2013年 秋の北陸路一人旅 Part10 えちぜん鉄道

第10日目 10月21日

026:00 朝起きるとホワイトアウトまではいきませんが、雨があがった後の霧で白い朝を迎えました。
朝霧の日の日中は、快晴になります。TVを見ながら、霧が晴れるのを待ちました。
昨日は滑川から約160キロを約3時間をかけて、えちぜん鉄道の走る「道の駅みくに」に、たどり着きました。旅も終盤ですが、慣れない運転が続いて疲れも最高潮です。無事に帰宅できるように安全運転で、今日も自分の目で見て撮りたいと思った撮影地を探して向かいます。今日は、えちぜん鉄道がターゲットです。

まずは夕刻の撮影に備えて夕日をバックに撮影できるポイントを探して、前回マークしておいた三国芦原線の下兵庫~大関に参りました。
03▲ 9:11 下兵庫を発車して三国港へと向かう6107単行の939M。朝霧も晴れた田園地帯を朝日を受けて快走です。

04▲ 9:28 大関で交換して福井に向かう7005+7006の2連、908M。朝の福井行きの列車は利用客が多そうで2両編成で走行します。

夕刻の撮影で気になるのは、どこに夕日が沈んでいくかです。朝の太陽の向きを見ますと、どうやら上の写真でいうと左方向です。今はちょうど斜めから順光ですが、夕刻には線路を挟んで反対方向が順光となると思われます。
この位置からでは、電車の真後ろに夕日が沈むことは考えられません。カメラ目線と夕日との間に直角に線路が走っている場所を新たに探す必要があることだけは分かりました。電車に乗ってのロケハンを必要とします。ここから、約18キロ先の勝山永平寺線の観音町駅を目指しました。

14▲ 10:05 約30分強で観音町駅に到着。駅の駐車場にぶんしゅう7号を置きます。
えちぜん鉄道の郊外駅にはマイカーからの乗り換えを促すために多くの駅で駐車場が設置されています。これから乗車してのロケハンを行いますので、後で移動しやすいようにここを選びました。
36_1▲ パークアンドライト ご覧のようにえちぜん鉄道では、マイカーで都市周辺の駅まで行き駐車をして、ここから都心部までは鉄道を利用してもらうために多くの駐車場を設置されています。
都心部の交通渋滞回避や環境をよくする効果的な手段として、郊外に広大な駐車場が設置されているのを欧米ではよく見うけられます。狭い日本では空地が少なく、設置は難しいようですが、ここでは頑張って設置されていました。利用者も多く、この日の観音寺では空きスペースは1台だけでした。

17小さいながらも駅舎がありました。窓口のおばちゃまにお得な乗車券を求めますと、平日は普段ないが、今なら「たけふ菊人形」を開催しているので、入場券とセットになった切符が1番安い。ただここでは売っていないので、勝山駅に行かれるならそこで購入してください。」と、教えていただき乗車駅証明書を発行してくださいました。
加えて乗車した列車のアテンダントさんに向けて、大きな声でその旨を伝えてくださいました。
どこかとは違っての雲泥のおもてなし対応です。こちらも車内からのロケハンは、運転席後ろからでは運転手が気になるだろうと、車両後部からにしました。

① 観音町10:12(955K)→10:48勝山
えちぜん鉄道のアテンダントさんは、同僚12人がおられると話され、忙しいにも関わらず「撮影に来られる鉄道ファンの方は多い。皆さんここでよく撮られていますよ。」と、乗車中に各所の撮影ポイント案内もしていただきました。乗車客はおなじみさんが多いのか、「今日もご乗車ありがとうございます。」等々の丁寧なご挨拶を個々にされておられます。観光客の方にもお声をかけられて沿線案内もしておられます。アテンダントさんはこうでなくちゃ、いけませんね。北陸随一です。

16_路線図0【 えちぜん鉄道 】
かつては京福電気鉄道として運営されていましたが、2000年、2001年と半年間に2度の重大な列車事故が発生し、国土交通省から福井県内の全線運行停止を命じられた結果、事業継続が困難となり廃止に追い込まれました。
地域住民の足を確保(特に冬の豪雪時)するために福井市・勝山市等が出資する第3セクターのえちぜん鉄道が設立され、新たに路線事業を開始されました。
1930年代には95.2キロあった路線も、現在は勝山永平寺線(27.8キロ)と三国芦原線(25.2キロ)の2線(合計;53.0キロ)となっています。

