが、明治31年8月に旅客列車の運転が再開され、明治35年1月には現在の市民会館付近に紺屋関駅が作られた。石場駅と紺屋関駅の間は500m、また、紺屋関駅と大津駅の間はわずか300mしかないものの、紺屋関には湖南汽船の乗船場があったため、乗り換えの便を考えて作られたようである。図4:大津支線部分(明治22年測量、大日本帝国陸地測量部1/20000)石場駅付近と紺屋関-大津間は複線の記号となっており、交換又は待避線があったのかもしれない。

8.湖岸の石積み遺構
石場駅の横はすぐ湖で、ここから大津駅(現在の京阪電鉄びわ湖浜大津)までは湖岸沿いに堤を作って線路を引いた。この堤は当初から複線を考慮して作られており、大正2年に大津電車軌道が鉄道院から線路を借りて複線化して電車を走らせた。尚、この区間は湖岸側が狭軌と標準軌の三線区間で、昭和22年から40年までは江若鉄道も膳所駅に乗り入れ、京阪、江若、国鉄の三社が同じ線路を使うという珍しい路線であった。現在は湖岸の埋め立てが進み、現在の湖岸道路より北側が湖であったという面影はないが、開業当時湖岸線に石垣を築き線路を引いたため、現在の京阪電鉄石場―びわ湖浜大津間には当時の石垣の跡がところどころに見られる。写真18:湖岸の石積みの跡、島ノ関西交差点付近から石場駅手前までの間で見られる。

9.橋梁の橋台

また、関と呼ばれる入江がいくつかあり、小川の河口には短い橋が架かっていた。現在残っている小舟入りの鉄橋の橋台、島ノ関駅ホーム下にある吾妻川鉄橋の橋台は開業当時の物と思われる。写真19:小舟入り鉄橋。当時入り江となっており、現在は埋め立てられてこの部分だけが鉄橋として残っている。この鉄橋は鉄道省の銘板が入っているが、作られたのは京阪電鉄合併後の昭和9年。
写真20:島ノ関駅ホーム下にある吾妻川鉄橋、橋台は石造り
終点の大津駅は旧江若鉄道浜大津駅、現在のスカイプラザ浜大津付近にあった。明治13年に京都-大津間が開業後、明治22年湖東線開通までの間は、大津から長浜への鉄道連絡線の乗換駅として旅客貨物ともに大いににぎわった。港は線路の直角方向にあり、大津駅の西側には転車台があって、貨物の積み込みのため90度向きを変えた北方向にも線路が伸びていたが、この付近は湖岸の埋め立てが進んだこともあって当時の面影を残すものは残っていない。図5:明治35年当時大津駅配置図(大津市歴史博物館「大津の鉄道百科展」資料より作図。写真21:大津公会堂横歩道橋から見た旧大津駅のあったところ。島ノ関西交差点西側で京阪石坂線の線路と別れ、湖岸側が院線。その先の「浜大津スカイプラザ」辺りが駅であった。

 

東海道旧線を訪ねてー大津編④” への6件のコメント

  1. 大津の86さん 興味深く拝見しております。私の持っている堀淳一さんの「地図のたのしみ」に京都ー大津間の旧東海道本線について書かれています。学生時代に買って「青信号30号」で紹介しました。さて、間違いではないかと思うところがあります。「大津から長浜への鉄道連絡線の乗換駅として旅客貨物ともに大いににぎわった。」の鉄道連絡線は『線』でなく『船』でないでしょうか。それと、お聞きしたいのですが明治35年当時の大津駅配置図でターンテーブルの下側に延びている線が北方向と書かれているので港からの貨物積込み線なのでしょうか。ところで貨車は1両づつターンテーブルにのせて方向転換していたのでしょうか。たぶん、人力でターンテーブルにのせていたのでしょうね。模型で再現したら面白いかもしれませんね。ねえ、西村さん!

    • どですかでん様
      コメントありがとうございます。
      鉄道連絡線は変換間違いでご指摘の通り鉄道連絡船でした。わずか7年余りでしたが、わが国初の鉄道連絡船として歴史に残りました。
      旧大津駅にあったターンテーブルは私は見たことがありませんが、後年まで残っていたようです。西村さんの浜大津ジオラマにも作り込まれていたのではなかったかと思います。いかがだったでしょうか。このあたりの経緯は西村さんがよくご存じではないでしょうか。

    • どですかでん様
      あれから西村さんの浜大津ジオラマの写真を探していたところ、ちゃんとターンテーブルが写っていました。明治時代のものかどうか、また、いつごろまであったのか。やっぱり西村さんに登場願って説明いただくのが一番かと思います。よろしくお願いいたします。

      • ところで江若の浜大津駅と開業当初の大津駅との関係はどうなんでしょうか。京阪との関係は。そんなことをやり始めると底なし沼にずるずると。しかし、おもしろそうですね。

  2. 旧東海道本線に鉄道遺跡はよくわかっていない私にも興味深いものがあります。トンネル入り口や機関庫跡、浜大津界隈は一度前回お世話になりました大津市内名所めぐり同様地元のシェルパ86さんにお願いしたいところです。その時は大津の常宿に泊まります。

    • 準特急様
      コメントありがとうございます。
      今回訪問した遺構と称するところは全部で11か所でしたが、いずれも自宅から2㎞以内程度の歩いて行けるところばかりで、日ごろ運動不足気味の身にはちょうど良い運動となりました。これ以外にも、江若鉄道の遺構、京阪大津線の廃止された駅などいろいろあります。ぜひお越しください。おっしゃっている常宿とは京津線のトレインビューのホテルでしょうか。秋の紅葉シーズンがいいのですが、京都から流れてくる観光客が多くなりますので予約はお早い目にどうぞ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください