博多
鉄道雑誌を読み始めた昭和30年代の後半の話題のひとつが、博多駅の移転だった。旧来の駅を廃棄して、新線上に高架の新駅を造るという工事だった。地方ならまだしも、福岡のような都会で、よくぞ大胆なことをすると子供心に思ったものだ。そして、新駅でもしばらく見られた、ブルトレを牽くC59が、ヘッドマークを掲げて頭を揃えるシーンは、強く印象に残った。
昭和38年、周囲にほとんど何もないところに新しい博多駅は開業したが、50年が経過した今は、天神エリアと並んで、福岡の二大中心街を形成するまでになった。平成19年には新々駅ビル、JR博多シティができて、さらに駅周辺は賑やかさを増した。
▲初めて博多駅を訪れたのは、小雨の降る夕刻だった。17時12分、ホームに大勢の乗客や見送り客が並ぶなか、ゆっくりとED75303の牽く東京行きの「はやぶさ」が入線して来た(上)。博多で7両が増結され、堂々の15両編成となり、牽引機もED7319に替わった(下)。博多駅では、この前後にも「あさかぜ」「みずほ」「さくら」が東京へ向けて発車して行く。一晩寝ると、翌朝には1000キロ離れた東京に着ける。ブルトレ華やかなりし頃の博多駅風景だった。(昭和42年)