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01_切符

19▲ 勝山に到着後、1日フリーきっぷを購入しました後は駅舎見学です。

ご案内は、臨時駅員のネコちゃんが先導してくれました。

07▲ 国の登録有形文化財に指定された勝山駅舎には、今まで歩んできた歴史が綺麗に展示公開されていました。
080918▼ 本線から分離された線路にはト68と、動態保存されたテキ6号機が連結されて展示されています。

動態保存であるからには走らせる事もあるのでしょうが、留置してある線路は本線とはつながれていません。どうするのでしょうか。
1110▲ こじんまりとしていますが、大切に保存されているえちぜん鉄道博物館です。

2021② 勝山11:20→12:13福井22

アテンダントさんも往路と同じ方でした。
発車時刻近くになると、ホームに立ってのお出迎えです。

乗車されるおばあさんには笑顔で迎えられていました。
少子化が進み、主な乗客の高校生が減っていく中、これから増える乗客は高齢者です。
こういった思いやりのあるやさしい対応方は、これからのローカル鉄道の旅客確保にとって、とても大事な事です。

福井からの電車が到着しますと、反対側ホームに止まっていた電車の発車です。
再び後部側からのロケハン開始をしました。

15▲ 勝山からは、かつて国鉄線が走る大野まで路線が伸びていました。今は路線後は殆ど残っていませんが、大野への道横には錆びたレールが今なお積んであります。
上の写真の左下もかつての永平寺まで路線が伸びていた痕跡です。永平寺口には、使われることのなくなったポイントが名残をとどめています。

③ 福井12:40(1239M)→13:28三国港

23▲ 駅前のビル食堂で昼食後、再びえちぜん鉄道に乗車して、今度は三国芦原線のロケハンです。
福井駅は北陸新幹線の高架部分工事が1部完成しています。金沢~敦賀は、2025年完成予定で工事が着工されていますが、敦賀以西のルートはまだ決まっていません。私が生きている間に全線乗車できる機会はなさそうですね。
えちぜん鉄道の福井駅はJRの東口駅前に位置します。細長い通路を抜けて改札口を通ると、MC6101形、6107が単行で待っていました。乗客は65%ぐらいでしょうか、永平寺勝山線と同様に日中ではまずまずの乗車率です。この列車にも可愛いアテンダントさんが添乗されておられました。同じように笑顔でお迎えでした。車内吊りにはえちぜん鉄道が開業され10周年記念企画の数々が掲載されています。10月中までなので残っている企画は土日祝日限定のフリーきっぷ500円ですが、今日は平日で利用できません。

 

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▲ この列車の運行表です。福井口で運転手交代がありましたので左側は下の時刻になります。秋天の三国港までの25.2キロは、約49分の乗車です。平均速度30.86km/hとゆっくりとした乗車です。

‚¦‚¿‚º‚ñ“S“¹‚Ì—˜—pŽÒ•ªÍ‚ƍ¡Œã‚ÌŒ©’Ê‚µ‚ÉŠÖ‚·‚él‚¦•û‚¦‚¿‚º‚ñ“S“¹‚Ì—˜—pŽÒ•ªÍ‚ƍ¡Œã‚ÌŒ©’Ê‚µ‚ÉŠÖ‚·‚él‚¦•û▲ ネット上で公表されているえちぜん鉄道活性化推進協議会によるデータです。
現在のところ両路線とも右肩上がりから横ばい状態になっています。多くのローカル鉄道が利用客減になる中で、懸命の旅客誘致活動が続いているのが実績表からも読み取れます。
‚¦‚¿‚º‚ñ“S“¹‚Ì—˜—pŽÒ•ªÍ‚ƍ¡Œã‚ÌŒ©’Ê‚µ‚ÉŠÖ‚·‚él‚¦•û▲ 2路線合わせた利用客数は1日平均8,636人です。よく似たローカル路線のデータを持ち合わせていません。参考にはなりませんが、乗客5万人増を進めている京都地下鉄は、現在1日当たり、339,000人の利用客です。2ケタ違います。

