鉄路の北前船と六文銭の里をはしる電車  その1 「日本海号」で直江津へ

鉄路の北前船「日本海号」と「きたぐに号」の定期運行が終了して1週間以上となりました。3月16日は各TV局が取り上げていました。NHKがニュースウォッチ9で青森駅発の「日本海号」を鷹ノ巣駅で生中継をしていたのは、なかなかいいものでした。さて、私はと申しますと、さる3月5日から8日まで船中八朔(ちょっと違った。じつは私は八朔がすきなのです。)でなく船中1泊、車中2泊の久しぶりの大旅行です。

いろいろ考えたあげく、まず新日本海フェリーの敦賀を出て新潟、秋田を寄港して苫小牧行に乗船して新潟へ。新潟から列車で酒田を経由して秋田へ行き、秋田から「日本海号」に乗って直江津で降りることにしました。直江津から長野に行き、長野電鉄の屋代線と湯田中で温泉にいって旅の疲れを癒すことにしました。再び、直江津にもどり「きたぐに号」で敦賀で降りて「日本海号」の写真撮影と敦賀の町を見物をして帰ることにしました。

3月5日は朝から天気が悪く、雨模様でしたが大雪よりは良いだろうと思って、大阪より敦賀行新快速に乗りました。新快速は12両編成で前4両が敦賀行きで後8両が近江今津まで、案内が不十分なため敦賀まで行く乗客にはわかりづらいものでした。やはり、それで右往左往している人がいました。

 

車窓を眺めているうちに終点の敦賀に着きました。階段を下りると地下連絡通路のカニがお出迎えです。

フェリー乗り場行のバスの発車まで時間があるので街をぶらぶらして、ポイントカードの持っている平和堂があったので、そこで弁当などを買ってからバスでフェリー乗り場に行きました。

 

敦賀フェリーターミナルの横にはRORO船ターミナルがあり、近海郵船のRORO船が停泊していました。RORO船はフェリーと同じような車両甲板のある貨物船でコンテナ埠頭のようにガントリークレーンなどの設備が不要となるメリットがあるので近年、海上貨物輸送で注目されているそうです。

船内をうろうろしているうちに出港時間の18時になり、デッキに出るとフェリーターミナル作業員の人が3名手を振って見送りです。船の旅も久しぶりで以前はフェリーで九州や四国へ子供を連れて行ったのを思い出します。なかなか、船旅はいいものです。

 

次の日3月6日の朝7時10分に新潟フェリーターミナルに到着しました。新潟は雨です。上陸して新潟駅へ行くバス乗り場に急ぎます。フェリーからはホンダの新車が降りてきました。トラックだけでなく、新車も輸送しているようです。バス停へ行く途中、自動車運搬トレーラーがフェリーターミナルへ走っていきました。たぶん、ホンダの新車を運んでいくのでしょう。

新潟駅でそばを食べて、次の目的地の酒田へ行くため、ホームへ。大阪からの8時29分着の「きたぐに号」を撮影して、8時34分発の「いなほ」に乗る算段です。

「きたぐに号」が来るまでホームをぶらぶらしていると蒸機列車「ばんえつ号」の停車位置なのでしょうか。左の写真のようなものを見つけました。かわいらしくて、面白いものです。このような遊び心もいいものです。絵のはちまきにはC57180とかいてあります。

定刻通りに「きたぐに号」が到着しました。ごらんのように「いなほ」に乗車するホームのとなりに入線してきました。ラッキーです。実は通りかかった乗務員さんに「きたぐに号」がどのホームに到着するか聞いていたので安心していました。そうでなかったら、大慌てです。停車後は目の前に改造したサロネ581-1がとまり、そこでパチリと1枚撮影して、「いなほ」で酒田へ行きました。酒田には土門拳記念館あり、それとやはり「北前船」の寄港地でもあるためここはぜひ訪ねたいところです。また、酒田にはDRFC OBのK氏がおられますが、今回は時間が無いのでお訪ねすることは遠慮しました。

  酒田で土門拳記念館へ行き、ちょうど 「こどもたち」と「古寺巡礼-風景-」の展示をしていました。酒田に来て薬師寺や大徳寺の写真を見るのは不思議な感覚です。大和路の写真は入江泰吉さんの写真も良いものですが土門拳さんの写真もまたよいものです。写真とは面白いものです。パンフレットに「写真の立場」として土門拳さんは次のように述べています。

” 実物がそこにあるから、実物をもう何度もみているから、写真はいらないと云われる写真では、情けない。   実物がそこにあっても、実物を何度見ていても、実物以上に実物であり、何度見た以上に見せてくれる写真が、本当の写真というものである。   写真は肉眼を超える。   それは写真家個人の感覚とか、教養とかにかかわらない機械(メカニズム)というもっと絶対的な、非情なものにかかわる。時に本質的なものをえぐり、時に瑣末的なものにかかずらおうとも、機械そのものとしては、無差別、平等なはたらきにすぎない。   そこがおもしろいのである。   写真家は、機械のうしろに、小さく小さくなっている。写真家が小さくなって、ついにゼロになってしまった時、すばらしい写真が撮れているようだ。   しかし、ゼロになることは、なかなかむずかしい。せいぜい、シャッターを切るとき、あっちの方を眺めるぐらいなものだ。   写真の中でも、ねらい通りにピッタリ撮れた写真は、一番つまらない。   「なんて間がいいんでしょう」という写真になる。   そこがむずかしいのである。”

  酒田は北前船の寄港地であったため、物資だけでなく文化も上方から運ばれてきたようです。北前船のことで”松本修著 全国アホバカ分布考 はるかなる言葉の旅路”の北前船に関するところを調べていると、本文のなかで私の住んでいる奈良県生駒郡三郷町出身の国立国語研究所の学者さんが石川県や東北で使われている「ハンカクサイ」という言葉が「上方から、日本海を北上したんですよ」と答えていて、「私のふるさとは、奈良県生駒郡三郷町ですが、ここでは『面倒くさい 』という意味で『ハンカクサイ』を使っています」とありました。驚きです。これからも日本海側のルートは昔から重要なものとわかります。東日本大震災後に日本海側から被災地へタンク列車が運転されたことからも理解できます。

酒田から普通列車で秋田へ、今晩の食事は比内地鶏の親子丼です。食事後、ホームで鉄路の北前船「日本海号」を待ちます。雨が降っていて寒いので待合ベンチでしばらく持参した本を読み時間をすごしました。乗車の時間が近づいたので、ホームへ行くと同じく「日本海号」待っているオバサンがいたので、「寒いですね。」と声をかけ、少しばかり話しを聞きますと、岐阜へ帰るとの事でした。秋田へ来る時も京都から「日本海号」に乗ったそうです。京都駅ではたくさんの人が写真を撮っていたと言っていました。「日本海号」がなくなると、どうして秋田へ着たらよいか困っている様子でした。お気をつけてといって別れて、さあこれから写真撮影です。

定刻に難波国大坂行鉄路の北前船「日本海号」の到着です。写真を撮る人が一人、列車を待つ人が二人います。

 

 

 

 

 

 

秋田からどこへ行くのでしょうか?写真を撮っていたら、じゃまになると思ったのか写らないように立っている場所を変わってくれましたが、「別に場所を変わらないでいいですよ。皆さん乗るのですか?」と聞くと「私だけ乗って、他の人は見送りです。」とかばんを持った左端のおばさんが言っていました。夜行列車のいつもの情景です。

 

列車が停車したので乗車開始です。

 

 

 

 

消灯前の車内です。乗車率はこの車両では 50%以下でした。まもなく、消灯です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下段寝台の中です。ほの暗い明かりが寝台列車の旅情を感じます。下車する直江津駅の到着は3月7日の3時58分です。短いですが寝台車での眠りの時間です。寝過ごさないようにと考えると十分に眠れませんでした。

直江津駅に到着しました。一人のおばさんが降りました。出迎えのおじさんが「もうすぐ、乗ってきた列車が走らなくなるよ。」とおばさんに話していました。「日本海号」は大阪へむけて直江津駅を発車しました。駅員さんのいない改札口のところで「どちらから乗られたのですか?」と声をかけると「青森からです。」と。すると、出迎えのおじさんが「八戸の人なんですよ。」と言っておられました。「お疲れ様です。」と声をかけて別れました。

鉄路の北前船「日本海号」のひとこまです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄路の北前船と六文銭の里をはしる電車  その1 「日本海号」で直江津へ」への3件のフィードバック

  1. 見苦しい写真と文面になって申し訳ありません。長野電鉄についての投稿は今回の失敗を参考にして見やすいものにいたします。ご容赦を

  2. 古い話で恐縮ですが、3月16日長岡京まで行く用事がありました。大阪から東の各駅や踏切での「撮り鉄衆」の数が尋常ではないのです。「日本海」がターゲットらしいことに気付くのに、しばらくかかりました。新大阪にはバギーに赤ちゃんを乗せ、自分はカメラを構えるという、「鉄子」ならぬ「鉄ママ」も見受け、これは微笑ましかったですよ。

  3. 湯口先輩
    コメントありがとうございます。長野電鉄屋代線沿線では家族づれで駅に写真を撮りに来ていました。その2で長野電鉄の様子を投稿いたします。普通の人?が電車の写真を撮っている姿は湯口先輩の言われるように見ていてほっとするなんともいえない雰囲気がありました。

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