京都市バスに 6月から “観光特急”

京都市交通局では、6月1日にバス系統の再編成、ダイヤ改正を行い、社会問題化したオーバーツーリズムによるバス混雑の緩和のため、観光特急バス、EX100号、EX101号の運転を開始しました。ほかにも、朝ラッシュ時に、主要停留所のみ停車の「快速」や、観光客の多い東山、金閣寺方面の路線などを増便しています。観光特急は2系統あり、EX100号は「観光特急“楽洛”清水寺・祇園・銀閣寺ライン」が副称で、京都駅~五条坂~祇園~銀閣寺の往復、EX101号は「観光特急“楽洛”清水寺ライン」が副称で、京都駅~清水寺・五条坂の往復、いずれも主要停留所のみ停車で、運転時分の短縮も狙った。EX101は、京都駅を出ると、次は終点の清水寺・五条坂となる。

運転は通年の土休日、運賃は、従来運賃の2倍以上の500円で、観光客が多く買い求める地下鉄・バスのフリー切符、および現金・カード限定で、市民の使う定期券、回数券、敬老乗車証は利用できない。観光客の乗車を促し、従来の生活路線の混雑緩和が狙い。最近の新車が使われ、LED方向幕にも、今までなかった赤色が使われて、視認性を良くしている。

 

9~12時はEX100、EX101とも15分間隔、13~17時はともに30分間隔となる。交通局の試算では、京都駅~銀閣寺で見ると、従来系統なら44分のところ、24分で到達するとしていた。ところが、初日に地元新聞社が実際に乗車して計測すると、41分も要したと言う。実際、私が本日、岡崎公園前で計測すると、19分遅れ、つぎが12分遅れと無ダイヤ状態だった。

運転初日にはNHKの全国ニュースにもなった。

急行300号系統を偲ぶ

今まで京都市バスには、「快速」や「急行」を冠にした系統が多くありましたが、「特急」は初めての“種別”で、高速バスでは見受けるものの、路線バスでは珍しいと思います。観光地へ向けての快速バスの運転は、以前から設定されてきましたが、最初は、昭和52(1977)年4月から、いまのEX100系統とほぼ同じ経路の急行300号系統の運転でした。

「名所めぐり急行バス」が副称で、京都駅~銀閣寺の主要停留所のみ停車だが、運転は日祝のみで、土曜休日がまだ定着していない時代らしい。面白いのは経路で、京都駅~銀閣寺は今のEX100とほぼ同じ、戻りの銀閣寺~京都駅は、なんと今出川、烏丸通を経由して京都駅へ向かっていた。混雑する東山通を避けて、空いている今出川、烏丸を選んだ。これが東回りで、その反対の経路の西回りがあり、時間帯で使い分けていた。まだバスの冷房が緒についたころで、前面の白熊マークは冷房車のしるし、優先的に冷房車が使われて、ほかの系統との差別化を図った。

車両は各車庫持ち回りで運用したが、時には、冷房車が出払っていて、非冷房車が入ることもあった。

 

 

 

この時代としては、画期的な施策の急行バスだったが、結局1年半しか持たず、昭和53(1978)年10月、市電全廃時に、各停の300号系統に改められて、「急行」も方向幕から消えてしまい、烏丸今出川経由もなくなり、京都駅~銀閣寺の往復になった。この300号系統も、持ったのは3年半で、昭和56(1981)年5月に廃止された。

 京都市バスに 6月から “観光特急”」への2件のフィードバック

  1. 守備範囲の広い総本家様には、いつも教わることばかりです。さっそく「特急バス」ですか! 私はニュース等で見ただけで、多くは知りませんでした。500円という法外な料金には驚きましたが、1,100円也の一日乗車券が使えるなら、意外とお得かもしれませんね。交通局としては画期的なアイディアだと思います。コースもよく考えられており、EX100が比較的スムーズに走れる烏丸通・五条通を経由しているのは、なるほどと感心します。
    ただ、観光客は曜日に関係なく上洛され、平日にも多くの利用があります。また、京都の主要道路の多くは市電開業時のままの幅員で、東大路通は慢性的な渋滞に悩まされております。五条坂から祇園の間は特に時間がかかり、右折車両があるとたちまち渋滞が発生してしまいます。五条坂にある菩提寺へ墓参に行った帰りは、四条通までの我慢と言い聞かせています。
    添付の画像は6月10日(月曜日)夕方の撮影です。料金の支払いに手間取ったのか、バスが数珠つなぎになってしまいました。

    • 紫の1863様
      コメント、ありがとうございます。たしかに観光客数は、以前より平準化していますから、平日こそ必要だと思います。当局もそれは認めるものの、例の人手不足を理由に土休日のみとしています。昨日も、撮影のため、観光特急の混み具合を検分していましたが、いずれも空席が目立っていました。もう少し誘導したいです。所要時分も、一般系統と比べて、ほとんど変わらず、遅れが目立ちます。やはり、最混雑の東山通がガンです。それなら、清水寺はEX101に任せ、EX100は、川端通を走って、岡崎公園以遠に直行するなど、東山通を避ける経路を選択してはと思います(川端通に市バスの免許はなく、すぐには難しいと思いますが)。料金や径路、運転時分、運行日、検討すべき課題は、まだまだあるようですね。

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