開業前の予測の約130%と好調には見えますが、沿線人口は少子高齢化を迎えています。下のグラフのように、沿線人口も減少する一方です。この先は楽観視はできない厳しい予測状況が待っています。
ローカル鉄道については、地域だけの援助だけではなく上下分離方式での新たな国からの援助が不可欠になってくると思います。
この鉄道は経験済みですが、そうしないとJR北海道のように安全対策を無視したかのような経費切りつめによる危険すら待ち構えているように思えます。地域が必要とする路線については、もう1度見直しての抜本的な対策が必要です。
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④ 三国港13:39→14:25福井口14:30→14:42観音町
3115:11 勝山永平寺線での最初の撮影地は、車中から長い直線区間が見えていた轟~越前野中を選びました。ぶんしゅう7号を田んぼのあぜ道に寄せてから、じっくりと撮影ポイントを探してみますが、田園風景には無粋な青い屋根やブルーシートが見えたりで、思ったほどの所ではありません。バックに立山連峰が見えれば、カットして良い写真にはなるのですが、今日は中腹付近から雲で隠れています。走るは、元阪神電鉄ジェットカーの車体を持つMC1101形のただ1両の1102です。

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15:27 で交換した6112の1555Kが、夕日を浴びながら勝山へと向かいます。

勝山永平寺線は山間路線です。他にもノミネートした撮影ポイントはありますが、この時刻では陰になってしまいます。明日に再訪することにして、夕刻のスポット探しに三国芦原線へと戻ることにしました。

16時過ぎに朝の撮影地、下兵庫~大関に確認に参りましたが、やはり望む光景は無理です。ロケハンでノミネートした西長田~下兵庫に移動しました。
下兵庫寄りにある兵庫川鉄橋の堤防へと上がる勾配区間が、カーブになっています。カーブですので、夕日がバックになるように撮る位置を選べます。どこかに絶好の撮影ポイントがあるのではと思いました。
33【DATA】 NIKON800E VR28-300㎜ F3.5-5.6; ズ▲ 16:39 沈み夕日を見ながら電車の窓が抜ける位置を探します。ここかなと思いましたが、ファインダーから見えるのは違っていました。線路がカーブしていますので、撮る位置や高さによっても違った写真になってしまいます。

ズーム28㎜ F4 1/500秒 ISO200 露出補正-0.3段

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もう少し左側で低いカメラ位置を選ばなければいけなかったのでしょうね。ここを通過する電車は上下合わせると、10分と20分間隔のどちらかあります。夕日も電車も止まって待ってくれませんので、ちょうど良いタイミングで撮るのは至難です。
7001+7002の編成です。

この日の日没は、16:52で、夕日は雲間に少し入っていきました。
34_2▲ 17:00 日没直後に通過した電車で最後の抵抗をやってみました。

35▲ 17:09 日没後はすぐに夕闇がきます。明るい広角レンズを付けたD300Sの出番です。空を大きく、築堤を上がってくる電車が撮れました。
【DATA】 NIKOND300S TOKINA11~16㎜ f/2.8; ズーム15㎜ F2.8 1/1250秒 ISO320 露出補正-0.3段

今回の撮影から新しいレンズを購入しました。スナップを撮ることが多いので、フルサイズで16㎜前後の広角レンズので、F2.8ぐらいの明るいのを探していました。
NIKONにはAF-S NIKKOR14~24㎜ f/2.8G EDというすごいレンズはあるのですが、前面レンズが魚眼になっていてフィルター装着は不可です。カメラ扱いが手荒い私ですからすぐにぶつけたり傷を付けてしまうのは明らかです。それに1kgもありますので、カメラ本体約1㎏と合わせると2kgもの重さです。これではスナップを軽快に撮ることができません。実売18万円前後するのもネックでした。

そこで目を付けたのがTOKKINAの11~16㎜ F2.8のレンズです。フルサイズではなくAPSサイズのレンズですが、重さはNIKONの約半分(550g)です。フィルター装着はできます。価格も実売5.5万円ほどとNIKON製と比べると、1/3で購入できます。D800Eを購入して以来予備機で持っていく程度だったAPSサイズのD300Sに装着すれば、立派に現役使用できます。

純正レンズでありませんので画質には少し我慢しなければならないと思いますが、今のところ問題は発生していません。むしろ軽くて機動性もあるスナップカメラになりました。今回も大活躍してくれました。

今日の撮影はこれで切り上げです。今日の温泉は、昨夜お風呂セットを忘れてきた「三国温泉 ゆあぽ~と」にしました。宿営地も同じく「道の駅 三国」です。
紅葉を期待してきましたが、まだまだです。もう一度出直した方が良いだろうと、明日は撮影最終日にしました。撮影は、えちぜん鉄道と最後はやはり、ふくい鉄道にしました。 Part11へ続く

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